「オーシャンネクサスシンポジウム」
―世界17の大学・研究機関の代表者が来日―
日本財団は、「海」の保全と利用の両立を実現するための研究に取り組む専門家を世界規模で育成するプログラム「日本財団オーシャンネクサス」の一環として、「海」を巡る世界の研究の現状と課題、そして解決策を議論するシンポジウムを昨年12月11日に開催致しました。以下シンポジウム冒頭の私の挨拶です。
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お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。日本財団は、100年、1000年先の地球環境を考え、行動しなければならないと考えております。SDGsのように10年、20年といった単位ではなく、人類の生存と海洋は密接に関わっておりますので、やはり100年、1000年という長い時間軸で考えていかなければ、悲劇的な事態を招くことになります。「一年先に必要なものは穀物の種を植える。十年先に必要なものは木を植える。百年先に役立つものは人材を育てる」という、日本の古くからの言葉を大切にしております。その理念のもと、日本財団はこれまで150ヶ国を超える国から1800人を超える人材を育成してまいりました。既に50年近く続けておりますが、当初は、海の問題がここまで注目される前でしたが、若い人材の育成に取り組んでまいりました。
かつては海洋分野の人材育成自体がまだ一般的ではありませんでしたが、今では、50年の歳月を経て、世界中で多くの卒業生が素晴らしい活動をしております。こうしたリーダーシップによって、深刻化する海洋問題への議論が、今や国際社会のトップイシューとなったのではないかと感じております。
日本財団の「オーシャンネクサス」は、海の保全と利用の両立を実現するための研究に取り組む専門家を、世界規模で育成する野心的なプログラムです。途上国の若手研究者を積極的に支援するとともに、世界的な科学雑誌である『ネイチャー』やその他の国際雑誌に論文が掲載されるようになったことは、私たちにとって大きな喜びであり、皆さまのご活躍は本当に感動的でございます。これからも、ぜひ学問的にも優れた成果を挙げていただき、「ネクサスのメンバーであること」が、世界の学会はもちろん、国際社会において大きく羽ばたくための力となることを願っております。
海洋の危機はかつてないほど深刻になっており、海洋酸性化や海洋プラスチック汚染など、人類の存続すら危うくする問題が次々に発生しております。これらを解決するためには、イノベーションを生み出すことができる人材を、できるだけ多様な専門・分野から、一人でも多く世に送り出す必要があります。本日は、日本財団オーシャンネクサスが育成してきた世界各国の新進気鋭の研究者の皆さまから、社会の常識にとらわれない新たな発想と確かな科学に基づき、海の保全と利用の両立を世界規模で実現するために必要な斬新な施策やアイデアをご発表いただけると伺い、楽しみにしております。
世界は今、大きな変革の渦中にあります。国連においても、支援や国際協調に対する各国の姿勢が大きく変化しつつあると聞いております。本日は、その変化の実情についての報告もあるとのことで期待しております。本日のシンポジウムが、人類がいまだ経験したことのない海洋の危機を乗り越え、私が常々申し上げております「100年先、1000年先の未来」へつなげるために、私たち一人一人が今どのような行動をすべきかを考え、新たな協働や連携を生むきっかけとなることを切に願っております。ありがとうございました。