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Sexuality 夜話 @仙台

地域の多様なセクシュアリティの人たちの談話会
セクマイ夜話のお知らせと、
世話人:小浜耕治の、
セクシュアリティ・人権関連のお話を発信します。


震災を経験して考える『コミュニティ』〜そしてパレードへ [2019年09月15日(Sun)]
震災を経験して考える『コミュニティ』〜そしてパレードへ

震災前、私は長い鬱をようやく抜け出し、「社会復帰」へ向けてそろそろと動き始めていました。手に職もつけなければと、意を決して職業訓練に通い始めて一週間後の発災でした。知人のNPO活動家たちが被災者支援に奔走する中、私は自分の回復で精一杯でした。そんな中でも、コミュニティセンターZELや性と人権ネットワークESTOか提供してくれた交流の場は、私にとって性的マイノリティの仲間に会い、被災をくぐり抜けたことを労いあう貴重な機会でした。そうして半年の職業訓練も終わり、自身の生活復旧を優先しながら活動へも少しずつ復帰していきました。

その中で、震災で性的マイノリティはどんな経験をしたか?話し合ってみたり、シンポジウムが開かれたりしたのですが、個々の状況は知れても全体像が見えてこない。ぼんやりと「想定された状況」があったことが見えてくるものの、個別の経験から何かを発信していこうとしても、どのように総括してよいかが見えてこない状況でした。それが見えてくるだけの拠ってたつコミュニティがなかった、ということを突きつけられたのだと思いました。震災の経験の中で最も重要と思えるのは、コミュニティが未熟なことで仲間を支えようと思ってもできなかったことなのだと感じたことでした。

普段からつながっていないと仲間を助けられない。自らの性的マイノリティとしての部分を封印して生活再建に当たらなければならず、追い詰められた気持ちから助けて欲しいと求められない。平時から感じている社会の現実が、さらに厳しい形で迫ってくるのです。

こうした思いを持ったのは、私だけではありませんでした。レインボーアーカイブ東北として手記の収集を始めたり、自分のまわりにささやかでも支えあえる交流会を始めたり、震災を経験した仲間があちこちで動き出しました。

それは、コミュニティのお祭り「東北レインボーSUMMER」という形でまとまります。性的マイノリティ当事者が互いをエンパワーすることを主眼としながら、社会に向かっても開いて存在を可視化できる場を持つに至りました。東北レインボーSUMMERは、運営の負担が大きく、継続できなくなりましたが、OUT IN JAPAN東北プロジェクトやにじいろ協働事業など、形を変えて「つながり」が継承されています。

私が何か活動する際には、このような経緯で培った「つながり」を尊重していかなければという思いがあります。私の接してきた人たちは限られていますから、決してコミュニティ全体をカバーするものではなく、むしろ接してこなかった人たちへどのように発信してつながりを広げていけるかということを意識して活動してきています。

これまでつながれなかった性的マイノリティ当事者と出会っていくと同時に、地域とつながっていくことも必須だと考えています。防災はマイノリティで備えられるものではなく、地域全体で取り組んでいくものです。その中に私たちの存在を示して、配慮を求めつつ主体的に地域防災に関わっていく。そうしたことができるように、コミュニティが成長していけたらと感じています。


『仙台プライドジャパン』が「復興」「インバウンド」ということを謳うのには、国の復興補助金で「LGBTツーリズム」に関する研修が行われたこととの関連もあるようです。この研修には参加しましたが、私の感じてきた復興とはだいぶ違ったイメージです。それが実現可能なものなのか?ということもイメージできないでいます。

しかし、コミュニティを育てて社会につないでゆくという、私のやり方を粛々と進めて行きたい。その結果としてまた交わるところがあるならば、その時にまた向き合ってみようとだけ考えているところです。

私の考えるプライドは、コミュニティと共にそのありさまを共有し、マジョリティもマイノリティも含む多様な性の当事者と、少しでも多くの人とつながっていくこと、多くの人が尊重しあえる状況をどのように作っていけるか?ということです。この考え方も違っているようです。いつか合流できることがあるでしょうか?今はその可能性を信じて、イベントを見届けようと思っています。
Posted by 小浜耕治 at 13:08 | この記事のURL | コメント(0)
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