東日本大震災で被災地域、
宮城県の病院を訪問しました。
震災を受け、今も続く余震の中、不安や心配、
恐怖心など、一人ひとりが抱えるストレスの大きさは計り知れません。
「震災後、総室内のカーテンが開いている事が多くなった。」
「個室ではなく総室を希望する親御さんが増えた。」
と医療スタッフより話しがありました。
それだけ人との繋がり、関わりを求める気持ちが強くなっているのでしょう。
病棟へ行くと、こどもたちは楽しみたい気持ちを押さえきれない様子で、
廊下に出てクリニクラウンの訪問を今か今かと待ってくれていました。
楽しい時間、空間の中にみんなでいたい。
そんな病棟の空気感、こどもやご家族の思いを感じ、
今回は部屋全体での関わりを多くとるよう対応しました。
こどもたちからの自発的な発言も多く、
それを活かしながら遊びに繋げ、関わりを持ちました。
そんななかで、自分の思いを上手く伝える事が出来ないこどもがいました。
周りのこども達に圧倒され、気がつくと輪の後ろの方になってしまう。
それでも一生懸命に遊びに参加してくれていました。
部屋全体で遊んだ後も、少し距離を置いて私たちの後をついて来ます。
先ほどの遊びが物足りないというより、
何かを私たちに伝えたい・・・
その子の目からそう感じ取りました。
こんな時クリニクラウンは、
こどもからの投げかけを大切にしています。
こどもと何度もすれ違ったりしながらその時を待ちました。
そして訪問時間の終了となり、病棟を退出しようとした瞬間、
勇気を振り絞ってくれたのでしょう。
こどもがクリニクラウンを追いかけ声をかけてくれました。
そして母親も交え、皆で写真を撮りました。
その子の表情は、先ほどより晴れやかで、逞しくなっていました。
こどもたちが安心出来る環境を創り出すこと、
そして、関わりや遊びの中で、
こどもたちが感情を表出しやすい空間、雰囲気を創っていくことを、
より配慮しながら関係性を作っていきました。
特に強い不安や恐怖体験をすると、自分を守る為、
感情を押さえ込んでしまうケースがあるからです。
遊びの中で、寄り添い、その中で、
こどもの自主性を引き出し、こどもの成長と発達をサポートしていく。
関りの中から少しずつ自信と、
乗り越える強さを持つ事のサポートが出来たらと思います。
大人たちの不安が、こどもの不安をより強くすることがあるので、
周囲の大人たちの安心へのサポートも必要になってきます。
継続してのサポートが重要になります。
今後も、細やかな配慮のもと、
丁寧に時に躍動的に心のケアをしていきます。
大ちゃん
2011年06月20日
被災地域病院を訪問して
posted by cliniclowns at 10:29| クリニクラウン