◇◇ カンボジア ◇◇
カンボジアは人口の半数以上を18才以下が占めています。これは、ポル・ポト政権下に富裕層や知識層(医者、学者、看護師等)等の多くが、反乱を起こす可能性があるとの理由で大量に虐殺されたことに大きく起因します。まだほんの30年程前の話です。また、カンボジアの合計特殊出生率は2.9人(2010年・WHO)で、世界平均の2.5人よりも多くなっています。ちなみに日本は1.3人。しかしその一方、新生児の死亡率は1000人中69人と高い数字になっています(2010年WHOの統計によると、193カ国中34番目の高さ)。日本は、1000人中3人の割合です。そして、平均寿命を見てみますと62才となっており、これは世界的にも低い数字です(日本は83才で世界一)。
新生児死亡率の高さ、平均寿命の低さ、そして、医師・看護師不足、医療機関整備の遅れ、そして何よりも、川に橋が無く(カンボジア内を流れる国際河川の「メコン川」には橋が二本しかないそうです)、雨が降れば車が通れない道路等劣悪な生活環境。そして教育を受けていない人が多いため、医療よりも神に祈る人々、貧しさ・・・等々前途には気の遠くなるような問題が立ちふさがっている感があります。しかし、私たちが訪れた首都プノンペンは、予想以上(失礼ですが)に都会的な雰囲気であった印象でした。訪れた2つの
医療機関(母子健康ナショナルセンター、国立カルメット病院)も日本から見れば一昔前のそれといった感は否めませんが、悲惨を極めた数十年前の国内事情を考えると確かな前進を成し遂げているのではないかと思います。ただ、このような発展は、プノンペンを含めた極々限られた都市のみであり、インフラ整備をはじめとする全体的な発展は国際的な支援なしでは困難であると感じました。
<カンボジアとの交流>
カンボジア滞在の最後に、今回のカンボジア訪問のきっかけとなった、レスマイさん(カメリア会のデイサービスでアルバイトをされています)の親族を招待しての親交会が催されました。レスマイさんのお母様もお出でになり、異国の地で頑張っているレスマイさんの活躍ぶりに感慨ひとしおのご様子でした。
このような国際交流は得難い経験であり、湖山グループならではの活動に感謝しております。若い方たちにとっても魅力的に感じることだと思います。
会の最後にはレスマイさんのお母様より湖山代表に記念品の贈呈があり、私が所属するクラシックレジデンス東戸塚にて大切に飾らさせていただいております(写真下段)
<研修所感>
今回のタイ訪問で印象に残ったのが、在タイ日本国大使館の方より伺った「在タイ邦人」の話です。世界に点在する在留邦人のうちタイに住んでいる人の数はアメリカ、中国、オーストラリア、ブラジル、イギリス、カナダにつぎ7番目に多い国です。そのほとんどが民間企業に勤めている方ですが、大使館の方がおっしゃっていたのは定年退職をされて一人または夫婦で移り住む方や何らかの事情で移り住んでいる方で、いずれにしても高齢となっている方のことです。このような高齢の方がここ10年で4倍に増えているそうです。在タイ邦人は、都市別にみると首都バンコクが圧倒的に多いのですが、高齢の方に限ると、タイ北部最大の都市であるチェンマイに移り住む方が多いそうです。問題となっているのは、移住者が医療機関を利用して治療した際に係る「海外療養費」の負担増と年金受給等にかかる事務作業の代行に時間を費やすことが多くなるということです。また、介護の分野もタイ自体が成熟されておらず、在留邦人への介護も懸案だそうです。こういったことからも、日本の介護の知識や経験で得たシステムを導入することの意義がより深いものとであることがわかります。実際タイ側もそれを望んでいることがこの度の訪問で実感しましたので、グループとして今後交流を深めていこうとする姿勢はまさにマッチしたものであると思います。日本のケアマネジメントシステムとタイのホスピタリティーとの融合は、国際交流のみならず新たなビジネスモデルの切り口となっていくことと思います。
タイ、カンボジアでは一年のうち4月が一番暑くなるそうで、2月のこの時期は一番いい気候に入るそうです。日中は30℃を超え、冬の寒さにさらされていた私たちにとってはさすがに堪えましたが、朝夕は非常に過ごしやすい環境でした。
タイは昔から親日国として知られており、現地でもそのことを実感しました。また、東南アジアの中では、唯一植民地化されず発展を遂げてきただけに、国際競争の中で進歩を続けていることも実感できました。そしてカンボジアのように、波乱の歴史の中で発展途上国として様々な問題を抱えているというタイとは違った面も垣間見ることができました。いずれにしても、異国の地そしてその中の医療、福祉に触れることができたことは非常に有意義な時間でした。これは湖山グループという組織だからこそ経験できるものであり、このような活動があることは若い人たちにとっても非常に魅力的なものであると思います。これを継続するためにも、交流の一助となるべく研鑽を積んでいかなければならないと思っております。
今回の参加にあたり、みなさまから様々なご支援をいただきましてありがとうございました。
社会福祉法人草加福祉会 野田達夫