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「魔の八月」なのか?[2019年08月03日(Sat)]

語り継ぐ八月 ――戦争考   伊藤信吉

戦争というもんは
十年ごとにきっとやってくる。
三度目の戦争経験のはじまった日におじいさんは、
夕飯時の吊ランプの下で
幼い私に
そうおしえた。

日清戦争 一八九四、五年(明治二七、八)
日露戦争 一九〇四、五年(明治三七、八)
第一次世界大戦 一九一四年(大正三)参戦。

杉の葉の蚊いぶし。
農家の夏の夕暮れは
蚊群が裏の竹ヤブでうわーんと唸っていた。
泥によごれた
手足を蚊にさされながら聞いた……。

その話を日本帝国主義侵略の歴史に辿れば
〈戦争周期〉の足跡がくっきりと浮んでくる。
十歳の子供が
二十歳の壮丁にそだつ
そういう十年だ。

富国強兵。
国民皆兵。
国定教科書の軍国教育が
〈戦争愛国〉の観念を叩き込んで徴兵検査の日をむかえさせる。
そういう十年だ。
そいつはまた軍事権力・兵器産業が〈充実〉して、うずうずして、
戦争したくなる
そういう十年だ。

蚊いぶしを焚いた
八月は
魔の月。
第一次世界戦争参戦布告の八月二十三日。
シベリア出兵宣言の一九一八年(大正七)八月二日。

そして戦争経験二度の私が孫たちに語り継ぐ魔の日は
百度千度言って言い足らぬ
一九四五年八月六日・九日の原爆のその日だ。

それは〈十年周期〉を超えて
三、六五〇日をべったりと戦争に押し包んだ
その果ての
魔の月だ。
今年めぐって来た八月。
来年めぐって来る八月。
それは魔の日が二度とあってはならぬと
八月を語り継ぐ
そのための
八月である。

詩集『天下末年』(新日本出版社、1977年)所収。
小海永二・編『現代の名詩』(大和書房、1985年)によった。

***

◆国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」「表現の不自由展・その後」が中止になるという。
補助金をめぐる菅義偉内閣官房長官の圧力や、かねて不見識な歴史認識を公言してきた河村たかし名古屋市長の発言も同展への抗議を煽った。
「ガソリン携行缶を持ってうんぬん」という脅迫FAXも送られてきたというが、テロ予告には警察力をもって未然に防ぐことが必要で、主催者側の要請に警備の協力が得られない、もしくは保障できないなどと及び腰になったなどの事情があったのなら、同じ理由でオリンピックを含めたさまざまなイベントが開催できない事態に追い込まれることだろう。

行政の責任ある立場の人間が、表現者と市民を守る姿勢を示すことなく、むしろ悪意の脅しを助長する――まさに八月は「魔の月」になりつつある。


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