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〈まちがいはどこへゆくか〉[2019年09月23日(Mon)]

まちがいはどこへゆくか  鶴見俊輔

まちがいは どこへ行くか
遠くはるかに
世界をこえて
とびちってゆく
世界はなんと
小さく見えることか
錯誤をだきとることのできるものは
なんとおおきいか


鶴見俊輔『詩と自由』(思潮社・詩の森文庫、2007年)

井上ひさし「日の浦姫物語」を生み出したトーマス・マン「選ばれた人」を読み終えた。

序章〈誰が鐘を鳴らすのか〉のわずか7頁ほどを読むのに難渋したのも懐かしい。
鐘楼守の手によらずして、ローマ中のあちこちで已むことなく鳴りひびく不思議な鐘の音が、読み進もうとする者を大音響の中に立ち尽くさせる感じがあった。

だが、ジビュラとグリゴリウスの物語は読む者にも同じだけの時間を経験させる。

物語が大団円に向かう中、罪の子グリゴルスが聖者グリゴリウスとして入京し教皇として戴冠する日まで3日間鳴り続けた鐘は、この世界という大伽藍に祝福と恩寵として鳴りひびいたものであることが知られる。

◆この物語の後にたまたま手にした鶴見俊輔の詩は、ストンと腑に落ちるものであった。

まちがいを抱き取るものの存在に気づくことができるのは、我が行いを悔い、苦しみ続けた者だけである。


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