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中嶋れん(日本共産党 宮城県委員会政策委員長)のブログ
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「性的マイノリティの人たちの権利保障を」ー雑誌『議会と自治体』12月号に私の寄稿が掲載されました。[2016年11月22日(Tue)]
「性的マイノリティの人たちの権利保障を」ミニ特集した雑誌『議会と自治体』12月号に、私の寄稿が掲載されました。
 編集者からの依頼で、なぜ性的マイノリティの人たちの願いを取り上げたのか、議会の質問までにどんな調査をしたのかという、議会質問の「舞台裏」にあたるようなことも書きました。
 発売中です、どうぞご覧ください。
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 十月二十八日に開催された宮城県男女共同参画審議会に、来年度からスタートする第三次「宮城県男女共同参画基本計画」の中間案が示され、性的マイノリティの人たちにかかわる記述が盛り込まれました。
  九月二十七日の宮城県議会本会議で、私の質問に宮城県の担当部長が「性的マイノリティの方に対する配慮につきましては審議会で議論いただき、その意見をふまえて計画への記載を検討してまいりたいと考えております」と答弁し、それがさっそく実行に移されたものです。同基本計画は、審議会で最終案がまとめられた後、パブリックコメントを求め、議会の 議決に付されて来年三月に確定しますが、性的マイノリティの人たちに関わる施策が宮城県の計画行政文書に明記されれば、初めての ことになります。
  「ただいまのところは具体的な検討はしておりません」(三月十 四日、環境生活農林水産委員会) としていた宮城県政が動いたのは、何よりも当事者の人たちの運動にあります。

東日本大震災の体験がつながりを加速し、東北全体で 当事者運動が高揚

  二〇一一年三月十一日に発生し た東日本大震災の被災地では、多くの人が命の尊さや大切な人と共に暮らす日常がどんなに貴重かを噛みしめました。大震災の体験は、性的マイノリティの人びとにも大きな影響を及ぼし、当事者のコミュニティ内での支え合いが始 まりました。
  しかし、避難所での配慮などの性的マイノリティの人たちの要望は、被災地では表面化が遅れました。多様な性の当事者たちは、二 〇一三年十二月からインターネット上のサイト「レインボーアーカ イブ」で手記を公開するとりくみ をスタートさせました。そして月 例の学習会が開催されるようになってから、たくさんのグループが立ち上がり、東北全体で大震災前 には九つしかなかった当事者団体 が、現在は五十を超える団体・グループに前進しています。
  二〇一四年五月六日から開始さ れた「てつがくカフェ・震災とセクシャリティ」で、一般の人たちといっしょに考えあうとりくみが始まり、二〇一五年三月に仙台市で開催された国連・世界防災会議 に当事者たちが「震災とセクシャ リティ」を出展、震災が性的マイ ノリティにどう影響したかを問いかけました。
  私は、初当選後の昨年十二月二十三日、当事者団体から招かれて、初めて直接お話を聞く機会に恵まれました。当時、仙台市では二〇一六年四月からスタートする「男女共同参画せんだいプラン二〇一六」が検討中で、性的指向、 性同一性障害という文言が初めて盛りこまれました。
  しかし宮城県議会では、東京都 渋谷区の「男女平等及び多様性を 尊重する社会を推進する条例」(同姓パートナー条例、二〇一五 年四月から施行)を、自民党議員が「二重の憲法違反のおそれ」があるなどと批判していました(二〇一五年六月二十六日の本会議)。宮城県政を動かすためには、これを乗りこえる論戦が宮城県議会に求められていると判断しました。

当事者の人たちと二人三脚 の質問準備
 
 九月三日、当事者団体である 「レインボー・アドボケイツ東北」が主催した勉強会に参加させていただき、本格的な質問準備を スタートさせました。
  本人がみずから公表することを 「カミングアウト」といいますが、一方、本人の意思に反して周 囲に告知されてしまうアウティン グは職業・住居を失ったりする深刻な事態を招くことを、当事者の人たちから教えてもらいました。 そして、具体的な要求を出してもらいました。
 さらに、日本共産党の二〇一六 年参議院選挙政策と国会論戦を調べました。IOC(国際オリンピ ック委員会)がオリンピック憲章を改定し、二〇二〇年に東京で開 催されるオリンピック・パラリン ピックが性的マイノリティの人たちの人権と多様性の尊重を掲げて おこなわれる最初の大会として開催されることを、質問で活用することにしました。
 宮城県の知事部局、教育委員会、県警本部からヒアリングをおこない、施策の到達点を調査しま した。性的マイノリティにかんする職員の研修も、相談支援も、本格的にはこれからであることを確 認しました。
  九月十九日に東京で開催されたLGBT法連合会(性的指向および性自認等により困難を抱えている当事者等に対する法整備のための全国連合会)の出版記念トークセッションにも参加しました。男 女共同参画基本計画に性的マイノリティの支援を盛りこむ自治体が 増えるなど、大きな変化が地方政治の場で進行中であることを実感しました。また、東京都内の区役 所・市役所の職員の報告から、自 治体で何ができるかを教えられま した。

県職員の人たちに問いかけ、建設的提案の質問に

 質問は、県職員の人たちに問題 提起するものにし、全体的に建設 的提案を心がけました。
 男性の同性愛者の自殺未遂率が 異性愛者の約六倍に達していると いう専門家の調査結果を示し、性的マイノリティの人たちへの対応は人権擁護の課題であること、対応は急がれていることを問いかけ ました。
  IOC憲章改定の意義と、その背景にある欧米諸国の法制度と施策の前進をどのように把握しているかを尋ね、宮城県で二〇二〇年オリンピック東京大会のサッカー予選が開催されることから、国際的な標準で性的マイノリティの人たちに対応することが求められているのではないか、と問いかけました。
  わが国でも国政で大きな変化が進行中で、超党派の国会議員による「LGBTにかんする課題を考 える議員連盟」がつくられていること、自民党の「性的指向・性自認にかんする特命委員会」で宮城 県選出の国会議員が幹事長代理をつとめていることに触れました。 これは、議場内の議員に対する問題提起も意図したものです。
  性的マイノリティの人たちにかかわる施策と対応では、不必要なカミングアウトをすることなく配慮されるようにすることが重要だとのべ、@県の書類における不必 要な性別欄の撤廃を進めること、A性的マイノリティの人たちの図書館利用をスムーズにするために、県立図書館における通称での図書館利用カード作成を認めること、B県立病院における、手術に家族の同意を求める手続きを同性 配偶者についても認めること、C 民間企業における配慮の実例を紹 介するとりくみを──など具体的に求めました。通称でのカード作成では、仙台市が通称の宛名が記された郵便や領収書を提示してもらうという簡便な方法をとっていることを紹介しました。宮城県内では、預金口座の開設に配慮を始めている金融機関があります。携帯電話料金の割引や、生命保険の受取人において同性カップルに適 用を始めている企業もあります。健康保険証の性別を変更することは困難ですが、医療機関が発行 る診察券の性別欄への記入については配慮が可能です。民間企業における配慮の実例紹介や研修情報の提供など、ゼロ予算でもできることが多々あるのではないか、と 問題提起しました。
 質問に対する答弁で、担当部長が同性婚の法制化が進んでいる国々の状況などを詳しくのべ、担当課がよく調査して答弁を準備したことを直感しました。後日、担当部長から、「いやぁ、勉強させ られました」と声をかけられました。共同参画推進課長は、「買ったんですよ」と、LGBT法連合会の書物を見せてくれました。当事者の願いを受けとめて尽力して いただいた県職員の方がたに、敬 意を表したいと思います。

答弁を活用するとりくみ、 中間案をよりよいものにする議論が

「レインボー・アドボケイツ東 北」は、性的マイノリティの施策を次期の共同参画基本計画に盛りこむよう、宮城県議会の議長と全議員あてに陳情書を提出し、仙台弁護士会有志とともに宮城県議会を訪れて、説明会を開催しまし た。私の質問を傍聴したあと、す ぐに宮城県図書館に電話して、図書館利用カードを通称で作成できることを確認し、議会の答弁をさっそく活用するとりくみを始めました。
 共同参画基本計画中間案は、「性別や性的指向、性同一性障害等を理由として差別的な扱いをされるなど社会の中で困難な状況に置かれている人々が」いる現状であることを指摘して、相談活動、 教育現場でのきめ細かな対応について言及していますが、啓発普及にかかわる項目には記述がありません。とりくみが先行している自治体の施策は啓発から始まっており、まず職員研修から着手しているのが普通です。そこで、普及啓発にかんする項目にも盛り込み、 より充実した内容にできないかという議論が始まっています。

相模原事件の衝撃から、人 権と多様性の尊重を求める質問を決意
 
 今回の私の質問は、「相模原市の障害者殺傷事件と優生思想の克服、人権と多様性を尊重した県政の推進」を問いかけることから始まっています。入所者十九人が殺 害され二十六人が重軽傷を負った七月二十六日の相模原事件は、自閉症児の親として障害者運動に参 加してきた私にとって、非常に衝撃的な事件でした。宮城県の村井嘉浩知事に、「このような事件を繰り返させないようにするため に、誤った考え方を批判するとともに、障害のある人や貧困など、 さまざまな理由で不利な立場に置かれている人々を排除するのではなく、受け入れて支援する気風と 諸制度を一つずつ拡充する努力を重ねていく必要があると思いま す」と問いかけましたが、これは私の決意にほかなりません。
 日本共産党宮城県議団は、大震災被災者の支援、原発ゼロ、TPP阻止、戦争法廃止などの共同を広げて、一年前に四議席から八議席に倍増しました。その発言力を生かす道も、広範な県民運動と共同した議会活動にあると思いま す。

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