産経新聞「正論」に掲載 [2008年04月04日(金)]
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※4月3日付け、産経新聞「正論」に『たばこ千円は今や現実的選択』が掲載されましたので、お時間がある時にでもご高覧いただければ幸いです。
![]() 【正論】日本財団会長・笹川陽平 たばこ千円は今や現実的選択 2008/04/03 産経新聞 ≪本欄での提案に大反響≫ 3月4日付のこの欄で、たばこ1箱(20本入り)1000円への値上げを提案する拙稿を執筆したところ、大きな反響を呼び、インターネットのサイトやブログではその後も活発な賛否両論が戦わされている。 たまたま同じ日、日本学術会議も「脱たばこ社会の実現に向けて」と題し、たばこ税2倍引き上げなどを内容とする規制強化の要望書を政府に提出した。 ネット上の議論も小刻みな値上げではなく、大幅値上げを前提に争われており、欧米並みの1箱1000円は今や仮定の数字ではなく現実的な選択肢になりつつある。喫煙・嫌煙論争とは別に、危機にひんする財政の立て直しに向け、国会が早急に大幅値上げの議論を開始されるよう求めたい。 記事は国内最大手のポータルサイト「YAHOO!ニュース」にも取り込まれ、初日、2日目は読者からのコメント数もトップを記録し関心の高さを示した。私に対する中傷もあったが、全体に驚くほど真面目(まじめ)な内容が多く、反対論では「増税の前に支出を減らすのが先決」「酒税やガソリン税をさしおいてなぜ、たばこだけ増税するのか」「世の中には必要悪もある」「愛煙家のささやかなストレス解消法まで奪うのか」といった意見が目立った。 「たばこの害や副流煙の危険は証明されていない」として禁煙運動を「ナチズム」と批判した解剖学者の養老孟司・東大名誉教授の発言を引用した反対論や、「合法的な嗜好(しこう)品であり、愛好者が多くいる中で、軽々しく値上げだとか増税だとか言うべきではない」とする日本たばこ産業のコメントも紹介されている。 ≪国の財政は危険水域≫ これに対し賛成論は、たばこ規制が強化され喫煙率が年々低下する流れを反映して「本人だけでなく周りにも健康被害を招く喫煙を野放しにしてきたこと自体が問題」「規制は当然」とする意見が大半。 「大幅値上げで少年の喫煙が抑制され、非行防止にもつながる」「禁煙推進は火災予防にもつながる」といった指摘も目立った。火災に関しては総務省消防庁の昨年1〜9月の全国統計で、たばこが原因となった火災は期間中に起きた全火災約4万2000件のうち10・5%の4430件に上っており、禁煙が火災防止に確実な効果を持つのは間違いない。 健康にたばこが有害であるのはWHO(世界保健機関)をはじめとした各種調査結果から見ても疑問の余地はない。だからといって私は特段のたばこ規制論者ではない。にもかかわらず大幅値上げを提案するのは喫煙、嫌煙両派から無節操と批判されるかもしれない。 今回、それを承知であえて大幅値上げを提案したのは、国債や借入金など国の債務残高が800兆円まで膨らんだ国家財政の現状を意識してのことである。明らかに危険水域に入っており、打開策のひとつとして消費税の引き上げが避けて通れないことは誰もが認識しているのに、現在のねじれ国会ではその論議が軌道に乗る可能性はない。 この場合、消費税の引き上げで見込まれる税収増は1%で約2兆4000億円。一方、たばこを欧米並みの1箱1000円に値上げした場合の税収増は、現在の消費量を前提にすると9兆5000億円、消費税の4%に相当する。もちろん消費量が大幅に落ち込むのは避けられないと想像するが、それでもなお大きな税収増が見込め、年金や医療、介護を含めた社会保障関連の財源としても活用できる。 ≪超党派議員の前向き意見≫ 記事が掲載された後、超党派の国会議員78人で作る「禁煙推進議員連盟」(綿貫民輔会長)のメンバーに文書で協力をお願いし、「たばこ農家に配慮するあまり活動が十分でなかった」など党派を超えて前向きの意見もいただいた。与野党が共通の土俵で議論できる余地も大きく、財政再建に向けた選択肢としては消費税よりはるかに現実的である。 当の国会は今、日銀総裁人事、道路特定財源問題に限らず何かと実質審議が空転している。国民から見れば混乱の極みであり、明日の日本より党や政治家個人のメンツ、利益が優先されているようにさえ見える。与野党どちらを利するというより、政治そのものに対する不信感だけが膨らむ結果になっているのではないかと懸念する。 たばこ1箱1000円に対する反響を見る限り、たばこ値上げに関する国民の関心は高く、誰もが参加できる分かりやすさもあって議論も確実に熟してきている。国会が主導して国民によく見える議論を進めれば、国会に対する信頼回復にもつながると確信する。(ささかわ ようへい) |










