大川小学校裁判 宮城県議会・全員協議会で上告の判断にいくつもの疑問 [2018年05月14日(Mon)]
東日本大震災の津波で児童と教員の84人が犠牲になった石巻市立大川小学校23人の遺族が起こした裁判について、宮城県の村井嘉浩知事は判決を不服として上告しました。最高裁に上告が受理される要件は、重大な事実誤認、法律の適用の誤りや判例違反、憲法違反がある場合ですが、5月9日に招集された宮城県議会の全員協議会で重大な疑問がいくつも浮かび上がりました。
●仙台高裁判決が論じた想定地震は宮城県沖地震なのに、「東日本大震災は予見できなかった」(?)とは
仙台高裁判決は、2004年に想定された宮城県沖地震(マグニチュード8.0)で生じる津波を予見していれば、大川小学校は東日本大震災(マグニチュード9.0)でも大惨事を免れることができたとして、学校管理者と石巻市教委の組織的過失を認定しました。
ところが、仙台高裁が予見可能性を吟味したのは宮城県沖地震だったのに、石巻市の亀山紘・石巻市長が「東日本大震災は予見できなかった」という発言を繰り返し、5月8日付の「河北新報」が判決の誤読ではないかと指摘しました。8日の臨時石巻市議会で、日本共産党の水沢ふじえ議員がただしたところ、亀山市長は「(仙台高裁判決で論じられている)想定地震は、議員指摘のように、宮城県沖地震だった」と認め、それまでの発言を修正しました。
宮城県議会の全員協議会は、その翌日でしたが、今度は村井嘉浩知事が「東日本大震災は予見できなかった」という発言を繰り返しました。
●学校管理者への安全確保の要請を拡大解釈していないか
仙台高裁判決は、想定されていた宮城県沖地震を念頭において、学校管理者に「地域住民が有していた平均的な知識及び経験」と比較して「遙かに高いレベルの知見」を求めたにすぎません。
ところが村井知事は、「専門家でも不可能」なレベルと、繰り返し発言しました。
日本共産党の遠藤いく子議員は、学校現場への要請に関する「拡大解釈がある」のではないかとと指摘しました。
●村井知事「(行政の不備を)認めることはできない」と断言
大川小学校では、教員が大地震から約50分後まで校庭に留まり続け、結果的に避難が遅れて多数の犠牲者を出しました。
大川小学校には、第三次避難場所および避難経路を具体的に定めておらず、危機管理マニュアルが津波を想定したものに事実上改訂されていなかったこと、津波を想定した避難訓練や児童引き渡し訓練も実施していなかった問題がありますが、大川小学校が津波の際の避難所に指定されていたことが大惨事につながりました。
その原因が、大川小学校が北上川に近く、海抜1〜1.5bの低地に位置していたにもかかわらず、石巻市がハザードマップで大川小学校周辺を津波の浸水予測区域から外していたことにあることは、大川小学校事故検証委員会の報告書でも指摘されていました。
仙台高裁判決は、校長ら学校管理者の過ちを認定し、石巻市教委にも大川小学校の防災対策の不備を指導していなかった落ち度があることを指摘しました。
ところが村井知事は、行政の不備を「認めることはできません」と発言しました。
遠藤いく子議員は、「そんな態度では、大川小学校のことを教訓にした、子どもの命を守る学校づくりはできない」と、厳しく批判しました。
●津波浸水予測図にバッファゾーンを設けていなかった問題に答弁できず、判決を精査していたのかどうかが問われる
仙台高裁判決は、大川小学校を津波の際の避難所に指定していたことを「誤り」と断じ、その背景に「宮城県地震被害想定調査に関する報告書」(2004年3月)の津波浸水予測図があることを指摘しました。
「津波・高潮ハザードマップマニュアル」(2004年、内閣府等)は、「浸水予測区域の外側に一定のバッファゾーンを設け、浸水予測区域とバッファゾーンをあわせて要避難区域とする」と定めていました。バッファゾーンとは、浸水予測計算上は浸水しないが、予測の不確実性を考慮すると浸水の恐れがある区域のことで、バッファゾーンを設けるのは「確実な避難のため」です。しかし宮城県が示した津波浸水予測図は、マニュアルに反してバッファゾーンを設けていませんでした。
遠藤いく子議員が、津波浸水予測図にバッファゾーンを設けなかった問題をただしたのに対して、県当局の答弁は質問の趣旨とはまったくかけ離れたものでした。
バッファゾーン問題は、大川小学校事故検証委員会の報告書には記載されていません。控訴審の審理の中で原告側が指摘し、仙台高裁が判決でその事実を認定したものです。
全員協議会に答弁のため出席していた村井知事と幹部職員が、仙台高裁判決を精査していたのかどうか、鋭く問われています。
●仙台高裁判決が論じた想定地震は宮城県沖地震なのに、「東日本大震災は予見できなかった」(?)とは
仙台高裁判決は、2004年に想定された宮城県沖地震(マグニチュード8.0)で生じる津波を予見していれば、大川小学校は東日本大震災(マグニチュード9.0)でも大惨事を免れることができたとして、学校管理者と石巻市教委の組織的過失を認定しました。
ところが、仙台高裁が予見可能性を吟味したのは宮城県沖地震だったのに、石巻市の亀山紘・石巻市長が「東日本大震災は予見できなかった」という発言を繰り返し、5月8日付の「河北新報」が判決の誤読ではないかと指摘しました。8日の臨時石巻市議会で、日本共産党の水沢ふじえ議員がただしたところ、亀山市長は「(仙台高裁判決で論じられている)想定地震は、議員指摘のように、宮城県沖地震だった」と認め、それまでの発言を修正しました。
宮城県議会の全員協議会は、その翌日でしたが、今度は村井嘉浩知事が「東日本大震災は予見できなかった」という発言を繰り返しました。
●学校管理者への安全確保の要請を拡大解釈していないか
仙台高裁判決は、想定されていた宮城県沖地震を念頭において、学校管理者に「地域住民が有していた平均的な知識及び経験」と比較して「遙かに高いレベルの知見」を求めたにすぎません。
ところが村井知事は、「専門家でも不可能」なレベルと、繰り返し発言しました。
日本共産党の遠藤いく子議員は、学校現場への要請に関する「拡大解釈がある」のではないかとと指摘しました。
●村井知事「(行政の不備を)認めることはできない」と断言
大川小学校では、教員が大地震から約50分後まで校庭に留まり続け、結果的に避難が遅れて多数の犠牲者を出しました。
大川小学校には、第三次避難場所および避難経路を具体的に定めておらず、危機管理マニュアルが津波を想定したものに事実上改訂されていなかったこと、津波を想定した避難訓練や児童引き渡し訓練も実施していなかった問題がありますが、大川小学校が津波の際の避難所に指定されていたことが大惨事につながりました。
その原因が、大川小学校が北上川に近く、海抜1〜1.5bの低地に位置していたにもかかわらず、石巻市がハザードマップで大川小学校周辺を津波の浸水予測区域から外していたことにあることは、大川小学校事故検証委員会の報告書でも指摘されていました。
仙台高裁判決は、校長ら学校管理者の過ちを認定し、石巻市教委にも大川小学校の防災対策の不備を指導していなかった落ち度があることを指摘しました。
ところが村井知事は、行政の不備を「認めることはできません」と発言しました。
遠藤いく子議員は、「そんな態度では、大川小学校のことを教訓にした、子どもの命を守る学校づくりはできない」と、厳しく批判しました。
●津波浸水予測図にバッファゾーンを設けていなかった問題に答弁できず、判決を精査していたのかどうかが問われる
仙台高裁判決は、大川小学校を津波の際の避難所に指定していたことを「誤り」と断じ、その背景に「宮城県地震被害想定調査に関する報告書」(2004年3月)の津波浸水予測図があることを指摘しました。
「津波・高潮ハザードマップマニュアル」(2004年、内閣府等)は、「浸水予測区域の外側に一定のバッファゾーンを設け、浸水予測区域とバッファゾーンをあわせて要避難区域とする」と定めていました。バッファゾーンとは、浸水予測計算上は浸水しないが、予測の不確実性を考慮すると浸水の恐れがある区域のことで、バッファゾーンを設けるのは「確実な避難のため」です。しかし宮城県が示した津波浸水予測図は、マニュアルに反してバッファゾーンを設けていませんでした。
遠藤いく子議員が、津波浸水予測図にバッファゾーンを設けなかった問題をただしたのに対して、県当局の答弁は質問の趣旨とはまったくかけ離れたものでした。
バッファゾーン問題は、大川小学校事故検証委員会の報告書には記載されていません。控訴審の審理の中で原告側が指摘し、仙台高裁が判決でその事実を認定したものです。
全員協議会に答弁のため出席していた村井知事と幹部職員が、仙台高裁判決を精査していたのかどうか、鋭く問われています。
タグ:#大川小学校
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