週刊誌などで有料老人ホームランキングをよく目にするようになりました。
この秋にも、週刊ダイヤモンドや週刊現代がそれぞれランキングを掲載していました。
有料老人ホーム経営者として、こうしたランキングを見るたびに釈然としない気持ちを抱いています。そのいくつかをお話しいしたいと思います。
【入居率計算の方法】週刊ダイヤモンドのランキング評価項目の中に「入居率」があります。
この計算方法は次のようになっています。
入居者数÷施設定員
この計算式では、元気なうちに入居していただく(入居時自立型=ゆうゆうの里、エデンの園、サンシティなど)ホームにおける正確な入居率をは把握することはできません。
特別養護老人ホームや介護専用型有料老人ホームの場合は、居室ごとの(個室または雑居室)の定員が決まっています。特別養護老人ホームでは、定員といわず「定床」と故障しているところもあります。病院の入院定床(収容人数)と同じような数え方をしていると考えてください。
これに対し、入居時自立型の場合は、一つの居室に単身で入居する方もいれば、パートナーとともに入居する方もいらっしゃいます。
大きい居室だから必ず二人で入居し、小さい部屋は一人だ…と決まっているわけではないのです。
一方、有料老人ホームの開設時には行政へ「定員」を届け出なくてはならないことになっています。このため、多くの入居時自立型有料老人ホームでは、
ある程度の広さを超えた居室数×2、比較的小さい居室数×1の合計を「定員」と届け出ています。
この結果、定員数に対する割合でン入居率を計算すると、二人入居の方が少ない場合、たとえ空室が全くない満室状態でも、入居率が80%などと算出されてしまうのですs。
有料老人ホームのランキングは、入居検討者に正確な情報を提供することが目的で作成していると思われます。正確な入居率(居室契約率)を調査していただきたいものです。
難しいことではありません。
契約済居室数÷全居室数で計算すれば、正確な数字になるのです。
【第三者評価について】他誌の有料老人ホームランキングを検証する記事が週刊新潮11月4日号に掲載されました。その中で、「第三者評価がAばかりで癒着している」と書かれています。
〈ゆうゆうの里〉全7ホームは、第三者評価を継続して受審していますが、「癒着」とは、とんでもない誤解であり、聞き捨てならない指摘です。
福祉・介護施設・事業所の第三者評価とは、認知症グループホーム等を除き、任意の制度です。もっとも受審率の高い東京都でも、平成20年度で、介護事業所約1万4,000カ所のうち、第三者評価を受けた事業所は1,817、受審率は13.1%にすぎません。
*詳しくは、「
とうきょう福祉ナビゲーション」で見ることができます。
有料老人ホームの第三評価の全容は不明な部分もありますが、入居時自立型ホームが多く加盟している(社)有料老人ホーム協会(有老協)がとりまとめた第三者評価基準に基づく、評価事業が毎年実施されています。
しかし、残念ながら有料老人ホームの受審率は極端に低調です。昨年度は30に満たないホームしか受審していません。そのうち7ホ−ムは私たち〈ゆうゆうの里〉でした。
審査にあたるのは、有老協が指名する数社の評価事業者です。
何をもって「癒着」などといわれるのか大変不愉快に思っています。
第三者評価を受けてみて、確かにA評価が多いのは事実です。自己評価より甘い評価がされる場合もあり、逆に評価に納得できないものもあります。
問題は「癒着」ではなく、第三者評価という仕組みが、未だ成熟していないことにあります。
あえて指摘しますが、審査機関や実際に評価に当たる評価者の力量が発展途上だからだとも言えます。
上述の東京福祉ナビゲーションには、認知症グループホーム(受診義務付け)の審査結果が公表されています。ご覧になればわかりますが、どの施設もAが並んでいて、優劣がつげ難く、利用の参考にはならない状況です。
介護保険とほぼ同時に始まった第三者評価が普及すること、利用者や家族がサービスを利用する際の判断に役立つものとしなければならないことは間違いがありません。
第三者評価には多くの課題があることは認め、改善の努力を継続していかなければなりません。
だからと言って事実も見ずに、「癒着」などという決め付けをする報道が許されて良いものではありまっせん。
利用者や市民のために役立つ視点で、記事をまとめていただきたいと望みます。
なお、日本老人福祉財団では、〈ゆうゆうの里〉の第三者評価の結果を入居者に掲示してお知らせし
、ホームページ上でも開示しています。