CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る
中嶋れん(日本共産党 宮城県議会議員)のブログ
宮城県議会 環境生活農林水産委員。
      障がい児・者福祉調査特別委員会 副委員長。
      「脱原発をめざす宮城県議の会」副会長。
自閉症児の親の会会長。
青森県むつ市大畑町生まれ。青森高校卒(音楽部、将棋同好会に参加)。
東北大学理学部物理学科卒(東北大学男声合唱団に参加)。

「戦争する国」No! 女川原発の再稼働中止 「人間の復興」を追求。
ライフワークは「障害のある人が生きやすい社会をめざす」。
日本国憲法の全面実施をめざす日本共産党に共感、入党して44年に。
«  +TPP | Main | ●国政・国民運動 »
プロフィール

中嶋廉のブログさんの画像
中嶋廉のブログ
プロフィール
ブログ
カテゴリアーカイブ
リンク集
最新コメント
QRコード
誘致を表明せず、「正式な学術プロセスで議論することが必要」−文部科学省が国際リニアコライダー(ILC)についての見解を表明。今回の強引な誘致は失敗し、いったん終わりを迎えました。[2019年03月08日(Fri)]
 文部科学省の磯谷桂介研究振興局長が3月7日、東京大学で開かれた素粒子物理学の国際会議で、次世代加速器「国際リニアコライダー(ILC)」に関する見解を発表しました。
 強引なILC誘致活動は失敗し、いったん終わりを迎えました。認めたがらない人たちがいるかもしれませんが。
 ILCの誘致を考えている人たちには、素粒子研究の意義とその中でILCの役割と実現可能性を再度よく議論して学術関係者の合意をめざすこと、社会や環境への負荷も明らかにして、「持続可能な世界」をめざす立場でコミュニケーションに臨んでほしいと願っています。基礎研究を重要だと考えるからです。
 今回のILC誘致に関わる論議の経過を振り返ると、ジャーナリズムと各地の地方議会が「良き批判者」としての役割を果たせなかったのではないかと思われてなりません。日本学術会議が2010年4月10日に公表した提言「日本の展望―学術からの提言2010」
を読み返しての感想です。
 文部科学省の「見解」の全文は以下の通りです。

 本日のリニアコライダー国際推進委員会開催にあたり、本レターを送付できることは大変光栄です。
 国際リニアコライダー(ILC)計画は、国際的な研究者組織において検討が進められてきた素粒子物理学分野における学術の大型プロジェクトであると承知しています。
 これまで我が国においては、ILC計画について、我が国の科学コミュニティの代表機関である日本学術会議における「国際リニアコライダー計画に関する所見(2013年9月)」を契機として、文部科学省において「国際リニアコライダー(ILC)に関する有識者会議」を設置し、科学的意義、コスト及び技術的成立性、人材の確保・育成方策、体制及びマネジメントの在り方等の観点から、検証を進めてきました。
 2017年11月には、ILCに関する国際的な研究者組織において、欧州CERNにおけるLHC実験を踏まえて、ILCの衝突エネルギーを500ギガ電子ボルトから250ギガ電子ボルトとする見直し案(250ギガ電子ボルトILC計画)が公表されました。
 これを受けて、有識者会議においてILC計画について改めて検証を行い、2018年7月に「ILC計画の見直しを受けたこれまでの議論のまとめ」を取りまとめ、計画の全体像を可能な限り明確に示した上で、日本学術会議に対して、ILC計画について改めて審議を依頼しました。
 2018年12月には、日本学術会議より文部科学省への回答として「国際リニアコライダー計画の見直し案に関する所見」が取りまとめられ、「政府における、ILCの日本誘致の意思表明に関する判断は慎重になされるべきであると考える」とされました。
 文部科学省においては、同所見の内容を精査しつつ、ILCに関する意義や効果について、学術的な観点のみならず、関係省庁とも連絡を密にして意見を聴取し、検討を行いました

 ここに現時点のILC計画に関する見解を述べます。

 国際リニアコライダー(ILC)に関する有識者会議による「ILC計画の見直しを受けたこれまでの議論のまとめ」を受け、日本学術会議が審議を行い公表した「国際リニアコライダー計画の見直し案に関する所見」において、「現状で提示されている計画内容や準備状況から判断して、250ギガ電子ボルトILC計画を日本に誘致することを日本学術会議として支持するには至らない」「大型計画について学術会議として更に検討するとすれば、マスタープランの枠組みで行うのが適切」とされたことを踏まえ、ILC計画については、現時点で日本誘致の表明には至らないが、国内の科学コミュニティの理解・支持を得られるかどうかも含め、正式な学術プロセス(日本学術会議が策定するマスタープラン等)で議論することが必要であると考えます。
 併せて、国外においても、欧州素粒子物理戦略等における議論の進捗(しんちょく)を注視することとします。
 また、ILC計画については、日本学術会議の所見において、諸分野の学術コミュニティとの対話の不足、成果が経費に見合うか、技術的課題の克服、実験施設の巨大化を前提とする研究スタイルの持続性といった懸念が指摘されている一方、素粒子物理学におけるヒッグス粒子の精密測定の重要性に関する一定の学術的意義を有するとともに、ILC計画がもたらす技術的研究の推進や立地地域への効果の可能性に鑑み、文部科学省はILC計画に関心を持って国際的な意見交換を継続します。

ビームダンプblog.jpg
未知の素粒子を探すCERNの大型加速器計画が報じられたあと、岩手県議会が「ILC実現を求める意見書」[2019年02月22日(Fri)]
 欧州原子核研究機構(CERN)が、未知の素粒子を探す新たな加速器Future Circlar Colider(FCC)の概念設計報告書を発表しました。FCCの総延長は100km(いま最大のLHCは総延長は27kmで、その4倍)、衝突エネルギーはLHCの6倍、建設にかかる費用は240億ドル(約2兆6140億円)と、どれも驚く大きさです。
●1月18日付のニュースはこちら右矢印1Engadget(エンガジェット)



 岩手県議会が2月13日、「国際リニアコライダー(ILC)の実現を求める意見書」を採択しました。「出席議員全員の賛成で」と報道されましたが、日本共産党の3人の議員は採決に加わらず、棄権しました。決議文は以下のとおりですが、日本学術会議の所見を捉え方については異論があるところです。

 国際リニアコライダー(ILC)の実現を求める意見書

 我が国の成長戦略に貢献し、世界に開かれた地方創生の原動力となる国際リニアコライダー(ILC)の実現のため、速やかに我が国が主導して国際協議を開始し、投資と人材の国際分担に対する基本的考え方を明示するとともに、我が国の科学技術の進展等の柱に位置付けるよう強く要望する。

理由
 ILCは、宇宙誕生や質量の起源など、人類存在の核心に迫る謎を究明する研究施設であり、日本が世界に、そして人類に対して大きく貢献することのできる施設である。
 また、基礎科学の研究に飛躍的な発展をもたらし、世界最先端の研究を行う多くの人材が定着・交流する国際科学技術イノベーション拠点の形成や、精密実験を支える先端産業の集積につながるものであり、科学技術創造立国の実現や高度な技術力に基づくものづくり産業の成長発展に大きく寄与し、日本再興や地方創生にも資するものである。
 昨年末には、日本学術会議によるILC計画の見直し案に関する回答が文部科学省に提出されたところであるが、国際経費分担や人的資源の見通し等に対する懸念が示されたものの、学術的意義は極めて重要であり国際共同研究に日本が貢献する必要性も高いとの所見が示されているところである。
 日本におけるILCの実現については、世界の研究者からの期待も非常に高く、また、国内においても、研究者・自治体・民間団体等が誘致に向けて一体となって 取り組んできたところであり、地方議会におけるILCの実現を求める決議の採択や、各界著名人によるILC100人委員会の活動に加え、応援の署名等も30万人を超 えるなど、国民的な関心も非常に高まってきている状況である。
 よって、国においては、我が国の成長戦略に貢献し、世界に開かれた地方創生の原動力となるILCの実現のため、次の措置を講ずるよう強く要望する。

1、ILCの実現に向けて、速やかに我が国が主導し、国際協議を開始するとともに、海外パートナー国との投資と人材の国際分担に対する基本的考え方を明示すること。

2、ILCについては、我が国の科学技術の進展、さらに国内の各地方をつなぐ産業・情報・技術のネットワークの形成、震災復興、民間の活力を伸ばす成長戦略、地方創生等の柱に位置付けること。

上記のとおり地方自治法第99 条の規定により意見書を提出する。

平成31年2月13日
岩手県議会議長 佐々木 順 一

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
文部科学大臣
経済産業大臣
国土交通大臣
内閣官房長官
復興大臣
内閣府特命担当大 臣(科学技術政策、地方創生)

国際リニアコライダー誘致、推進してきた研究者が「3月7日の世界の加速器研究所長の会合で『日本が誘致する』と言えないことははっきりしています」と発言。 [2019年02月02日(Sat)]
 元村有希子のサイエンスカフェ「巨大科学とどう向き合う? 岐路に立つILC」が1月28日、毎日メディアカフェで開催されました。
 元村有希子・毎日新聞科学環境部長が科学の専門家に聞く人気シリーズです。この日のゲストは東京大学素粒子物理国際研究センターの山下了・特任教授で、国際リニアコライダー(ILC)」建設計画を進める研究者の一人です。
 ILCについて、日本学術会議は12月、「誘致を支持するには至らない」との見解をまとめました。ILC誘致を推進している勢力は、「3月7日に日本で開催される世界の加速器研究所長の会合までに、日本政府が誘致を表明すれば間に合う」という趣旨の発言をしてきましたが、山下了氏は「日本が誘致すると言えないことははっきりしています」と、断言しました。非常に興味深い発言です。
柴山昌彦・文部科学大臣が、定例記者会見で国際リニアコライダー(ILC)に言及。「日本学術会議の所見を尊重。今後もマスタープランへの位置づけ、科学コミュニティの理解と支持が必要」と。歪んだ誘致活動のツケが露わになりつつあります。[2019年02月01日(Fri)]
 柴山昌彦・文部科学大臣の記者会見(平成31年1月25日)の動画と記録が公表されました。
 http://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/1413052.htm

 国際リニアコライダー(ILC)誘致問題に言及しています。
 柴山大臣は、「誘致を支持できない」とした日本学術会議の所見を尊重した対応を表明しました。今後についても、大型研究に関するマスタープランに位置づけて議論されるべきだとし、科学コミュニティの理解と支持を得ることが必要だと述べました。
 素粒子研究におけるILCの意義と誘致に関わる情報の全体を公表して住民合意をめざすのではなく、経済効果などを過大に宣伝する一方で地元負担や環境問題等を隠して進められた歪んだ誘致活動のツケが露わになりつつあります。ILCを推進・誘致するのであれば、日本学術会議が「所見」で示した様々な問題点をしっかりとクリアする必要があることがハッキリしました。
 誘致の動きの、不可解な経過は解明が必要です。
 そして、内発的発展をめざすという、本来の地域振策を正面から議論する必要があるのではないでしょうか。
 記者との一問一答は、以下のとおりです。

記者)
 別件で国際リニアコライダーに伺いたいんですけれども、先日、都内でまた誘致を求める会合がございましたが、政府としての検討状況について改めてお聞きしたいのと、あともう1点、学術会議、昨年の答申で支持するに至らないとしたのは、他の学術分野との対応不足なども上げておりましたが、大臣として改めて受け止めを教えていただければと思います。

大臣)
 昨年12月に受領した日本学術会議の所見において、「政府におけるリニアコライダーの日本誘致の意思表明に関する判断は慎重になされるべき」とされたということは承知をしております。そのため、文部科学省において、所見の内容を精査するとともに、関係省庁と連絡を密にして、各行政分野におけるリニアコライダー計画に対する考え方を聴取し、そしてしっかりと総合的な検討を進めていきたいと考えております。日本学術会議の所見はですね、素粒子物理学分野における一定の科学的意義は認めつつ、国際経費分担等の見直し、あるいは技術的・経済的波及効果等への懸念が示されているということでありまして、リニアコライダー計画を含めた我が国の学術の大型プロジェクトは、その正式なプロセスとして、日本学術会議において策定されるマスタープランをもとに、文部科学省の審議会において優先度を明らかにするロードマップへの位置付けが必要となります。日本学術会議の所見においても、「大型計画について学術会議として更に検討するとすれば、マスタープランの枠組みで行うのが適切」とされていることからですね、このリニアコライダー計画については、まずは日本学術会議のマスタープランにおいて、先ほど紹介させていただいた所見で示された課題への対応を含め、引き続き議論がなされ、国内の科学コミュニティの理解や支持が得られることが必要ではないかと考えております。そのような観点から文部科学省においては、先ほどお話しをさせていただいたとおり、関係省庁と連絡を密にして、各行政分野におけるリニアコライダー計画に対する考え方を聴取しつつ、慎重に検討を進めていきたいと考えるものであります。

記者)
 つまり、3月上旬というふうに研究者側は意向があるわけですけれども、大臣としては特別扱いというよりは、学術会議のいわゆる通常的なプロセスに乗っ取った検討の方が望ましいというようなお考えをお持ちなんでしょうか。

大臣)
 今御紹介をいただいたように昨年12月に国際研究者組織において、今年3月上旬までに日本政府が見解を示すことを求めるという意向が表明されたことは承知をしております。ただ、今申し上げたような筋論も含め、そういった国際的な動向や要請も注視をしつつ、日本学術会議の所見の内容をよく精査した上で、関係省庁と連絡を密にしつつ、プロセス的にですね、政府として対応を進めていくということではないかと考えております。

190125_shibayama_blog.jpg
国際リニアコライダーの誘致を日本学術会議が「支持しない」と回答した後の「政治決着で推進する」「別枠で予算措置すべきだ」という議論は「禁じ手」ですーILC推進の研究機関も「別枠予算」論は「ありえない」としています。[2018年12月24日(Mon)]
 国際リニアコライダー計画に関する意見を求められていた日本学術会議が12月19日、回答「国際リニアコライダ―計画の見直しに関する所見」を文部科学省に提出しました。
●回答のダウンロードはこちらから右矢印1日本学術会議のサイト

 そこで、ILCを「学術の大型研究計画に関するマスタープラン」とは別枠で予算措置すべきだという、新たなILC推論論が持ち上がっています。これをどう見たらいいのでしょうか。

 この新たな議論を見るうえで、まず日本学術会議の「回答」をよく見てみました。12月19日の回答は、11月14日、11月21日に検討会が示していた「所見」(案)を、いろいろな個所で加筆・修正しています。両者を比較すると、ILC誘致活動に対する日本学術会議の厳しい批判が浮かび上がってきます。
●比較しやすい資料のダウンロードはこちら右矢印1181224 日本学術会議の回答ー所見(案)の、どこがどのように変ったか<比較>.doc

 回答の中に、「今回、学術会議における公開審議やその報道等を契機として、推進者及び設置候補地の自治体から地域住民への説明の機会が持たれるようになったことは望ましい動きである」というくだりがあります。
 事情を知っている人々は、痛烈な皮肉が込められていることが、瞬時にわかると思います。これまでの誘致推進論は、地元の負担、さまざまなリスクにはだんまりを決め込んできたからです。
 一関市が、批判されたあと、ILCに関する「Q&A」を9月に訂正したことは、一面的なプロパガンダをしていたことを自ら認めたものだと言っていいと思います。

 ILCを誘致しようとするあまり、「研究者の村ができる」という趣旨の宣伝が続けられてきました。
 回答に、「ILC建設地に海外から多くの研究者とその家族が定住して国際科学都市が実現するというシナリオが描かれているようである。ILCの建設期間にはそれなりの作業人員が地域に常駐することが想定されるものの、稼働段階に入れば現地に必ず常駐するのは加速器の運転保守に携わる人員などが主となることが想定される。現在は情報通信ネットワークが発達し、リモートでもデータ解析ができることから、ILC研究所では建設終了後に常駐人口が減少していく可能性があるとされている」という箇所があります。

 ILCが建設されることによる経済効果が、主に岩手県内で宣伝されてきました。
 回答は「「ILC予算が純増で措置される」という前提に立って、2兆数千億円という数字が出されている。ILC計画の実施に必要と想定される国家予算がILCに投入された場合と他の事業に振り向けられた場合との比較で論ずるならば、経済波及効果の議論はまた別のものになるとも考えられる。その他にも、日本の予算で製作される物品をすべて国内メーカーが受注すると想定している点や、2次的波及効果の増強因子としてCERNの場合の係数3.0をそのまま用いている点など、議論の余地のある算定になっている」と、指摘しています。

 重要で多額の予算を要する科学技術研究は、学術の分野に関わる人々の合意にもとづいて、「学術の大型研究計画に関するマスタープラン」のもとで推進されています。
 日本学術会議が、ILC誘致を「支持しない」と回答した後、「別枠の予算措置とする」「政治決着でILCを推進する」という議論が持ち上がっています。
 日本学術会議の回答は、「ILC計画全体(準備期間、建設期間、運転・実験期間、廃止措置等)に必要な経費を『別枠の予算として措置する』ということの具体論は今後とのことであるが、国家予算である以上、最終的には国民の税金が原資となることに変わりはない。仮にも『別枠予算』という位置づけが、より広い学術コミュニティにおける多角的な検討の機会をバイパスするようなことがないよう、配慮が必要であり、この点は推進者も認識を一にしているところである」と、述べています。
 注目されるのは「この点は推進者も認識を一にしているところである」という箇所で、11月段階の所見(案)にはありません。12月の回答で新たに付け加えられたものです。

 11月段階の「所見」(案)では、「なお、ILC計画への予算投入が他の科学技術・学術分野に影響を及ぼさないように、『別枠の予算措置とする』との議論があると聞いている。ILC計画全体(準備期間、建設期間、運転・実験期間、廃止措置等)に必要な経費を『別枠の予算として措置する』ということが具体的にどういうことを意味するのかは不明であるが、国家予算である以上、最終的には国民の税金が原資となることに変わりはない。仮にも『別枠予算』という位置づけが、学術コミュニティにおける批判的検討の機会をバイパスするようなことにつながるとすれば、日本の学術全体にとって、そしてILC計画自体にとっても不幸なことである」と、なっていました。
 「学術コミュニティにおける批判的検討の機会をバイパスするようなことにつながるとすれば、日本の学術全体にとって、そしてILC計画自体にとっても不幸なことである」という箇所が削除され、「この点は推進者も認識を一にしているところである」という記述が加わりました。
 では「推進者」とは、誰でしょうか。ILC計画を推進する立場から発言を続けているKEK(高エネルギー加速器研究所)のILC準備室です。KEK ILC推進室は、「予算が別枠でであるか否かにかかわらず、学術界の批判的検討をバイパスすることはありえない」とし、だから「ここであえて検討の機会をバイパスすることの不幸について言及する必要はない」という意見を提出していました。これは注目に値します。

 回答は、「建設開始から実験完遂まで30年間という長期間にわたって上記のような巨額の経費の投入を必要とするILC計画は、一国の経済では支えることのできないものであることは明白である。適正な国際経費分担の見通しなしに日本が誘致の決定に踏み切ることはな」い、という点でも、KEKが認識を共通にしていることを指摘しています。
 回答は、「大型計画について学術会議として更に検討するとすれば、マスタープランの枠組みで行うのが適切であろう」という考え方についても、認識を共有しているとしています。

 以上の点を考慮に入れれば、「政治決着でILCを推進する」という議論は、「禁じ手」でしかないことが浮かび上がってきます。

ilc.jpg

 
速報=ILC(国際リニアコライダー)「誘致は支持しない」 日本学術会議が見解案。[2018年12月19日(Wed)]
 報道機関の速報です。 
 岩手県などが北上山地(岩手、宮城県)への誘致を目指している次世代加速器「国際リニアコライダー(ILC)」について、日本学術会議は19日、「誘致を支持するには至らない」とする見解案をまとめました。同日の幹事会で正式決定する見込みです。
 誘致の最終可否は政府が決めますが、見解案は政府に慎重な判断を求めています。

 見解案は、ILCの費用対効果に疑問を呈し、「科学的成果が巨額負担に十分見合うものという認識に至らなかった」と結論づけています。建設時や運転時における安全性や、海外との費用負担が明確になっていない点も「懸念材料」と指摘しました。実験施設の巨大化について、「いずれ持続性の限界に達する」と言及し、疑義を唱えました。

 ILCは、当初は長さ約30キロ(衝突エネルギー 500Gev)で計画されていましたが、日本学術会議は2013年に「時期尚早」と判断し、誘致の先送りを求めました。
 その後、計画が衝突エネルギー250GeVに変更され、長さを縮小して建設費を抑えられるとされていましたが、学術的価値が減るのに費用負担が大きく減るものでもないことが指摘されていました。
 建設に協力的な欧州の研究者組織は、今後5カ年の大型プロジェクトにILCを盛り込むため、建設の可否について年内に結論を出すよう日本政府に要望していました。文部科学省から依頼を受け、日本学術会議が可否を再検討していました。

ILC.jpg
日本学術会議の検討委が「国際リニアコライダー計画の見直し案」に関する所見 回答(案)を公表しました[2018年11月28日(Wed)]
 日本学術会議の「国際リニアコライダー計画の見直し案に関する検討委員会」が、「国際リニアコライダー計画の見直し案に関する所見」回答(案)を公表しました。
 同検討委員会の11月14日、11月21日の会議の資料1です。

●リンクはこちら→国際リニアコライダー計画の見直し案に関する検討委員会

●ダウンロードはこちらからもできます→181121 国際リニアコライダー計画の見直し案移管する所見 回答(案).pdf

syoken.jpg
国際リニアコライダー(ILC)の誘致実現を求める決議ー採決に加わりませんでした。[2018年10月18日(Thu)]
「国際リニアコライダー(ILC)の誘致実現を求める決議」について
        2018年10月18日
       日本共産党宮城県会議員団

 第365回宮城県議会定例会に「国際リニアコライダー(ILC)の誘致実現を求める決議」が提案されました。
 日本共産党は、基礎研究は重視すべきであると考えており、ILC等による素粒子研究の学術的意義についても認めています。
 政務調査会長会議に決議案が持ち出された際に、日本共産党は「今の時期に、決議は提案すべきでない」と主張しました。その理由は、「学者の国会」と言われる日本学術会議が、文部科学省の依頼を受けて「国際リニアコライダー計画の見直し案に関する検討委員会」を設置し、8月から始まった同委員会の検討が大詰めを迎えていることにあります。
 同委員会が検討している論点は、素粒子研究の戦略、ILCによる研究がそもそも成立するか、計画どおりに線形加速器を建設できるだけの技術と人材があるのか、プロジェクトの全体をマネージメントできる人材がいるのか、外国の人材・財政の支援なしには成り立たないがその見通しがあるのかなど、極めて専門性が高いものばかりです。ILCの建設と運用は巨額の資金を必要とし、周辺地域に及ぼす影響も非常に大きくかつ長期間にわたるので、誘致の可否は慎重に判断されなければなりません。
 日本学術会議の検討中はそれを見守り、検討結果を待つべきです。
 よって日本共産党は、ILC等による素粒子研究の意義を認めていますが、今は決議を挙げる時期としてはふさわしくないと判断し、採決には加わりませんでした。

181018_pass.JPG
「東北ILC推進協議会」が、またも野村総研のレポートをもとに国際リニアコライダーの経済効果を過大に宣伝−「根拠に乏しい」「候補地の地元に過剰な期待を抱かせ」ると批判された3日後に![2018年09月22日(Sat)]
 「東北ILC推進協議会 東北ILC準備室」が、国際リニアコライダー計画に関わる質問に答えるとして9月21日に「ILC Q&A集」を公表しました。
 URLはこちらです右矢印1http://www.pref.iwate.jp/seisaku/suishin/ilc/011158.html

 日本学術会議の「国際リニアコライダー計画の見直し案に関する検討委員会」が9月18日に「国際リニアコライダー計画の見直し案に関する論点メモ 」を公表したばかりです。「ILC Q&A集」には、「論点メモ」の内容とは異なる内容がいくつも含まれています。
 なかでもILCの経済効果についてですが、「ILC Q&A集」は、わざわざ野村総研のレポートを引用して数字を示しています。
 野村総研による経済波及効果のレポートについて、学術会議が「論点メモ」で、「ミスリーディングな表現が散見される」と厳しく指摘し、過大な計算結果を生みだしている計算方法にまで立ち入って批判したばかりです。
 ILC推進協議会等が宣伝している経済効果については、文部科学省の「国際リニアコライダーに関する有識者会議」の「これまでの議論のまとめ」(7月4日)でも、根拠が乏しく誇大ではないかとする批判が加えられています。
 行政も参加しているILC推進協議会が、専門家による繰り返しの批判を無視するつもりなのでしょうか。
 私は、その姿勢に疑問を抱かざるをえません。
 それぞれの抜粋を引用します。比較してみてください。

【日本学術会議の「国際リニアコライダー計画の見直し案に関する検討委員会」が公表した論点メモ(抜粋)

<ILC計画の説明>
〇国民への説明
 ILCは純学術的な研究施設であり、巨額を要する計画である一方、特段の社会経済的価値創成は期待できない。その推進には、国民に事実を正確に伝えた上で、その学術的意義の理解と支持を得なければならない。しかしながら、計画推進を主張する科学コミュニティの取組は従前の啓蒙モデルに基づく科学コミュニケーションと、経済波及効果や地域振興の文脈のプロパガンダにとどまっている印象である。
〇建設サイト候補地域への説明
  特に、ILCの建設候補地とされている地域の自治体や住民には、正確な情報を提供してコミュニケーションを図るべきである。経済効果、環境影響等に関して、適切な情報提供がなされるべきではないか。
<波及効果>
〇技術波及効果
 加速器技術が多方面に応用されていることは事実であるが、ILC計画の実施に伴う技術波及効果を論ずるうえでは、「ILCプロパー」技術の応用と「加速器一般」技術の応用とを明確に区別した形で社会に伝えるべきである。後者は、ILC計画が実 施されるか否かとは無関係である。「加速器」や「超伝導」に関わる技術を見境なく「技術的波及効果」にカウントするような言説は慎むべきである。
 ILC計画における超伝導加速器技術は特殊性が高く、一般の民生分野への応用にはハードルが高い。大きな波及効果を期待しないほうが良いだろう。そもそもILCで使用される諸技術は建設開始段階で成熟したものである必要があり、ILC建設過程で技術的イノベーションを想定する開発研究に依存するようなシナリオでは計画自体が成り立たない。また、要素機器の量産が民間の新たな技術開発を誘発する要素も少ないと考えられる。
〇経済波及効果
 野村総研による経済波及効果のレポートにはミスリーディングな表現が散見される。経済効果を論ずるには、ILCで想定される国家予算が、ILCに投入された場合と、他の事業に振り向けられた場合との比較で論ずるべきと思われるが、レポー トでは「ILC予算が純増で措置され、他の予算が削られることはない」という前提に立っているが、経済波及効果を論じる上でも具体的にどのような措置を講じればそのようなことが実現できるのかがまず明らかにされることが肝要であると考える。
 また、日本の予算で製作される物品をすべて国内メーカーが受注すると想定している点や、2次的波及効果の増強因子としてCERNの場合の係数3.0を機械的に用いている点など、極めて荒っぽい算定になっている。
 その他にも、根拠に乏しい経済波及効果の数字が流布し、地域振興の文脈でサイト候補地の地元に過剰な期待を抱かせている。このことにより、ILC誘致に関する議論が歪められている。

「ILC Q&A集」(抜粋)

5−2 ILC の波及効果はどのように見込まれていますか?
 科学技術立国としての日本の存在意義を示すことができる、日本から世界的成果を生み出すことで国民の誇りや世界から尊敬される国となり得る、ものづくり日本の再生、次世代人材の育成等々、 大きなメリットがあるものと考えます。
 また、直接的な波及効果としては、施設整備の土木・建設工事、施設周りの機械、給水排、空調等の工事をはじめ、観測・監視システムや各種制御関連の事業や大型施設、機器の輸送等による物流 関連にも効果がおよびます。 研究では、その成果が世界の科学の進歩に大きく貢献するほか、関連技術で医療や生命科学、新機 能材料、通信、計算機分野等で新たな技術開発や製品開発が期待されます。
 将来を担う子どもたちにとっても、世界中の優れた研究者が国籍や宗教、人種を超えて集結しますので、岩手に居ながらにして世界と直接触れられる、最先端の研究を体感できるなど他地域にはな い環境ができますので、多くの刺激を受けること、視野が広くなること等が期待されます。

5−3 ILC の経済波及効果はどの程度ですか?
 文部科学省によると、約20キロメートルのILCを建設した場合(加速器建設費5,200〜5,800億円、測 定器建設費1,000億円)の日本負担額は2,800〜3,200億円と試算されています。また、建設10年・運用10年の20年間の最終需要(直接支出)は約7,000〜7,600億円で、これに技術開発による経済波及効果(付加ビジネス)が約5,200〜5,800億円発生することから、直接効果は約1兆2,200〜1兆3,300億円と試算されています。
 これにより生産誘発額(経済波及効果)は、約2兆3,800〜2兆6,100億円と見込まれています。
 出典元:「国際リニアコライダー(ILC)計画に関する経済的波及効果の再計算結果報告書」(平成30年5月、 株式会社野村総合研究所(受託者))
 さらに、わが国全体には加速器関連技術の発展・利用による産業の波及効果が、ILC 近傍地域では住宅・オフィス・商業施設・ホテル等建設による商圏ビジネスの民間投資と研究者等の日常消費と観光・学会支出など多くの効果が見込まれます。

180921_ilc.jpg
地元への説明に厳しい批判ー学術会議の検討委員会が国際リニアコライダー(ILC)についての「論点メモ」全文を紹介します。ILC計画が抱えている困難、巨大加速器という研究手段の限界にも言及しています。[2018年09月20日(Thu)]
 日本学術会議の「国際リニアコライダー計画の見直し案に関する検討委員会」が第5回の会議を同委員会技術検証分科会と合同で9月18日に開催されました。ここに提出された「論点メモ」は、ヒッグスファクトリーに計画変更された国際リニアコライダー(ILC)に関わる問題意識がよく整理されており、これからの議論のテーマも浮かび上がってきます。
 この中で、ILC計画の説明のあり方、とくに地元に対して経済効果が過大に説明されていることなどを厳しく批判しています。学術団体である日本学術会議の文書に、このような指摘が登場すること自体が異常なことです。かかる行為を繰り返してきた関係者、とくに自治体には、厳しい自己点検が求められていると思います。
 全文を紹介します。

「国際リニアコライダー計画の見直し案に関する論点メモ 」
                  2018 年 9 月 18 日
 国際リニアコライダー計画の見直し案に関する検討委員会
 同 技術検証分科会

 日本学術会議は、日本の科学者コミュニティの代表機関として、あらゆる学問分野における知の探究を奨励するとともに、学術の振興ならびに知の普及や成果の社会還元に資する施策を検討し、提言等を発出している。知のフロンティア開拓に挑戦する研究計画については、その学術的意義や実施可能性が認められれば、それをエンドースするのが基本的スタンスである。さらに、学術には人類共通の目標にむかって、国の枠を越え、多様性を活かした協同作業により世界平和に貢献できる力 があることから、国際共同研究の推進も奨励しているところである。
 しかしながら、本件(国際リニアコライダー計画)のような巨大研究施設建設を伴う国際プロジェクトに関しては、その学術的意義はもとより、建設ならびに維持・運転に要する経費、国際協力も含めた計画実施の見通し、関連学術コミュニティの合意状況、設置候補サイト周辺への影響、等の諸条件を特に慎重に精査することが求められる。

 学術会議は、平成 25 年に文部科学省研究振興局からの審議依頼を受けて、回答 『国際リニアコライダー計画に関する所見』を取りまとめた。その中で、検討すべき重要課題として、 (1) 高度化される LHC での計画も見据えた ILC での素粒子物理学研究のより明確な方針 (2) 国家的諸課題への取り組みや諸学術分野の進歩に停滞を招かない予算の枠組み (3) 国際的経費分担 (4) 高エネルギー加速器研究機構(KEK)、大学等の関連研究者を中心とする国内体制の在り方 (5) 建設期及び運転期に必要な人員・人材、特にリーダー格の人材を挙げた。

上記の「回答」を受けて文部科学省に設置された「国際リニアコライダー(ILC) に関する有識者会議」において審議が行われ、一連の報告書が取りまとめられた。
 平成 30 年 7 月 20 日付で、文部科学省研究振興局長より日本学術会議会長あてに 「国際リニアコライダーに関する審議について(依頼)」が寄せられたことを受けて、本委員会ならびに分科会が設置された。
 委員会ならびに分科会では、上記「有識者会議報告書」をもとに、適宜参考人のヒアリングを行うなどして審議を進めている。この「論点メモ」は、審議途中の論点整理の意味で作成したものである。
 なお、以降では、主として本検討委員会において検討された項目に「(委)」、主として技術検証分科会において検討された項目に「(分)」を付している。

<ILC が目指す物理>(委)
〇レプトンコライダーの必要性
 ハドロンコライダーでエネルギーフロンティアを追及する LHC と相補的な役割を担うハイルミノシティのレプトンコライダーが世界のどこかに実現することは必要かつ望ましいことである。

〇250GeV ILCの研究目標
 13TeV LHC の実験結果を踏まえて、研究目標をヒッグス結合の精密測定に絞ったことは妥当な選択である。その目的に最適化するために、500 GeV 計画を見直して250GeV 計画としたことも肯けるものである。
  一方、この選択により、見直し後の 250 GeV ILCは、ほぼ単一目的のヒッグス・ ファクトリー(ヒッグスの精密測定)という位置づけになり、500 GeV 計画の中にあったトップクォークに関する実験はスコープから外れることとなった。また新粒子探索の可能性も大幅に縮小した。

〇ヒッグス結合の精密測定で想定される結果
 建設後約20年間の運転で積算ルミノシティ2000 fb-1のデータを蓄積し、各粒子のヒッグス結合定数を精密に決定して、標準理論で予想される「質量との比例関係」からのズレの有無を検出することとしている。統計的に有意なズレが見いだされた場合にはそのズレのパターンによって、ヒッグスが複合粒子であることが示唆されたり、超対称性粒子や余剰次元の存在が示唆されたりすることとなり、素粒子物理学研究の方向性を示すこととなる。
 問題は、標準理論からのズレが見い出されない場合である。標準理論が高精度で成立していることが確認される一方、なぜ成立するかの理由は不明で、250GeV ILCで探索可能なエネルギー領域よりも高いところに新物理があるはずという帰結、あるいは、「人間原理」のような説明を持ち出すことになるともいう。
 より問題なのは、ルミノシティが上がらなかったり稼働時間が不足したりすることにより積算ルミノシティが予定に達せず、標準理論からのズレに関して明確な結論に至らない場合である。
 未踏の領域への挑戦なので「やってみなければわからない」という側面があることは十分に理解するものの、巨額の予算を投入することを前提とした計画である以上、計画段階で考えうる限りのシナリオを周到に描き、それぞれの場合の行動計画を立てることが求められる。「準備期間に検討する」、「結果が出てから考える」では説得力に欠ける。

〇高エネルギー加速器物理学の限界
 LHCやILC計画の予算規模を見ると、高エネルギー加速器物理学は持続性の限界に達しつつあるとの印象を拭えない。より高いエネルギーの加速器を次々に建設しなければ研究が進まないとすれば、そのような研究戦略が有限のリソースしかないこの世界で早晩行き詰まることは必至である。LHCやILCの先に何を構想するのか、 高エネルギー物理学コミュニティは巨大化路線からの転換を含む将来構想を真剣に検討すべきであろう。

<ILC 加速器>(委、分)
○ILC 加速器の構成
 ILC 加速器において乗り越えるべき技術的挑戦課題として、陽電子源、ダンピングリング、ビーム制御、超伝導加速空洞、ビーム集束、検出器、ビームダンプ等がある。それらの個別要素の信頼性とともに、異常事態に対処するインターロックなど、事故を未然に防ぎ長期に亘って安定的な運転を担保する巨大総合システムとしての十全性が必須である。

〇陽電子源
 ヘリカルアンジュレーター方式と従来型ターゲット方式の2案が併記されている。前者は偏極ビームが得られるというメリットがあるが技術的に未経験であり多くの開発要素を含んでいる。後者にしても所定の強度を得るのは決して容易な達成目標ではない。 250GeV ILCの主目的であるヒッグス結合の精密測定には偏極ビームは必ずしも 必須ではないとの説明であった。後者を前者のバックアップと位置付けて2案並立で開発を進めるのか、適切な時点でどちらかの方式に絞るのか、開発コストも考慮して方針を明確にすべきであろう。

〇ビーム集束と位置制御
衝突のルミノシティを上げるために、ダンピングリングで電子および陽電子ビームのエミッタンスを十分に小さくし、それぞれを主加速管で加速した上で、ビーム 径を絞ってナノメートル精度で正面衝突させることが想定されている。所定のルミノシティを達成するためのビーム集束および位置制御に関するフィードバック等に関する技術見通し、衝突点サイトにおける常時微細動としてどの程度までが許容範囲か定量的評価が必要である。

〇超伝導加速器
全体経費の相当部分が、超伝導加速空洞およびそれらを収めたクライオモジュールの製作費である。超伝導加速管の加速勾配として現時点での技術レベルに基づき35MV/m を基準としているが、技術開発によってこれが大幅に向上する余地はないか。一方、超伝導加速空洞の大量生産計画が材料のニオブの価格高騰を招くリスクもある。

〇検出器
 2種類の検出器(シリコントラッカー方式の SiD と、タイムプロジェクションチェンバー方式のILD)が提案されている。異なるコンセプトの複数の検出器で互いに検証することの意義は理解するものの、衝突点に設置できるのは1台のみなので、タイムシェアリングが行われることになる。
 ヒッグスファクトリーと位置付けられることになった 250GeV ILCのミッションを踏まえて、それぞれの検出器の特徴や役割の違い並びにタイムシェアリングの計画などについてより詳細な検討を行う必要がある。
 TDRの段階では、1 TeV までの実験を視野に入れた設計がなされていたと思われる。ヒッグス結合の精密測定という主目的に照らして最適の選択が何かについて改めて検討が必要であろう。 なお、仮に検出器を1台に絞るような選択をする場合、国際協力体制に影響が及ぶ可能性にも留意する必要がある。

〇ビームダンプ
 高エネルギーに加速された電子および陽電子ビームは衝突点を通過した後、ビー ムダンプの窓を通して10気圧の水に入射する。窓材や水ダンプへの局所的負荷を分散するためにビーム入射点を高速で回転する設計となっている。不測の事態や長期的な消耗に対する備えが十全であるかさらに検討が必要である。特に、窓材の健全性モニタリングと遠隔操作による交換作業の詳細や、高エネルギービームと水との反応で起こる事象について、これまでの説明では不安を拭えない。

〇巨大総合システムとしての ILC
ILC は、そのすべての構成要素が長期に亘って安定的に稼働しなければ初期の目的を達することのできない実験装置である。巨大総合システムの信頼性はその構成要素のうち最も脆弱な部分で決まる。TDRには、目指す物理やILC の「主役」たる超伝導加速空洞やダンピングリングやナノビーム制御などについては詳しい記述がある一方、ビームダンプなどの「裏方」の部分に関する記述が極めて少ないことに不安を覚える。

<計画遂行に必要な人材>(委)
〇計画推進に必要な人員
ILC 計画を 10 年 20 年スケールで担ってゆく人材が質・量ともに必要である。日 本の高エネルギー物理コミュニティ、加速器科学コミュニティの現状では、必要人員を満たすことは極めて難しいように思われる。特に加速器については、さまざまな加速器プロジェクトがある中で、大学等および産業界にどのような人材が居り、 あるいは新たに育成しなければならないのか、具体的で実現可能な人材育成プランが必要である。一方で、ILC計画のために動員・育成した人材のその後の活躍の場についてどのような図を描いているのか。種々の加速器関連プロジェクトを担って行く人材配置の全体像が見えない。

〇計画全体を俯瞰するマネジメント体制
大規模国際共同プロジェクトで建設・実験が進められる ILC 計画の全体をコーデ ィネートする指導的人材、特に、巨大システムであるILC加速器の建設から運転を総合指揮する加速器研究者が見えない。ILCは、全体装置が一体となって稼働して初めて所期の研究が可能となるものであるが、全体マネジメント体制の準備状況が見えない。

〇ILC と他のプロジェクトとの人材配置
 素粒子物理学のコミュニティだけを見ても、研究者はそれぞれが様々なプロジェクトにコミットしており、コミュニティを挙げてILC 計画を遂行する体制になるとは考えにくい。推進研究者たちは、「ILC計画がスタートすれば自ずと人が集まる」と楽観しているようである。素粒子物理研究者についてはあるいはその通りかもしれないが、加速器研究者・技術者を結集できるかについては見通しが甘いのではな いか。

<必要経費と他分野への影響>(委)
○ILC 計画実施に必要な予算
 ILC に必要な予算は、既存の文部科学省予算(例えば、学術研究の大型プロジェクトに係る年間予算額(補正予算を含む)は、326 億円〜526 億円)では到底カバーし得ない規模である。現在の科学技術関連予算を大幅に増やすか、現在の科学技術予算の枠外の予算を投入しないかぎり、実施は不可能である。「別枠の予算」という言説もあるが、国民の理解を求めるのであれば、その具体的な展開方策が早急に明らかにされることが、喫緊の課題ではないかと考える。

〇学術全体への影響
 ILC 計画の必要経費が、素粒子物理学分野の既存の予算規模に収まる程度であれば分野内の議論に任せることも考えられるが、その場合でも非加速器実験も含めた素粒子物理学全体の将来計画に基づいたものでなければならない。ましてや、それを大幅に超える規模の投資を要するものである以上、他の学術分野コミュニティか らも支持される計画でなければならない。特に、原子核、天文宇宙、物性など、物理学の隣接分野からの支持・理解がどれだけ得られているのか、また今後得られる見通しなのかは明らかでない。これまで、「別枠予算」という前提を立てることに よって、他分野の将来計画とのバッティングも視野に入れたギリギリの議論を先送りしてきたことは問題である。

〇KEKのミッションとILC計画
 ILC 計画を実施するにあたり、KEKが大学共同利用機関としてこれまで担ってきた機能をどうするのか。ユーザーコミュニティとの話し合いはできているのか。KEK教育研究評議会でILC計画へのコミットメントは承認されているのか。KEKの中期計画にはどのように書き込まれているのか。ILC 研究所への人材供給等、KEKとしてのスタンスはどのようなものか。これらの点についてKEKの方針とコミュニティのコンセンサス形成状況を確認する必要がある。
文部科学省所轄の大学共同利用機関であるKEKと、新たに国際研究機関として構想されるILC研究所との関係について、法的位置づけも含めた議論が必要であろう。

<国際協力と経費分担>(委)
〇国際協力体制
 ILC が一国の経済では支えることのできない規模の計画であることは明らかである。国際共同事業として進める場合、まずもってそれを推進する国際的研究者コミュニティの熱意が、計画実現に際しての種々のハードルを乗り越えることができるほどに高いことが必要不可欠である。欧州や米国の姿勢は、日本の動きを模様見している状況である。適正な国際分担の見通しなしに日本が誘致を決定すべきではない。

〇アジアという視点
 米国、欧州、日本、という三極の構図は、近年の科学の水準や国力の状況からしても適切な見方ではない。アジア諸国も視野に入れた国際協力のスキームを積極的に考えるべきではないか。 科学技術外交の観点も加味し、物理学の持つオープンで自由な相互批判を旨とする科学的文化がアジアの国々に根付いていく効果も含めて、オールアジアないしは 東アジア(中国・韓国・台湾・シンガポール等)との連携も視野に入れるべきではないか。
 LHCと補完的なレプトンコライダーという原点に戻って、最適な候補地、経費分担のあり方、更には本当にリニアコライダーであるべきなのか等、国際的にベストの選択を目指すべきではないか。

<ILC 計画の説明>(分)
〇国民への説明
 ILCは純学術的な研究施設であり、巨額を要する計画である一方、特段の社会経済的価値創成は期待できない。その推進には、国民に事実を正確に伝えた上で、その学術的意義の理解と支持を得なければならない。しかしながら、計画推進を主張する科学コミュニティの取組は従前の啓蒙モデルに基づく科学コミュニケーションと、経済波及効果や地域振興の文脈のプロパガンダにとどまっている印象である。

〇建設サイト候補地域への説明
 特に、ILCの建設候補地とされている地域の自治体や住民には、正確な情報を提供してコミュニケーションを図るべきである。経済効果、環境影響等に関して、適切な情報提供がなされるべきではないか。

<実施計画>(委、分)
〇進捗評価と軌道修正
 実施計画にはすべてのことが予定通り順調に進行した場合のシナリオしか書かれていない。設備建設、装置開発・製作の過程において深刻な技術的困難に遭遇することや、国際協力に関して人的貢献や経費負担が当初の取決めと異なる事態とな る事など、想定し得るリスクをリストアップしてその対策を練っておかなければならない。
 巨大プロジェクトの実施においてすべてが予定通り進むことはむしろ例外的であることを思えば、プランA(当初計画通りの順調な進捗)だけでなく、プランB、プランC、すなわち種々の困難に遭遇した場合の代替案や迂回策の検討もなされるべきである。さらには、計画にいくつかのチェックポイントを設け、それら の時点でしかじかの条件がクリアされていなければ計画中止に向かうという「撤退シナリオ」もあってしかるべきではないか。

<トラブル・災害対策>(分)
〇運転時のトラブル対策
 運転中の非常事態の予防措置や、トラブル発生時の被害食止め策に関して十分な 記述がなく、どの程度の検討が行われているのか不明である。トラブルの可能性として、ビームダンプあるいは陽電子ターゲットへの過負荷(冷却不調)、ビーム制御外れ、クライオジェニックス系統のトラブル、応力腐食割れ(放射線を受けて水から分解した、酸素、過酸化水素などの酸化種の濃度がビームダンプの構造材の溶接の残留応力と材質劣化が重畳することによって生じる)、トリチウム(試算によると 100 兆ベクレル(飽和))水漏れ、などが考えられる。そのほかにも、停電や地震発生時の緊急停止装置など、多重の安全対策が必要と考えられる。

〇放射線管理区域
 運転開始から時間が経過してある程度の放射化が進んだ時点でのトラブルや故障を想定して、人が立ち入って作業できる区域と立ち入れない区域を明確に区分し、後者での作業方法をあらかじめ十全に検討しておくべきである。

〇地震対策等
 建設から運転まで 20〜30 年スパンのプロジェクトであることから、その間に大規模な地震に見舞われることを想定しておくべきである。さまざまな規模の地震などの災害時を想定した多重防護の仕組みを組み込んでおくべきである。工事中や保 守点検時など、トンネル内に人が居る状況での地震や火災発生時の避難路および避難方法を確立しておく必要がある。緊急のビームシャットダウンとその後の安全停止、重大破損予防策が重要である。

〇停電対策
 様々なパターンの電源喪失を想定して、緊急ビームシャットダウンをはじめとする、インターロックシステムの作動シークエンスとそれによって発生する状況を検討しておくべきである。 無停電電源の適切な配置とともに、ある程度の期間(例えば数日間)にわたる停電を想定して、非常用電源(自家発電装置)等の維持装置を配することが必要である。その際、土砂災害等を考慮した非常用電源の配置場所についても検討しておくべきである。また、蒸発ヘリウムガスの回収や湧水の排水を担保しておかなければ ならない。

<土木工事等>(分)
〇土木工事
 20kmにわたって精度高く直線性を維持したトンネルを掘る工事が通常の土木工事と比べてどの程度の技術的課題があるのか。
 工事途中で、活断層や破砕帯など工事困難箇所に遭遇した場合の対策及び追加費用について予算計画に組み込んでおく必要があるのではないか。

〇建設候補サイト
 地下空洞建設工事に関する検討事項は、対象サイトが特定されない(明示されない)ことが前提となれば、経費算定の適否の判断等は一般論に終始せざるを得ない。
 日本の山岳地域を想定した建設コストの算定は概ね妥当なものと考えられるが、一 直線からのズレが許されない設計であることから、活断層や破砕帯に遭遇した場合に想定以上の経費がかかることもあり得る。
 (検討項目から除外されている)建設に当たっての事前準備費用や所要の時間は、サイト条件によって大きく変動するものである。すなわち、建設に当たっての地元了解、ならびに必要とされる土地取得や、環境アセスメント、建設現場への周辺ア クセス道路整備等は、当然事業主体が実施するべきものである。いずれも費用と時 間を要するだけでなく難しい交渉を乗り越えることが求められるものであるにも かかわらず、準備期間4年で可能という想定は極めて危ういものと考えられる。
 大型重量物の搬入が必要となることを考慮すると、既存の道路では建設サイトへ近づくことができないであろう。アクセス道路や、海外からの施設搬入港湾の改修整備費用は特に高額になることが予想されるので、現状で想定されていない費用の明示は不可欠であろう。

<環境アセスメント>(分)
〇環境影響評価
 大規模トンネル工事の環境アセスメントを地域住民が納得する形で行う必要がある。生態系への影響、放射化物の生成とその処理ないしは保管方法、地下水の放射化の可能性とその対策、掘削に伴って発生する土砂(ズリ)の保管および再利用法、ならびに掘削土砂に含まれる重金属類が基準値以上の場合の処理など。

〇放射化物生成とその対策
 ILCの運転に伴う放射化物の生成の問題や、立地周辺の環境への影響について、正確な情報を地元に伝えることが必須。

〇プロジェクト終了後の処理計画
 プロジェクト終了後のことを推進者は真剣に考えるべきである。ILCの特性からして、他の用途に転用することは困難と思われる。廃止措置も含むプロジェクト最終処理の点も計画に含めるべきである。
 SLACの事例を引き合いに、ILCを原子核や物性など他分野の研究に利用する可能性にも言及されているが、リップサービス以上のものがあるのか疑問である。そもそも大深度地下に設置された加速器を他の目的に転用することは極めて困難であろう。


<波及効果>(分)
〇技術波及効果
 加速器技術が多方面に応用されていることは事実であるが、ILC計画の実施に伴う技術波及効果を論ずるうえでは、「ILCプロパー」技術の応用と「加速器一般」技術の応用とを明確に区別した形で社会に伝えるべきである。後者は、ILC計画が実 施されるか否かとは無関係である。「加速器」や「超伝導」に関わる技術を見境なく「技術的波及効果」にカウントするような言説は慎むべきである。
 ILC計画における超伝導加速器技術は特殊性が高く、一般の民生分野への応用にはハードルが高い。大きな波及効果を期待しないほうが良いだろう。そもそもILCで使用される諸技術は建設開始段階で成熟したものである必要があり、ILC建設過程で技術的イノベーションを想定する開発研究に依存するようなシナリオでは計画自体が成り立たない。また、要素機器の量産が民間の新たな技術開発を誘発する 要素も少ないと考えられる。

〇経済波及効果
 野村総研による経済波及効果のレポートにはミスリーディングな表現が散見される。経済効果を論ずるには、ILCで想定される国家予算が、ILCに投入された場合と、他の事業に振り向けられた場合との比較で論ずるべきと思われるが、レポー トでは「ILC予算が純増で措置され、他の予算が削られることはない」という前提に立っているが、経済波及効果を論じる上でも具体的にどのような措置を講じればそのようなことが実現できるのかがまず明らかにされることが肝要であると考える。
 また、日本の予算で製作される物品をすべて国内メーカーが受注すると想定している点や、2次的波及効果の増強因子としてCERNの場合の係数3.0を機械的に用いている点など、極めて荒っぽい算定になっている。
 その他にも、根拠に乏しい経済波及効果の数字が流布し、地域振興の文脈でサイト候補地の地元に過剰な期待を抱かせている。このことにより、ILC誘致に関する議論が歪められている。

〇経済活性・地域振興
 土木工事については地域への投資投下がある程度見込まれるが、加速器本体の建 設は国際的経費負担で、多くがイン・カインド(現物支給)方式での供給となり、また国際入札となるため、必ずしも国内の産業が受注できるとは限らない。CERNの事例を確認する必要がある。
 建設時・運転時に地域に定住ないし長期滞在する研究者およびその家族の人数見込みとついて1万人といった誇大な数字が流布している。建設が完了して運転フェ ーズになれば、施設の維持・運転を行うスタッフは必要であるが、物理研究者はデータ解析がリモートで行えるので現地に滞在するインセンティブは高くない。この点は、SPring-8やJ-PARCのような実験施設に入れ替わり立ち替わりユーザーが訪れるのとは大きく異なる。
 仮に、構想されているような国際研究都市の構築を目指すとすれば、そのインフラ、すなわち公共施設や商業施設のハード、および外国語 対応サービスのソフトの両面にわたる環境整備に相当の経費を要することになるが、その経費負担について関係セクター間で協議が必要となる。

*参考として、ITER 計画に係る閣議了解(平成 14 年 5 月 31 日)においては、政府として、以下の点に留意するものとされている。

●ITER の建設・運転等に対し立地促進のために特段の財政措置は講じないこと。
●ITER 計画の実施に関連する公共事業については、その規模を通常の公共 事業費の中での優先的配分により対処し得るものにとどめ、国庫補助負担 率引き上げ等の国による特別の財政措置は講じないこと。
●国は、ITER 計画に関し、安全確保を図るとともに、国民への情報提供等 を通じて一層の理解が得られるよう努めること。
●また、誘致に当たっては、関係地方公共団体に対して、ITER 計画の円滑 な実施を実現するため、所要の措置を講ずるよう要請すること。

【さらに確認すべき点】
<物理>
・実験の結果、標準理論からのズレが見い出されない場合の研究戦略。
・ヒッグス結合の精密測定が、素粒子物理学の最重要課題と言えるか、標準理論からのずれの検出には様々なアプローチがあるのでは。
・もし最重要課題と誰もが認めるなら、国際的な声が挙がってしかるべきでは。
・ILC は20年後にも魅力ある装置であり続けることができるか。
<加速器>
・陽電子源の選択はどの時点でどのような基準でなされるのか。
・2つの検出器が本当に必要か。それらのタイムシェアリングはどうするのか。
・ビームダンプの健全性のモニター、遠隔操作による窓の交換はどのようにするつもりか。
・第2ビームダンプは有効か。
・ビームダンプ異常時のセパレーションのためのゲートバルブが誤作動して閉まった場合、ビームが直撃することになるが、その場合に何が起こるか。
・巨大総合システムとしての ILC。
・インターロックの体系と、それらの相互タイミング設定。
・トリチウム等放射性物質を含む一次冷却水の漏水が起こった場合の対処法。
・周囲の地下水の放射化の可能性とその対策。
・ILC を他の用途にも使うということをどの程度本気で考えているか。廃止措置経費も国際分担としないのか。
<人材>
・巨大総合システムとしてのILC全体を俯瞰する指導的人材。
<経費>
・予算計上に含まれていない項目およびその必要額のリストアップ。
・コンティンジェンシーの考え方。
<コンセンサス>
・素粒子物理学コミュニティにおいてどのようなコンセンサスができているか。
・KEKの中で、将来計画と優先プロジェクトについてどのような検討がなされているか。将来計画は教育研究評議会に諮られているか。
・物理学コミュニティに対する説明と支持要請はなされているか、それに対する反応は?
<国際協力>
・国際連携に関して、欧州や米国のグループはそれぞれの政府にどの程度の働きかけをしているのか。日本が誘致を宣言してから始めるということか。
・アジア諸国、特に中国の研究グループとの話し合いは行われているのか。
<土木工事>
・地下水の出水とその対策。
・活断層や破砕帯など工事困難箇所に遭遇した場合の対策と追加費用。
・ILC のトンネルには、通常のトンネル工事より厳しい仕様が求められる点がないか。
<不測の事態>
・電源喪失が生じた場合の対策。非常用電源の持続時間。
・電源喪失や誤作動が起こった場合に安全サイドに流れるか。
<地域住民への説明>
・リスクとその対策、経済効果等について正確な情報を伝えているか。
・土地収用の方法と権利関係。
・生態系も含む周辺環境への影響評価。
・放射化物の生成とその処理法。
・プロジェクト終了後の処理とその経費。

引用は、ここまでです。

<国際リニアコライダー計画の見直し案に関する検討委員会 のサイトを見たい人は>
 日本学術会議のHPの上部にあるバナーのうち「委員会」をクリックしてください。
次の画面を下にスクロールしていくと「国際リニアコライダー計画の見直し案に関する検討委員会 」のバナーがあります。
URLはこちら右矢印1国際リニアコライダー計画の見直し案に関する検討委員会


180921_blog.jpg
国際リニアコライダー(ILC)計画は、全体像をありのままに県民に周知をー村井知事に問題提起(予算特別委で) 県民に一度もキチンと説明せずに大きなリスクを引き受けることになる誘致を進めていることは疑問です[2018年09月04日(Tue)]
 宮城県議会の予算特別委員会で9月4日、最後の一問で、素粒子の実験施設である国際リニアコライダー(ILC)計画を取り上げました。
 岩手県や宮城県などが北上山地に誘致しているILCについては、日本学術会議が2013年9月に「時期尚早」という「所見」を、いったんまとめました。
 その後、文部科学省のもとに「国際リニアコライダーに関する有識者会議」が設置され、巨額の投資に見合う科学的意義あるのか、コスト面や技術面などにどんな課題があるのか、検討が重ねられました。
 ILCの衝突エネルギーを500GeVから250GeVに下げる計画変更が行われたため、有識者会議は再度の検討を加え、「これまでの議論のまとめ」が7月4日に公表されました。日本学術会議は、「これまでの議論のまとめ」を踏まえて、ILC誘致計画の是非について再び検討を始めています(第1回は8月10日に開催されています)。
 「これまでの議論のまとめ」は、ILC計画の全体像がわかる文書です。しかし、公表されてから間もないので、この文書をもとにした議会論戦は、国会・地方議会を通じて初めてではないかと思います。ごく短時間で、質問も一問だけですが、「ILC計画を捉える視点を問題提起する質問になったのではないか」という感想をお寄せいただきました。

 大事なことは、誘致が決定したら現実の問題になるリスクやコスト、県と市町村の行政課題などが、一度もきちんと説明されたことがないことです。メディアのほとんどの報道にも、欠落しています。
 日本学術会議が、「地元はリスク等を承知したうえで誘致している」と、事実を誤認して判断を下したら、一体どうなるのでしょうか。ILC誘致に賛成か、反対かという対立の図式をつくるべきではないと願って行った質問です。 
 質問と答弁の概要をお知らせします。

●<中嶋廉委員>
 最後に、県が今年度に初めて重点要望に加えた国際リニアコライダー(ILC)の計画について伺います。
 ILCは衝突エネルギーが500GeVから250GeVに引き下げられました。文部科学省の「国際リニアコライダーに関する有識者会議」が、この見直しされた計画について検討し、7月4日に「これまでの議論のまとめ」を出しました。「見直し後のILC計画の全体像」を周知することが肝要だと、報告している点が重要だと思いました。
 計画の見直しで、ILCの「科学的意義」は後退しました。トップクォークの精密測定は不可能になりました。LHCの最新の研究を踏まえて、ILCによる新粒子発見の可能性も低いということがわかりました。
 期待したコスト圧縮は見込めません。建設費や運転経費は約7割前後になる一方で、日本の負担割合が高くなり、各国政府の経費負担に明確な見通しがなく、加えて、新たな経費、予期せぬ出費、実験終了後の解体経費も必要だからです。
 重要なことは、大きなリスクの存在が明らかになったことです。中性子を含む放射線が放出されて空洞や地下水などを放射化するため、放射性物質が漏洩する可能性があり、実験終了後にビームダンプ装置などの実験装置や空洞を長期間にわたり維持管理する必要があります。また、環境アセスが行われない可能性があり、新たな法律や規制がいくつも必要であることも浮かび上がり、これが報告されています。
 私が言っているのではありません。有識者会議が「まとめ」で、そういうことを報告しているんです。
 これまでILCは経済効果ばかりが喧伝されてきました。県は、有識者会議の「まとめ」が述べているように、「全体像を」明らかにする姿勢で臨み、課題・リスク・地元負担の問題などにも目を向けるべきです。知事には、適宜・適切な判断を求めたいのですが、お答えください。

●<村井知事の答弁>
 ILCの整備計画につきましては、今年の7月20日に文部科学省が日本学術会議に対しまして、加速器の全長を短縮し、建設費を削減する新計画につきまして、審議を要請したところでありまして、今後、その審議結果を受け、誘致計画の可否の判断がなされるものと承知しております。
 ILCは、国際的なプロジェクトであり、さまざまな課題やリスク等につきましては、各国と各国際機関の詳細な検討と厳重な監視のもとに解決が図られていくものと認識をしております。
 いま、いろいろなリスク等についても、お話になりましたが、私は素人ですので、詳しいことはわかりません。こういったことにつきましては、専門家の方たちに大所高所から、科学的に検討していただくことが重要であろうと認識しております。
 宮城県といたしましては、岩手県、あるいは東北の各県といっしょになりまして、国や日本学術会議の動向を注視しながらでありますけれども、シッカリと情報収集につとめ、宮城県といたしましては誘致に努めてまいりたいと考えております。ご理解たまわりますよう、よろしくお願い申し上げます。

●<中嶋廉委員>
 ILC計画は、全体像を等身大で判断すべきだということを問題提起して、今日は終わります。

180904_blogn.JPG





















<参考>
 電子線を回収するビームダンプ装置の内部で、電子ビームと水が反応して放射性核種を大量に作ることが、「有識者会議」に提出された野村総研の報告書に記されています(報告書の125ページ)。
 以下のように記述されています。
 Hとは、福島原発による汚染水で大問題になっているトリチウムのことです。

●ビームダンプにより発生する放射性物質の管理問題の評価 <KEK>
 電子ビームは、ビームダンプ内の水の原子核と反応し、半減期の違う複数種類の放射性核種(主に 15O、13N、11C、7Be 及び 3H)を大量につくる。このうち、最初の3つの放射性核種は約3時間で崩壊する。 7Beはフィルタリングされ外に出される。最も厄介なのは 3Hトリチウム:半減期 12年)である。
 ビームダンプには放射性物質除去装置が付いており、放射性物質は分離され、地下に貯蔵されることになる。長年にわたる放射能は、全てコントロールされ、地上には全く影響が無いように計画されている。
 しかし、これらの放射性物質の安全管理は重要な課題である。

ビームダンプblog.jpg
続きを読む...
ILC(国際リニアコラーダー)は、まず計画の全体像の周知をー文部科学省・有識者会議の「ILC計画の見直しを受けたこれまでの議論のまとめ」(7月4日)が、力説しています。一面的な推進論への静かな警告でしょう。 [2018年09月01日(Sat)]
 岩手・宮城の両県などが誘致を進めている国際リニアコライダー計画。「全体像を知りたい」という問い合わせがありました。
 文部科学省のサイトの中に同省が設置した「国際リニアコライダー(ILC)に関する有識者会議」の情報を提供しているページがあります。
 そこにアップされている以下の文書がたいへん参考になり、全体像が分かります。
 「国際リニアコライダー(ILC)に関する有識者会議 ILC計画の見直しを受けたこれまでの議論のまとめ」右矢印1180704  ILC計画の見直しを受けたこれまでの議論のまとめ.pdf

 素粒子の実験施設であるILC(国際リニアコライダー)計画について、日本学術会議が2013年9月に「時期尚早」という「所見」をまとめました。その後、文部科学省のもとに「国際リニアコライダーに関する有識者会議」が設置され、巨額の投資に見合う科学的意義やコスト面や技術面の課題の検討が行われました。
 ILCの衝突エネルギーを500GeVから250GeVに下げる計画変更が行われたため、有識者会議は再度の検討を加え、これまでの議論のまとめが7月4日に公表されたという経過です。
 
 「まとめ」は、「科学的意義」について、250GeVにすることで、期待されているヒッグス粒子の精密測定は実現可能性がより明確になったとしています。一方で、新粒子の発見の可能性は低くなったこと、衝突エネルギー350GeVが必要なトップクォークの精密測定は「実験ができなくなった」としています。「科学的意義」は、明らかな後退です。
 「まとめ」は、「コスト及び技術的成立性について」で、計画の見直しで期待されたコスト削減について、厳しい報告をしています。本体建設費と測定器関連経費、年間運転経費について、計画の見直しにより約七割になるとしましたが、その一方で、ホスト国である日本の負担割合が高くなること、新たに計上が必要となる経費、予期せぬ出費のための予備費、実験終了後の解体経費が必要であることを明らかにしました。しかも各国政府の経費負担については、明確な見通しがないことが書かれています。日本が誘致を決断すれば、その経費の大半が日本負担にならざるをえないことが浮かび上がっています。
 「国際協力を前提として、人材の確保・育成や体制及びマネジメントに係る諸課題を指摘しているが、これら諸課題の解決について明確な見通しが得られなければ、計画に大きな支障をきたすリスクがあることに十分留意する必要がある」(14ページ)という指摘は、非常に重いものがあります。
 計画の見直しにより、学術界の合意、国民の理解と支持を得るためのハードルは明らかに高くなったのではないでしょうか。
 有識者会議の「まとめ」で重要なことは、法的な規制が必要な事項、想定されるリスクが指摘されたことです。例えば、環境アセスは行われない可能性があり、新たな法的規制が必要です。地方自治体は、新たな行政課題を抱えることになります。「まとめ」が、これまで明らかにされてこなかったリスクの存在を示していることは重要です。例えば、電子線の加速で放射線が放出されるので、加速器トンネルなどが放射能をもつ性質に変化し、放射化した地下水などの放射性物質が漏洩する可能性があります。放射化の影響が残るビームダンプ装置をはじめとする実験装置や空洞は、実験終了後に長期間の維持管理をしなければなりません。
 「まとめ」で私が注目したのは、「まずは見直し後のILC計画の全体像について、国民及び国内外の科学コミュニティ に周知・共有されることが肝要である」(15ページ)と、述べている箇所です。これは、経済効果ばかり宣伝している一面的な推進論への静かな警告でしょう。
 岩手県と宮城県をはじめとした関係自治体は、計画見直し後のILC計画の全体像を正確に把握し直すとともに、住民に知らせて情報共通を図る責務をまず果たすべきだと思います。

有識者会議の「まとめ}.jpg

ILC(国際リニアコライダー)のリスクに触れた説明会開催の動き―岩手県の住民が日本学術会議あてに意見書を提出したことを機に[2018年08月27日(Mon)]
 北上山地が有力候補地となっている素粒子実験施設のILC(国際リニアコライダー)について、東北ILC準備室長を務める鈴木厚人・岩手県立大学学長(素粒子物理学)が8月23日に岩手県庁内で行った記者会見の内容が岩手日日新聞などで報道されました。岩手県の大平尚・企画理事が同席し、住民の中にあるさまざまな不安要素や疑問への対応についての説明会を開催することなどが表明されたようです。
 日本学術会議の「国際リニアコライダー計画に関する検討委員会」で、「いま世の中に出回っている数字の中には、信用できないものもある。正式にプロジェクトが立ち上がる前に、きちんと検証をしないとならない」(2015年7月1日)とされたことがあります。
 同検討委員会では、「実現に関わるリスク」、「ILCサイトの耐用年数と実験終了後の施設活用の見通し」などが論議されたことがありましたが(非公開で開催された2013年7月30日の第4回会議)、これらに関する詳細な検討は文部科学省のもとに2014年5月に設置された有識者会議(および作業部会)に委ねられました。
 一般の国民がILC事業のリスクをやや具体的に知ることができるようになったのは今年3月に「ILCに関する規制・リスク等調査報告書」が公表されてからのことです。誘致計画に関わるリスクコミュニケーションが立ち遅れていたことは否めないと思われます。議論の深まりを期待したいところです。

●国際リニアコライダー(ILC)計画に関する規制・リスク等調査分析 報告書の要点
 右矢印1180302 ILCに関する規制・リスク等調査分析 報告書の要点.pdf

180302_blog.jpg

 
ILC(国際リニアコライダー)のリスクを野村総研が報告、検証したい点を住民団体が問題提起[2018年08月25日(Sat)]
 ILC(国際リニアコライダー)は、ヒッグス粒子の存在がまだ実験で確認されていなかった当時に構想されました。その後、ヒッグス粒子の存在は確認され、長さを縮小して建設コストを少し圧縮する案に変更されましたが、学術的意義が低下し、8月10日から日本学術会議で巨額な費用に見合うのか、学術界の合意が得られるのかが再検討されています。
 ILCをめぐる論議では、リスクの存在とそれを克服していく課題、実験が終了したとの施設やトンネルの取り扱いをどうするのかがほとんど論議されてきませんでしたが、今年3月に野村総研の報告書が公表され、検証が求められています。
 8月24日、岩手県の有志が自治体に問題提起しました。
 宮城県の私たちも、独自に検証したい点です。
 野村総研の報告書と一関市住民の公開質問状を紹介します。


●環境への影響やリスクを明らかにした野村総研の報告書
 右矢印1180302 ILCに関する規制・リスク等調査分析 報告書全文.pdf


<一関市でのILC誘致運動>
171225_ilc.JPG





















<一関市の住民の会の公開質問状>
2018年8月24日
一関市長 勝部修殿
国際リニアコライダー誘致に関する問題点と公開質問状
ILC誘致を考える会 共同代表 
千坂げんぽう・原田徹郎

 貴職におかれましては市民の健康で文化的な生活のためにご尽力いただき、心よりお礼申し上げます。     
 さて、当市に掘削口を設けるとされる北上高地が国内候補地の一つとなっている国際リニアコライダー(以下、ILC)計画の学術的な意義や経済波及効果の期待など「長所」はさかんに広報されています。しかし、「短所」については、市民にはほとんど知らされないまま、誘致を積極的に推進する貴職の姿勢に不安を抱いております。  
 私たちは、一般住民の立場で、その「長所」と「短所」の両面を学ぶことから得られる懸念を払しょくするために、ここ3年余、研究者に学び、検討を重ねてきました。つきましては、貴職がこの推進に当たり、「長所」だけでなく、市民生活に及ぼす「短所」をどのように吟味しているのかをお聞きしたく、下記質問についてご回答をお願いします。   
 なお、ご回答は8月31日までに文書にてお願いします。期日までに正確なご回答が難しい質問につきましては、その理由を記載し、改めて9月10日までにご回答をお願いします。ご回答の内容は当会で回覧すると同時にホームページ等で一般市民に公開いたしますのでご承知ください。
       記

(1) 「放射化する地下水・空気・施設」について
(2) 「核のゴミ最終処分場」について
(3) 「超高額の地元負担と経済効果」について
(4) 「地震・断層帯・残土・地下水・使用電力」について
(5) 「地元の雇用不安」について
(6) 「大人の責任と児童・生徒の参加」について

(1) 「放射化する地下水・空気・施設」について

@ 文科省が委託した「有識者会議」や株式会社 野村総合研究所の「国際リニアコライダー(ILC)計画に関する規制・リスク等調査結果分析」の報告書概要版(本年2月)では、ILCの放射線に関し、「放射化した地下水が、広域に移動することがないように、適切な対応策を実施し、その効果を長期間にわたって継続的に監視する必要がある。実験終了時も含めた長期にわたる維持管理方法の検討が極めて重要」と公的に警告しています。市民の生活を思えば、速やかにこれを伝え、新たな対策を提言するべきです。この報告についてお答えください。

A 放射線障害防止法では、水や空気の放射性物質は法で定められた濃度限度以下に希釈すれば、どれだけ大量の放射性物質でも河川放流や大気中に放出できるようです。ILCで放射化した冷却水や空気も、希釈して河川放流、及び大気に放出処理するのですか。お答えください。

B 「放射能事故は絶対にないとは言い切れない」と文科省幹部が発言し、現に一関市が視察したセルンで2008年9月に、2013年5月には東海村で放射能漏れ等の事故があり、多くの被曝者が出ました。東日本大震災7年後の現在も福島第一原発汚染により、側溝清掃も出来ない一関市、現在も野生キノコ・タケノコ・山菜等の販売が出来ず、多くの農家が打撃を受けています。万一、放射能事故が発生すれば、さらなる打撃となります。お答えください。

(2) 「核のゴミ最終処分場」について

@ 昨年7月、政府は核のゴミ(高レベル放射性廃棄物)の最終処分場に適した地域を大まかに示しました。日本地質学会(高橋,吉田,2012年)によれば、この処分場の適地は3カ所、特に北上高地と阿武隈高原の2カ所としています。政府は原発事故の福島県は対象から除く方針です。2012年北海道が「受け入れ拒否宣言」し、市町村でも受け入れない意見書や条例を制定しています。一関市の取り組みを具体的に説明してください。

A 県や市は最終処分場への転用を認めないと明言していますが、知事や市長が交代した場合どのように保証されるのでしょうか。また、国家的事業では、県や市の意向を無視して施策が強行されています。国に異議を唱えることができますか。お答えください。

(3) 「超高額の地元負担と経済効果」について

@ 現在まで、国や県から一関市に付いたILCに関する予算は、それぞれいくらですか。お答えください。

A 現在まで、ILCに関連した一関市の支出金額はいくらですか。お答えください。

B 市民負担について、多くの市民に福祉・医療・教育など生活に直結した説明がありません。巨大施設と関連諸施設・道路等の建設費用、さらに毎年約500億円の維持費の一関市負担額の内訳をお答えください。

C 「ILC誘致が実現した場合の県推進室の試算で全国・20年間で5兆7,190億円の経済効果がある」と一斉に報道されました。この内訳と一関市の額を公開してください。

(4) 「地震・断層帯・残土・地下水・使用電力」について

@ ILCに振動は厳禁と聞きます。この約10年間に限っても、岩手宮城内陸地震・東日本大震災の後も地震が多発し、一関市も例外ではありません。更に、集中豪雨など自然災害もあります。説明して下さい。

A 北上高地に沿って存在する「北上低地西縁断層帯」が不安要素と思われます。お答えください。

B 工事によるトンネル残土量(ダンプ台数・期間・捨場)についてお答えください。

C 24時間運転のILC使用電気16万キロワットの供給発電所と費用、及び排熱問題について、お答えください。

(5) 「地元の雇用不安」について

@ 北上製紙の閉鎖、NECの来春3月撤退で大幅な税収減が予想され、当市の雇用は不安定期にあります。
2009年(平成21年)3月の「一関市都市計画マスタープラン」では、「小さくても市民が安心して暮らせる“コンパクトシティ”を目指し、行政と市民が自然と共生した町づくりを進める」と確認しました。このプランと「ILC誘致によるまちづくりプラン」とは明らかに矛盾します。説明してください。

(6) 「大人の責任と児童・生徒の参加」について

@ ILC誘致を巡って大人でもよく分からない事や問題点が山積しています。特に、放射化した水や空気、実験終了後の高度に放射化した巨大施設や装置の長期にわたる管理【(1)@参照】は、30年後の市民にとって大きな不安要素です。この世代が現在の児童・生徒であり、短所も知らせないまま、何も知らない純粋で素直な子どもたちをILC誘致運動に参加させることに大人の責任を強く感じます。この責任についてお答えください。
                                           
 以上
おかしいぞ! 国際リニアコライダ―(ILC)をめぐる議論[2017年08月14日(Mon)]
 自民党の小野寺五典・衆議院議員が、宮城県の地方紙「大崎タイムス」の対談企画で、国際リニアコライダ―(ILC)について発言し、8月2日付けの同紙に記事が掲載された。
 小野寺氏は、素粒子研究の実験施設であるILCを原子力発電に関係した技術であるかのように語り、ILCで半減期数万年の放射性物質を半減期数百年に短縮できるとしている。しかしILCは、原子核を改変する実験を行う装置ではない。
 どうも小野寺五典氏にウソを吹き込んだ勢力がいるように思えてならない。その勢力が何を意図しているかが問題だ。

 ILCは、物質観・宇宙観の大変革につながる実験施設とされているが、日本学術会議では計画に対する合意がなく、「要するに巨大なトンネルをつくりたいだけなのではないか」と皮肉る意見すら日本学術会議から提出されている。
 冷静な議論が必要だと思われるが、岩手県と一部宮城県にまたがる北上山地に誘致する話が進んでいる。

 そこへ最近、ILCの計画を、本体部分を30qから20qにして、建設費を圧縮することにより具体化を図ろうとする動きが出てきた。しかし、20qではヒッグス粒子のエネルギー値をより正確に計測するような実験はできるかもしれないが、その程度の研究ならますます急ぐ必要はない。必要な研究者もせいぜい数百人で、研究都市ができるような規模にならないし、「波及効果」論も説得力がますます乏しくなっている。

 「本当の隠された狙いは、使用済み核燃料や高レベル放射性廃棄物のゴミ捨て場にうってつけの巨大トンネルをつくることではないのか」と、疑いの目を向けている人々がいる。
 どうも、注意深く見る必要がありそうだ。

 大崎タイムスの記事右矢印1170802 大崎タイムス ILCに関わる小野寺五典氏の発言.pdf

170802.jpg
検索
検索語句
最新記事
<< 2019年08月 >>
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
タグクラウド
月別アーカイブ
http://blog.canpan.info/renn/index1_0.rdf
http://blog.canpan.info/renn/index2_0.xml