• もっと見る
« 2017年10月 | Main | 2017年12月 »
<< 2017年11月 >>
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
最新記事
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
日別アーカイブ
悪の奴隷に[2017年11月10日(Fri)]

DSCN3384Hムーアファミリーグループ-A.jpg
 ヘンリー・ムーア「ファミリー・グループ」(1948〜49作。箱根彫刻の森)

*******

座間市の事件をめぐって

◆座間市の凄惨な事件、被害者9名全員の身元が判明した。
わが子の足どりを追って江ノ島まで足を運び、防犯カメラの映像に目をこらした親御さんのことなど報じられつつある。いたましいとしか言うべきことばがない。

◆事件の一報から10日も経ってようやく菅官房長官が事件についてコメントし、関係閣僚会議も持たれた。しかし官房長官が再発防止策として「Twitterの規制」が検討の対象になるだろうと述べたことは、通信・言論の自由に触れるという批判が上がっている。当然の危惧だ。

そもそも、重大事件への政府の対応がここまで遅れたのはトランプ米大統領来日の宣伝を優先させたからだろう。
高校生や大学生の犠牲者も含まれているのに、文科大臣からのコメントもなかった。

加計学園・大学設置審答申

◆林文科大臣の頭の中は、恐らく、今日発表された、加計学園・岡山理科大獣医学部を含む大学設置審の答申への対応が大半を占めていたのだろう。
「官邸の意向」による「加計ありき」の国を挙げての詐術に、誰もが符節を合わせるよう求められる。

田中龍作ジャーナルが今日の林大臣の記者会見を生々しく伝えている。

「国家の崩壊」加計認可 痛々しい林文科相の記者会見
http://tanakaryusaku.jp/2017/11/00016932

加計幸太郎理事長のコメントもこのタイミングで公表された。
追及されることを避けて紙ペラ一枚で切り抜ける作戦である。
親の長年の念願が実現することを強調しているあたり、祖父・岸信介の改憲の悲願成就を口にするアベ首相と相似形である。
かたや森友学園の籠池夫妻は3ヶ月を越す長期拘留が続くという人権無視の異常事態が続いている。この差はいったい何なのか?
この先も吸い続けられるうまい蜜がどちらにふんだんにあるか、ということだろう。

【朝日】加計学園理事長のコメント全文 獣医学部認める答申受け
http://www.asahi.com/articles/ASKCB5J6DKCBUTIL049.html?iref=pc_extlink

◆国内の獣医師不足を言いながら、学園は韓国で学生募集に動いているなど、つじつまの合わない動きも報じられている。無理してかき集めたため高齢者が多い教授陣やバイオハザードが懸念される施設設計の欠陥なども未解決のままだ。

毎日新聞のインタビューで前川喜平氏は「認可すべきでない」と、その理由を明瞭に述べている。
【毎日】加計問題 「認可すべきではない」前川氏が疑問呈す
https://mainichi.jp/articles/20171111/k00/00m/040/101000c


◆いずれにせよ、こうした時機の菅官房長官発言、単に焦点をズラしてボロ隠しするという以上に、座間の事件を口実に、言論の自由までも制圧して国民への岩盤規制を完成させるねらいがあるのではないか。

たとえば真の力が無能な権力に無力化され、
たとえば学芸が時の権勢に口をふさがれ、
たとえば知識が識者ぶった無知に支配され、
たとえば素朴な真実がばか呼ばわりされ、
たとえば囚われた善がいばった悪の奴隷にされる。
  
 「シェイクスピアのソネット」66より
  小田島雄志・訳(文藝春秋、1999年)

笠置季男の立体作品2つ[2017年11月08日(Wed)]

DSCN4319笠置季男「翔」三宅坂ビル角-A.jpg

◆先日、国会近くの三宅坂ビルの角で出会った彫刻作品。
翔 笠置季男 作」と作者名を誌した銘板が台座にあった。
調べてみたら、去年の暮れに池袋の地下鉄に下りる階段で出会った彫刻と同じ作者だと判った。

DSCN8890笠置季男「マーキュリー」池袋地下鉄−A.jpg

「マーキュリー」という名前のブロンズ作品である。
1951年に銀座駅など地下鉄出入口に設置されたものだが、駅の改築に伴って場所を移したと、笠置季男(1901-67)自身の説明が付いていた。

マーキュリーは商売繁盛の神だから、買い物客が往来する駅にふさわしいと発想するのは理解できる。池袋駅でも、改札を出て地上に向かう人に顔が見える位置に置いてあった。
ただ、これに気づいたのは階段を下る途中で、少し引き返してシャッターを切ったのだった。最初に見たのは下の写真の側から。
よりシンプルな表情に見える。

DSCN8888笠置季男マーキュリー池袋.jpg
笠置季男「マーキュリー」

◆昭和39(1964)年にここに移設されたと説明してあった。
東京オリンピックの年である。
営団地下鉄(現在の東京メトロ)のシンボルとして貢献したであろうのに、現在置かれている場所はなかなか窮屈だ。

階段周辺に置いてある彫刻で感心したことは余りない。
急ぎ足になりがちな場所であるからだが、もう少し広やかなスペースを用意して置き方も工夫すれば商いの守護神はもっといい顔を見せてくれるだろうに。

◆三宅坂ビルの「翔」の方もそんなにたっぷりの場所を与えられているわけではないが、屋外であり交差点に面している点は恵まれている。
ビルの丸い壁面全体を彩るタイル作品とうまく調和していた。

DSCN4325寺田竹雄「躍進」(三宅坂ビル)-A.jpg

壁画の方は寺田竹雄(1908-93)の「躍進」という作品である。
油彩の人だが、壁画作品も国内外にある由。どこかで他の作品に出会うことがあるかも知れない。


ダンゴムシのように丸まってないで[2017年11月07日(Tue)]

DSCN4388-A.jpg
議事堂西側のイチョウ

*******

(ダンゴムシのように丸まってないで)
       北沢 栄

集団の手に負えない
狂気というやつは
いつの時代も
ナショナルだとか
フォーク(民族)だとかに
結びついている
対するは生命への愛
躍動する生命(いのち)
思慮深く
色彩豊かに
輝く
生命への愛
私は……を愛する
と言ったとき
そのひとは
もはや死の世界にいない
死から 虚無から
憎しみと破壊から
立ち去り
愛に
旅に
向かうのだ

きみも
ダンゴムシのように
丸まってないで
スックと
立ち上がりたまえ

北沢栄・紫圭子「連詩 ナショナル・セキュリティ」
思潮社、2008年

◆ジャーナリスト北沢栄と詩人の紫圭子による連詩。
これに先立つの詩では、ミサイルの脅威に対して「ナショナル・セキュリティ」(安全保障)が喧伝される中、草の根方で身を丸めているダンゴムシに、己を守るために口をつぐみ身を丸めた国民の姿を重ねている。

DSCN4302-A.jpg
国会記者会館前のイチョウ



拉致被害家族と米大統領[2017年11月06日(Mon)]

拉致被害家族の米大統領対面

◆来日したトランプ米大統領は拉致被害者家族に対面した。
家族会の方たちの中に田早紀江さんの姿もあった。
米朝の緊張が続く中で「戦争しないで」ということを大統領に伝えたいと考えていたという。
だが、これに対して、そうした政治的メッセージは大統領に言うべきでない、という圧力が官邸などから加わったとも伝えられている。果たしてどうされただろうか。

もし実際に軍事的衝突が起きれば、拉致被害者が巻き込まれる可能性は高く、「人間の盾」にされる恐れさえあるのだから、「圧力」一点張りで後戻りできない戦争に突き進むのが最悪の選択であることは明らかだ。

早紀江さんはあるインタビューで「戦争だけはやめてほしい。人を殺戮して街も壊滅するのでは意味がない」と述べている。我が娘の無事帰還を願うだけでなく、人びとの命が守られねばならないことに南・北の区別は無いと訴える早紀江さんの思いに比し、発言の自重を求める動きからは、大統領との対面シーンを報じさせることで拉致問題の進展や成果があったかのように演出したい政治的思惑しか感じられない。それは拉致被害者を政治的に利用することにほかならない。

*******

ゆれている
    境 節
(さかい せつ)

風のある日に木を見ている
木も葉も ゆれに ゆれている
わたしも ゆれていればよかったのか
激しい時代を生きているのに
ゆれることに抵抗し続けて
すっかり疲れたのか
おき忘れた日々の中で
痛いような ひざしをあびて
立ちつくした歳月(としつき)
祭りにしてしまいたい
埋めたものが立ちあがって
狂暴なダンスをはじめた
この国で
一切が ご破算になる日を
待っている人間がいるのだろうか
ただ生きよ
大きな樹が ゆれている
 
「十三さいの夏」所収(思潮社、2009年)。

境節、本名・松本道子は倉敷市に住む詩人(1932〜)。

◆詩集あとがきによれば、詩集のタイトルにあるとおり、作者は13歳の夏・昭和20年8月15日に日本の敗戦をソウルで迎えた。
横田めぐみさんが拉致されたのも奇しくも13歳である。
現在、地下鉄丸ノ内線新宿駅の自由通路で田めぐみさんの写真展が開かれている。

*******

境節十三さいの夏.jpg

善悪の標準[2017年11月05日(Sun)]

DSCN4328.JPG
◆鮮烈な赤い実をつけたソヨゴという木。
風に吹かれて葉が擦れる音が「ソヨゴ」の語源という。
最高裁向かい、国会図書館東側のゆるやかな坂道を憲政記念館に向かう所に新たに出来た合同庁舎に沿って植えられていた。
そのあたりはかつて社会文化会館があった所、すなわち旧社会党→社民党の本部だった場所だ。グレイの新庁舎は低層の、軽量鉄骨で建てたような暫定的なしつらえに見えた。
ソヨゴも地表を覆うように植えたタマリュウも未だ土になじんでいないようだ。

DSCN4332.JPG

◆もう少し進むと左手に国会見学用のバス駐車場と売店。登り切って左に折れると咢堂・尾崎行雄を記念する憲政記念館だ。

*******

善悪の碑

◆咢堂の誕生地に建つ「善悪之標準」の碑について以前触れた。
https://blog.canpan.info/poepoesongs/archive/427


DSCN9237.JPG
「善悪之標準」の下には「世人乃幸福をます言行ハみな善事之をへらす言行ハみな悪事」という文字が続く。
これを含め尾崎咢堂翁五訓と呼ばれるものが伝えられている。

一、 人生の本舞台は常に将来にあり。
二、 すべての虚偽と迷信を廃し、科学的な合理主義を第一として判断せよ。
三、 すべての問題は力闘によらず、理闘によって解決せよ。
四、 世人の幸福を増す言行はみな善事なり、これを減らす言行はみな悪事なり、これぞ善悪の標準なり。
五、 戦争の絶滅を期し、世界連邦の設立に協力せよ。


「三」は、武力・腕力・金力などにモノを言わせるのでなく、筋目の明らかな普遍の理想をもって相手と堂々勝負すべし、という意味だろう。
武張ることなく米朝・日朝の対話の努力が必要な現在、よくよくかみしめたいことばだ。

DSCN9241-A.jpg
神奈川県相模原市緑区又野(その昔は津久井郡だった)にある咢堂記念館(2016年12月)。


武士武士と言うたかて[2017年11月05日(Sun)]

DSCN4405.JPG
通りかかった新宿西口地下のバラ展で。

「武士」と持ち上げられても…

◆【AFP=時事】によれば、トランプ大統領は米FOXニュースのインタビューで、「日本は武士の国だ。私は中国にも、それ以外に聞いている皆にも言っておく。北朝鮮とこのような事態が続くのを放置していると、日本との間で大問題を抱えることになる」と語ったそうな。
http://www.afpbb.com/articles/-/3149247

日本にとっては訪日前のリップ・サービスどころか、北朝鮮有事に直接動くのは日本だからね、とアゴでこき使うつもりを示唆したとしか受け取れまい。
実際このニュースは「トランプ大統領、対北朝鮮で日本が自ら動く可能性を中国に警告」という見出しで報じられている。
また、特に中国の名を挙げて注意を促しているが、これでは日中の軍事的緊張を促す効果しかないだろう。日中双方に迷惑千万な発言であるのは言うまでもない。

そもそも「武士」は今や映画の中にいるだけで、手にしているのは刀でなくゴルフクラブであるのを何としよう。

円生の落語「雁風呂」のシャレを思い出した。

「武士武士と言うたかてカツブシにもならんもんで」

*******

DSCN4393-A会長賞1等.jpg

◆冒頭のバラ展で出会ったみごとな花。
一等を受賞したのもむべなるかな。豊かな気品をたたえたバラだ。
惜しむらくは、命名「ファースト・レディ〇〇〇」と、恐れ多くも首相夫人の名が冠してあったこと。育苗者はいずれ献上つかまつる予定なのかもしれないが、M学園の名誉校長事件のように辞退ということになっては名花のかんばせに泥が付くと心配になった。再考を願いたいところだ。

11・3国会大包囲[2017年11月03日(Fri)]

国会を4万人で大包囲

DSCN4360-B.jpg

DSCN4382-A.jpg

◆国会正門に向かうために大変な距離を歩かされた。
あちこちの歩道が機動隊によって封鎖されていたからだ。
やむなく議員会館の間の坂道を下り、自民党本部近くを汗して上った。

DSCN4316-A.jpg
「国を、守り抜く」という垂れ幕が扇情的であること、戦前と同じだ。
「国を」であって、「国民を」ではなく「国民の命と暮らしを」でもない。
国土が守られても、人間が消え焦土と化してしまえば「国」と呼ぶことは、もはや出来ないだろう。

◆スピーカーから聞こえる国会議員のスピーチで、選挙を控えて新党立ち上げの事務所に菅原文子さんから花が届けられたというエピソードが披露された。
2015年11月1日に沖縄の大集会に病を押してかけつけた故・菅原文太氏の奥様である。
あの日のスピーチを思い出した。

《政治の役割はふたつあります。ひとつは、国民を飢えさせないこと、安全な食べ物を食べさせること。
もう一つは、これが最も大事です。絶対に戦争をしないこと!》

*関連記事⇒https://blog.canpan.info/poepoesongs/archive/83

◆韓国・ソウルから、2016年キャンドル革命を成功させた金泳鎬(キム・ヨンホ)氏が駆け付けて、力強いスピーチがあった――「9条はアジアの平和の宝でありアジアの平和の柱です」

2015年9月、雨が続くなかでの戦争法国会への市民の集結、立ち上がった若者の姿が韓国に伝わって朴槿恵大統領の退陣を求める韓国市民の運動を後押ししたと言われる。
一衣帯水の間柄であることを再び思い出すときだろう。

DSCN4347-A.jpg

◆正門前の横断歩道も閉鎖中で、やむなく憲政記念館の公園を抜け、桜田門方向にゆるゆる下ってから反対側に渡り、正門前を目指した。
この日、迂回路を踏破したおかげで、神奈川こころの自由裁判でお世話になったOさんに久しぶりにお会いした。
開始の3時間前に到着したのだが、動きがとれなくてここに居る、との話。

◆国会図書館裏(最高裁に面している)を回ってバス駐車場、憲政記念館とその周囲の広い公園内などなど、到る所にたくさんの人がいて、こころ強い。歩道の狭いエリアに押し込められる窮屈を避けて、改憲発議を許さない長期戦に向けた静かな闘志を養っているのだ。

◆国会正門前ステージがかろうじて見える所に辿り着いたときの話し手は暉峻淑子(いつこ)埼玉大学名誉教授だった。
そのメッセージを抄録する。

日本国憲法は世界に対して作られた憲法なんです。
武力や戦争の反対は対話です。
ところが今、対話できない、戦争を煽るような首相を戴いている。
私たちは、ほんとに真剣になってそれに対して闘っていくことを日常的な行動の中でやっていかなければなりません。
3000万人署名をしていただく時に一人ひとりに対話をしてください。
どんなに平和が大切かということを一人ひとりと話し合ってください。

DSCN4361-A.jpg

DSCN4337.JPG

DSCN4356-A.jpg

DSCN4318-B.jpg



進次カをもてはやしても意味がない[2017年11月02日(Thu)]

DSCN4303.JPG

◆林におおわれた道を抜ける辺りで上のような木の実に出くわした。
深みのある藍色の実が花びらのような紅い萼(がく)と対照的な色なのでとてもよく目立つ。
調べたら、クサギ(臭木)という落葉低木。
臭木とは葉のにおいが独得であるための気の毒な命名。
俳句では常山木とも書く由。
手もとの歳時記から今日の出会いに近い句を探すと次のような句が載っていた。

旧道の石垣古りし臭木の実  古川芋蔓

少し引いて撮ったのが下の写真。

DSCN4309クサギ-A.jpg

実は染料になるとのことで、天然で青色がとれるのはこの臭木と藍の2つのみ、という説明があった。
英語ではHarelequin Glory Bowerと呼ぶそうで「アルルカンの恵みの木陰」という意味になるのだろうか。紅い萼の形ががアルルカン(道化)の衣裳である菱形模様を連想させ、葛ほどもありそうな大きな葉が日陰を作ってくれるからか。

*******

小泉進次カ流パフォーマンス

◆政府が幼児教育無償化等の財源として、経済界に3,000億円の負担を求めたことを小泉進次郎氏が批判したとして話題になった。自民党内で議論がなく、首相のトップダウンで重要政策が進められることへの異議申し立てであった。各種メディアの報道には「小泉氏『このままなら自民党必要ない』」(朝日デジタル)「進次郎氏、安倍政権にかみつく」(夕刊フジ)などの文字が躍った。

◆ところがだ。産経の今日夕方の見出しは「前日の批判モードから一転 『自民党は風通しがいい』とご機嫌」と一変した。この産経記者の表現が妥当かどうかはともかくとして、トンがっていた進次カ氏が軟化したのは、自らが呼びかけて党本部で開いた総選挙総括会議が好評だったためもあるようだ。
要するに聞く耳を持ってもらえないことへの憤懣が最初にあり、自分の発言をメディアが拡散してくれることを計算した上で、自分の提案に耳を貸せ、と批判の矛先をのぞかせたわけであり、それが一定受けとめてもらえたところで、矛は収めたということだ。
ボクの話も聞いてよ、というわけだが、中味は高所・大局をふんまえたものではない。

◆幼児教育無償化財源について進次郎氏が若手議員とともに提案していた「子ども保険」が見向きもされないのは承服できない、ということだろう。「子ども保険」は厚生年金・国民年金の保険料に当初0.1%、その後0.5%まで上乗せして財源に当てようというものだったが、国民の負担増になるのだから歓迎する声は少なかった。負担増にならないために雇用保険の料率を下げたら良い、という対応策も出たが、いずれにせよ「社会全体で子どもをみよう」と言いながら実際には働く者の財布を当てにしているのはいただけないと思われた。
企業が戦後最大といわれる内部留保を貯めこみながら、それにメスを入れるつもりはほとんどなさそうだからである。
法人税率引き上げに舵を切り直して再分配を進めて行く必要があるのに、これについては誰もが口を噤んでいる。

◆首相が経済界に3,000億円の拠出を求め、経団連もそれを受け入れる方向というが、これもスジ違いだ。(なお、「拠出」と「負担」では質が違ってくるはずー一時的=暫定的であるのと、恒常的であるのとーはずだが、付け焼き刃で言い出したことで不確定過ぎるから、ここでは追及しない。首相の言い方は「拠出」だったことのみ確認しておく。)
言ってみれば、ずいぶんとモウケさせてやったんだから、ちいとは公約実現のためにカネを出せよ、と言っているわけで、悪代官がニヤリと笑んで越後屋に手土産を促す図に等しい。
モウケは労働者の給与として支払われるべきものであるはずなのに、それを吐き出させようとはしないのだ。

◆また、財源問題で聖域にされつつあるのが防衛費だ。
来年度への概算要求(防衛省として)で総額5.2兆円であった。

米軍駐留のために日本が拠出しているいわゆる「思いやり予算」単独で1800億円余り(2015年度実績)。他に基地周辺の対策費が別途1800億円余り(同じく2015年度)ある。
この2つだけですでに3,000億円を越えてしまうのである。

これを見直そうという声がどこからも聞こえてこない。
メディアも報じようとしない。


国会内外の共闘[2017年11月02日(Thu)]

特別国会始まる


DSCN4194-A.jpg

◆11月1日、特別国会が始まった。国会前にはアベ政権退陣を求める市民1,000人が集まった。
会期は12月9日までの39日間となった。
国民の声を追い風にしたリベラル勢力による成果である。
だが、国会審議でなすべきことの多さを思えば全く不十分だ。

DSCN4206-A.jpg
立憲野党の国会議員たちが集会にかけつけた。

DSCN4202-A.jpg

◆政府・自民党による野党の質問時間削減問題、そもそも「与党2:野党8」は自民党が下野していた時期に自民党の求めでできた合意であるという。自ら求めて決めたルールを破ろうとするのは虫が良いご都合主義だが、考えてみれば戦争法制にしろ、共謀罪にしろ、自民党政権が憲法にそぐうように当て布して繕ってきた理屈を自らの都合でひっぺがし、ひっくり返してしまったものばかりだ。それまでの説明との整合性や一貫性はハナから考慮されていない。

DSCN4192-A.JPG

森友・加計疑惑も構図は同じだ。いつまで、この問題を取り上げるのか、という声が一部にあるが、本質は同じ。
いやしくも教育機関を利用して国民・市民の税金を収奪する事案であるからタチが悪い。

◆さて籠池氏が証人喚問され、その後逮捕に至ったのに対して、加計学園理事長の国会招致や会見を(恐らく官邸からの要請によって)ストップさせていることとの扱いの違いはどこにあるのだろうか?

◆人間関係の親疎よりは、今後も利用価値があるかどうか、の差であるだろう。
利用価値とは、ありていに言っておカネがらみということだ。
(そういえば、加計学園から下村博文・元文科大臣への闇献金問題はどうなったのか?これまたウヤムヤのままだったか……)

◆今日も国会見学の子どもたちがバスで次々とやってきた。
発言に責任を持たないという神経の毒に抵抗力をつけるには意義のある見学だ。

DSCN4295-A.jpg

DSCN4195-A.jpg

DSCN4193-A.jpg

*******

共謀罪の廃止を求める11.1院内集会

DSCN4232-A.jpg

◆引き続き参院議員会館講堂の共謀罪法の廃止を求める院内集会に参加した。

◆「沖縄の風」伊波洋一参院議員から、先島での攻撃拠点としての基地建設が進んでいるという報告があった。
「戦争準備に、今、沖縄では動いている」「アメリカと北朝鮮との緊張・対立であるのに、万が一の場合は日本が戦場になる。日米同盟によって、日本を戦場にしてアメリカを守ろうというのがアメリカの戦略」
という見方は正鵠を得ているだろう。

◆共謀罪廃止を求める海渡雄一弁護士ミニ講演があった。
その中で紹介された「未来のための公共」に参加する若い人のメッセージを。

私たちの未来は私たちで決めていきましょう。私たちは政治に関して未熟ではあるけれど、おかしいことにはおかしいと言うべきだと考え、国会前に足を運び、声をあげ、自分の言葉を紡いできました。一緒に政治を変えましょう。


*******

憲法発布記念日の11月3日は
国会包囲大行動へ


2017年11月3日(金・祝日)
14時〜15時30分

171103国会大包囲001-A.jpg



検索
検索語句
最新コメント
タグクラウド
プロフィール

岡本清弘さんの画像
https://blog.canpan.info/poepoesongs/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/poepoesongs/index2_0.xml