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2010年05月20日

家族の思い

小児集中治療室にて、寝たきりで、
会話や目線での意思の疎通が図れない状態にあると
説明を受けたこどもと出会いました。

長い間、その状態が続いている様子がうかがえました。
ご家族はいつも付き添い、温かく接しているとのことでした。

クリニクラウンは音楽を使って、こどもと関わり始めました。
色々な音を使って楽しく過ごしていた時、1人、2人・・・
次々と医療スタッフの方々が集まり、
総勢5人がその子のベッドサイドを囲みました。
これは良い機会だと思い、みんなでダンスを披露し、
その子に見てもらうことを提案しました。
「えー、ダンス!恥ずかしい」と母親や医療スタッフの方々。
しかし、言葉ではそう言っていても、やる気は十分のようです。
簡単な振りの練習を始めると、
笑い声や楽しい声がたくさん湧き上がりました。

その子は、もしかしたら、視覚の機能としては
直接、私たちのダンスを認識することはできないかもしれません。
しかし、みんなでダンスを楽しむことで、その場にリズムが生まれ
空気や呼吸が大きく動き、また、家族やスタッフの楽しみ笑う
気持ちの変化などが、その子の持つ、あらゆる感覚を通じて
伝わっていきます。

これまでの訪問の中でも、その場にいたスタッフが
本当に微細ではありますが、でも確かに、目に見える形としても
モニターの数値が変化したり、呼吸が変化したりするなどの
反応が見られたことに気づき、医療スタッフやご家族が
驚かれる場合も多々あります。

先ほどまでは、聞こえるのはたくさんのモニターのアラーム音だけで、
静かだったベッドサイドが、楽しい空間に一変!

そうして、こどもに披露し、みんなで写真を撮っていると、
父親が来られました。

いつもと違う雰囲気に驚かれ、喜び、涙が頬をつたっていました。

母親も、「本当にありがとうございます。
こんなにたくさんの人々が関わってくださるなんて!」 と
涙ながらに言ってくださり、

また、担当医師も「楽しい時間をありがとう」と声をかけてくれました。

父親の涙、母親の言葉が、こどもの現状を表していました。

TOMO
posted by cliniclowns at 20:53| クリニクラウン