大川小裁判の上告理由=「学校現場に過大な義務を課す」は、そもそも法令に反する「つくり話」では 文部科学省「通知」を指摘し追及[2018年07月05日(Thu)]
大川小学校裁判で被告の石巻市と宮城県は、控訴審判決について「津波の予見可能性について、発災前の学校現場に対し、余りにも過大な義務を課するものであり、学校保健安全法が求める義務を超えている」と批判し、学校保健安全法の第26条から29条の解釈について争う考えを明らかにしました。
学校現場という言葉には、教育委員会と学校の設置者である自治体は含まれていないと思われます。ところが文部科学省が、学校保健法が学校保健安全法に改定された直後の平成20年7月9日に発出した通知を見ると、学校保健安全法はそもそも学校現場に過大な義務を課すことを予定していない法律のように思えます。
仙台高裁は、「校長ら」という言葉を、学校管理者(校長、教頭、教務主任)だけでなく教育委員会までを含めた概念として判決を書きましたが、この通知を承知していれば教育行政だけでなく一般行政までも含む概念とすることができたのではないか。この通知を引用しながら「学校において」という言葉を用いて判決を書けば、「学校現場に過大な負担を課す」という法令の趣旨をねじ曲げた反応を招かなかったのではないか――宮城県図書館で「法令必携」を調べながら、そんなことが頭に浮かびました。
どなたか、ご教示いただければ幸いです。
学校保健法等の一部を改正する法律の公布について(通知)は、文部科学省のホームページの、以下のアドレスからダウンロードできます。http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1285251.htm
ダウンロードはこちら
学校保健安全法の条文には、「学校においては」という書き出して始まる条項があります。私が数えてみたところ、10カ所にあります。「学校安全」について規定した第三章 第26条ないし第30条までのところには4カ所あります。学校安全計画の策定や危機等発生時対処要領の作成等に関する業務がまさに該当します。
この「学校においては」という用語について、文部科学省の通知にはこう書いてあります。
「これらの措置の実施をすべて学校長その他の教職員のみの責任とするものではなく、当該学校の管理運営について責任を有する設置者についても併せて果たすべき責務を規定したものであることに留意されたい」。
仙台高裁の判決は、教職員は平均3年程度で異動するから個々の学校の実情に即して学校安全計画や危機管理マニュアルを改定する力量を蓄えるのには限界がある、だから教育行政と一般行政の防災部門が相応の責務を果たす必要があると判示しています。この判決は、学校現場の実態を論じたものですが、学校保健法の趣旨に沿っています。
法令の解釈を誤っているのは、被告の側ではないのか――7月2日の宮城県議会文教警察委員会では、私の問題意識を述べて質問しました。
写真は、「ぎょうせい」から出版されている学校保健法に関わる『法令必携』の表紙で、第7次改訂版とあります。
私が調べたのは、宮城県図書館に収蔵されている第6次改訂版です。「学校保健ハンドブック」も2016年改訂版が出回っていますが、宮城県図書館にあったのは2014年改訂版でした。
図書館の利用者としては、新版がでたら買い替えてほしいのですが。予算の制約があるので、図書館の側には優先順位をつけなければならないという事情があるのでしょうね。その際は、その分野がどれだけ重視されているか、社会の関心事になっているかに左右されるのでしょうか。
学校安全は、重視されているのでしょうか?
学校現場という言葉には、教育委員会と学校の設置者である自治体は含まれていないと思われます。ところが文部科学省が、学校保健法が学校保健安全法に改定された直後の平成20年7月9日に発出した通知を見ると、学校保健安全法はそもそも学校現場に過大な義務を課すことを予定していない法律のように思えます。
仙台高裁は、「校長ら」という言葉を、学校管理者(校長、教頭、教務主任)だけでなく教育委員会までを含めた概念として判決を書きましたが、この通知を承知していれば教育行政だけでなく一般行政までも含む概念とすることができたのではないか。この通知を引用しながら「学校において」という言葉を用いて判決を書けば、「学校現場に過大な負担を課す」という法令の趣旨をねじ曲げた反応を招かなかったのではないか――宮城県図書館で「法令必携」を調べながら、そんなことが頭に浮かびました。
どなたか、ご教示いただければ幸いです。
学校保健法等の一部を改正する法律の公布について(通知)は、文部科学省のホームページの、以下のアドレスからダウンロードできます。http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1285251.htm
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学校保健安全法の条文には、「学校においては」という書き出して始まる条項があります。私が数えてみたところ、10カ所にあります。「学校安全」について規定した第三章 第26条ないし第30条までのところには4カ所あります。学校安全計画の策定や危機等発生時対処要領の作成等に関する業務がまさに該当します。
この「学校においては」という用語について、文部科学省の通知にはこう書いてあります。
「これらの措置の実施をすべて学校長その他の教職員のみの責任とするものではなく、当該学校の管理運営について責任を有する設置者についても併せて果たすべき責務を規定したものであることに留意されたい」。
仙台高裁の判決は、教職員は平均3年程度で異動するから個々の学校の実情に即して学校安全計画や危機管理マニュアルを改定する力量を蓄えるのには限界がある、だから教育行政と一般行政の防災部門が相応の責務を果たす必要があると判示しています。この判決は、学校現場の実態を論じたものですが、学校保健法の趣旨に沿っています。
法令の解釈を誤っているのは、被告の側ではないのか――7月2日の宮城県議会文教警察委員会では、私の問題意識を述べて質問しました。
写真は、「ぎょうせい」から出版されている学校保健法に関わる『法令必携』の表紙で、第7次改訂版とあります。
私が調べたのは、宮城県図書館に収蔵されている第6次改訂版です。「学校保健ハンドブック」も2016年改訂版が出回っていますが、宮城県図書館にあったのは2014年改訂版でした。
図書館の利用者としては、新版がでたら買い替えてほしいのですが。予算の制約があるので、図書館の側には優先順位をつけなければならないという事情があるのでしょうね。その際は、その分野がどれだけ重視されているか、社会の関心事になっているかに左右されるのでしょうか。
学校安全は、重視されているのでしょうか?