唐突ですが、今から5年前(2005年)の4月は何をしていましたか?
私たちは、日本で初めてスタートするクリニクラウンの活動拠点を
一体どこに置いたら良いのか思案し、
関西の様々な場所や施設を念入りに見学していました。
5年間という時間の移り変わりを思うとき、
人それぞれの感性によって「つい最近」と思ったり、
「遠い過去」と感じたりするものだと思います。
それはあたかも、今年の冬は暖冬だったという人がいる反面、
今年ほど厳しい寒さはなかったと思う人がいるように、
人の持つ主観によって『物の見方、考え方』が
大きく変わることに似ています。
この5年間の歩みは、協会関係者にとっては文字通り
激動の2,555日といっても過言ではない日々でした。
今でこそ、日本におけるクリニクラウンの実践は、
年間200回近くの病院訪問を行うことができるようになりましたが、
スタート時点では、
「道化師文化の脆弱な日本社会で、道化師が行う社会的な活動の
意義を理解する医療施設がどのくらいあるかわからない」
といった存在そのものに対する疑問の声や、
「医療に笑いが必要なのはわかるが、自分の職場には必要性を感じない」
といったネガティブな意見が囁かれていました。
しかし、同時に数名の闘病経験者や家族から
「自分らしく過ごせる時間」や「心から安心できる人間関係」の必要性を
繰り返し聴くことができ、私たちはその声に後押しされるように
NPO法人発足に奔走しました。
事務所を開設する時も、役所で法人の概要説明をする時も、
私たちの目の前にはいつも「前例がない」というキーワードが
立ち塞がりました。
時には、問題解決の突破口が簡単には見つからず、
立ち尽くす場面もありましたが、そんな時はいつも
「前例がないからこそ、誰かが取り組む意味がある」と発想を新たにし、
1回1回の病院訪問に集中してきました。
確かに、5年間の歴史の中で、誇れる実績は多くはありません。
しかし、私たちはこれからも、向き合ってきた子どもの数だけ存在する
笑顔の可能性を信じて活動を続けたいと考えています。
2010年04月06日
5回目の春
posted by cliniclowns at 18:22| 事務局