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中嶋れん(日本共産党 宮城県委員会政策委員長)のブログ
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討論で、村井県政12年を決算し、宮城県政の転換を訴えました[2017年09月29日(Fri)]
 10番、中嶋廉です。日本共産党宮城県会議員団を代表して、提案されている19議案のうち、議第177号ないし181号、および201号の6件に反対し、討論いたします。
 今議会は、村井県政12年とは何だったのかが問われました。
「富県戦略」のもとで、賃金に回るべき雇用者報酬が村井知事就任前より減ったのか、増えたのか、これが本会議でも決算審査特別委員会の総括質疑でも論議されました。企業誘致で増加した以上に雇用者が減っていること、しかも一人あたり雇用者報酬が減っていること、県民が豊かさを実感できる県政にはなっていないことが、具体的に明らかになりました。
 東日本大震災から6年半が経過しているもとで、被災者のいのちと健康などへの支援が弱く、安心できる住まいの確保については岩手県と較べて極端に見劣りするなど、県政全体の転換が必要であることをあらためて実感させられた議会でした。

 まず、議第201号議案、一般会計および特別会計の決算の認定について、反対する理由を述べます。

 第一に、被災者・県民の願いが置き去りにされていることです。
被災者医療への支援の復活、住宅再建への支援という課題に対しては、向き合おうとはしませんでした。
 平成28年度の県民意識調査で最も高かった県民の願いが「自然環境の保全の実現」であったにもかかわらず、石炭火力発電所に関わる対応が明らかに後手に回り、原発と放射能汚染廃棄物への対応では国の言いなりが特徴でした。
 県の政策医療を担い、瀬峰地域の住民にとってかけがえのない病院であるとともに、地域経済やまちづくりの拠点として役割を果たしてきた循環器・呼吸器病センターの廃止を進めたことには、同意できません。
 農林水産県にふさわしい、県としての独自施策が不十分です。小さい農家への支援、中山間地の地域づくり、販路確保などのためにGAPP認証取得を考えている経営体への支援などが求められています。
 私学助成では、決算年度はついに高校生に対する県の上乗せ分がゼロ円にされました。
 一人ひとりの児童生徒に目がゆきとどく教育が痛切に求められているのに、「35人学級」への努力は全国最低水準のままです。仙台市の郡和子・新市長は、中学校から順次「35人学級」に移行させることに意欲を見せており、県政の立ち遅れを一日も早く是正するよう、あらためて求めるものです。

 第二に、富県戦略や創造的復興の名で、大企業依存型の県政運営が進められたことです。
「みやぎ企業立地奨励金」は、2009年度から2016年度までで総額約120億円が支給されましたが、そのうち半分以上の約66億円余がトヨタとその関連会社分です。
「創造的復興」についてですが。まず仙台空港が決算年度の7月から「完全民営化」されたことについてです。公共施設である仙台空港の運営権を、最大65年にわたって、運営権者である仙台空港株式会社に委ねるものですが、公共の立場で適正に運営されていることを点検するモニタリングが極めて重要であるにもかかわらず、毎月提出されているセルフモニタリングの報告書は、たった3つのチェック項目に〇印をつけるだけです。国によるモニタリングは行われておらず、すべて運営権者まかせになっている現状は、公共施設の運営としてきわめてズサンです。
 次に、広域防災拠点事業についてですが、経過もリスク回避も不透明なままに、300億円もの事業が「宮城野原ありき」でJR貨物ヤードに推進され、そのJR貨物の移転地となる岩切・燕沢東のまちづくりにも深刻な影響がおよぼうとしています。
「水素社会の先駆けの地」にするという派手なネーミングで、燃料電池自動車(FCV)への突出した支援にのりだし、3億8千万円という全国最高の補助で宮城野区に商用水素ステーションが設置されましたが、県が財政負担して走らせているFCVのタクシーやレンタル自動車を含めても、水素の充填に訪れるのは一日に数台だけです。FCVの普及は、知事自身も「見通せない」と、答弁せざるをえなくなっています。
 知事は「創造的復興」のシンボルとして漁民の猛反対を押し切って水産特区を導入しましたが、知事の肝いりでつくられた合同会社は債務超過の状態です。決算年度に、合同会社が他地区産カキを混入して消費者をあざむいていたことが明らかになりましたが、その調査もまた責任の所在をあいまいにするものでした。今後の「水産業のモデル」に到底なりえない水産特区は、その問題解決を漁師の自治に委ね、解消することを求めます。
「創造的復興」と称するこれらの施策は、中央政財界のアイデアに十分な検討なしに飛びついたことが共通の特徴で、宮城県の風土や県民の願いに根差したものではありません。

 反対理由の第三は、財政運営における「ためこみ主義」ともいうべき手法がますますひどくなっていることです。震災による財政の膨らみによってつくられた黒字分を計画性もなく各種基金にいれこむ一方、被災者個人の支援や県の独自施策に使うべき「復興基金」や「地域整備推進基金」の復興財源分を本当に必要な施策に振り向けていません。世界中から震災遺児・孤児への支援にと寄せられた寄附金である「みやぎこども育英基金」の流用を可能とする条例改悪を強行したことも見過ごせません。
 「富県戦略」は、大企業を応援すればそのうちおこぼれがあるというトリクルダウンの考え方にもとづいていますが、経済先進国35か国が参加しているOECD(経済協力開発機構)は、5年前からこの考え方は間違っているとしています。経済と財政に関する時代遅れの考え方は、宮城県政から一日も早く一掃する必要があります。

 以上、指摘した3点は、決算年度だけでなく、村井県政の12年に共通する問題です。知事は近年、国いいなりの姿勢を強める一方で地方自治の発揮や情報公開を後退させており、批判や異なる意見に耳をふさぐ傾向があることは問題です。
 地域医療構想と国保の県単位化についてですが、人口1人当たりベッド数が日本一多い高知県の尾崎正直(おざき・まさなお)知事は、各圏域ごとの受診機会確保のため、現状維持を基本とする地域医療構想をまとめていますが、村井知事は地域医療構想でも国保の県単位化でもベッド削減と医療費抑制を押しつけている国の言いなりです。
 原発の再稼動についてですが、これまで知事は国まかせの態度をとっています。新潟県の米山隆一知事は、福島第一原発事故の原因と経過、放射能による健康への影響、実効性のある避難計画をつくれるかどうかを独自に検証して、慎重に判断しようとしています。村井知事も、こういう立場に立つべきです。
 決算年度に計画された観光PR動画について、県の男女共同参画条例に反するという批判がわきおこりましたが、それでも配信を続けたことは、女性差別の人権問題であることに対する理解を欠いた、批判に耳をふさぐきわめて不適切な対応です。
 以上、述べましたように、知事の政策の中心点とその政治姿勢に大きな問題があり、議第201号議案、一般会計および特別会計の決算認定に反対するものです。

 なお、決算年度に県民の暮らしといのちに深く関わる上工下水道を一体で運営権を民間委譲するための懇話会が密かに進められました。民営委譲された後のことに県が責任をもつといっていますが、それを保証するものは示されておらず、料金値上げの恐れがあり、県政から水道事業に関わる経営の能力や技術が失われていくことは目に見えています。
 また、私どもが、上工下水道一体の民間委譲に関わる文書を開示請求したことに対し、全体の3分の1以上にあたる160ページが全面黒塗りで平然と出されてきました。プロポーザルを隠れみのに、民間の知的財産権などとは無関係な、応募した企業名さえ情報公開しないという、全国でもまれにみる情報隠しの県政に後退していることは重大だと指摘しておきます。

 議第177号議案は、一般会計補正予算ですが、その中の「結核医療提供施設整備費」は、循環器・呼吸器病センターの機能移管に向けた病棟建設の予算であり、先に述べた理由で反対いたします。
 議第178号議案は、手数料条例の一部を改正するものですが、小規模不動産特定共同事業の登録、更新にかかわる手数料設定に反対します。
不動産特定共同事業法は、出資を募って不動産を売買・賃貸し、その利益を分配する事業です。バブルの崩壊によって小口化商品を販売する事業者が倒産し、投資家被害が生じたために、資本金等の許可要件を定め、投資家を保護し業務の適正化をはかろうとするものです。ところが議案は、せっかく定めたルールを緩和して不動産取引のリスクを拡大するもので、賛成できません。
 議第179号議案、県税条例等の一部改正は、法人事業税の超過課税であるみやぎ発展税の適用期間をさらに5年間(平成35年2月28日まで)延長しようとするもの、また議第180号議案、企業立地促進のための県税の課税免除等に関する条例の一部改正は、企業立地促進税制の適用期間を同じく5年間(平成35年3月31日まで)延長しようとするものです。
 この発展税と誘致企業優遇税制は、村井県政の「富県宮城の実現」に向けて、自動車・電子産業などの製造業の集積を図ろうとするものですが、先に述べたように雇用者数、一人あたりの雇用者報酬とも減少したのが過去の事実です。とりわけ活用実績を見ると、総額の78%が企業立地奨励金に使われ、約120億円のうちトヨタとその関連会社に半分以上が交付されました。宮城に根差す企業に税負担を求めながら、地元企業には7億円しか交付されておらず、逆立ちした産業政策というほかありません。よって両議案に反対します。
 議第181号議案は、農村地域工業等導入促進法の改定にともない、農村地域工業等導入促進審議会条例の一部を改正するものですが、地方自治体の自主性や創意性を損ない、安易な農地転用などが行われる危険性があるので、反対します。

 以上、同意しがたい議案について述べましたが、昨日、安倍首相が衆議院を冒頭解散しました。宮城県では、県知事選挙と総選挙のダブル選挙が行われます。
 日本共産党宮城県会議員団は、安保法制を廃止して憲法9条を守り、政治を変えたいと願う市民と野党の共同をさらに発展させ、国政でも県政でも政治の転換をめざして奮闘することを申し上げ、討論といたします。

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地下鉄・黒松駅前で多々良哲・宮城県知事選挙予定候補と早朝宣伝[2017年09月29日(Fri)]
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