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〈風紋のささやき〉差別と偏見[2019年07月11日(Thu)]

DSCN1235.JPG
黄色に鮮紅が混じったダリア。

*******


風紋   塔和子

いつも幸運が
すこし顔を近づけた頃に
風が消したので
風紋があるだけ
風紋たちはささやいた
  小学校しかゆけなかったね
  自分の作品に
  親からもらった名前も記せないね
  病気はなおってても
  病名が悪いから
  なおったと言って祝ってもらえないね
風紋のささやきに焦(い)られて
私は立つ

偏見と差別の風
ひっそりと沈黙した砂たち
生産のない砂漠
風紋ができる条件が
いつの場合も
そろっていて


塔和子『いのちの宴』(編集工房ノア、1983年)より

◆昨日の詩「白い闇」には「風だから/どこかへぶち当たらなければ/自分を知ることができない」とあった。
傷付けられ痛みを引き受けることでようやく自分の存在を確かめうる境涯。

この詩では、手にするはずだった幸運を、いつも偏見と差別の風が、ロウソクを吹き消すように消してしまった、とうたう。
風紋がレコードの溝のように見えたのか、そこからささやく声が聞こえ、「私」をいらだたせる。

学校に行くこと、自分が仕上げた習字や画に親が付けてくれた名前を書くこと、それら、ふつうのことすら許さないハンセン病患者への風を受けながら、しかしうずくまることも倒れることもすまい、と「私は立つ」。


◆サッカー女子W杯で優勝したアメリカチーム、ミーガン・ラピノー選手のスピーチに、人種、性、生き方をめぐる差別と偏見の風が現在もなお我々を苦しめていることに耳を傾けよう、との呼びかけがあった。

私たちはもっと頑張らないといけません。もっと愛を持って、ヘイトを減らさないといけない。もっとしっかり相手の声に耳を傾けて、喋るのを減らさないといけない。

ここにいる人も、いない人も、ここにいたくない人も、賛成の人も、反対の人も、全員がこの世界をより良くするための責任を負っていることを、私たちは知っておかなければいけません。 
 
(2019/7/10ニューヨークでの祝賀式典で。*訳:伊吹早織)

***

塔和子「いのちの宴」.jpg

*詩集(1983年発行)の奥付には詩人の現住所が香川県木田郡庵治町***と記されている。現在の高松市庵治町の、国立療養所大島青松園である。

奇しくも先日取り上げた彫刻家・流政之のナガレスタジオも庵治町にある。
また流が親しく交わったイサム・ノグチの制作の拠点・牟礼町も現在は高松市に編入されている(イサム・ノグチ庭園美術館として公開されている)。
点と点をアナログ的に想像でつなぎながら、一つの旅を実現させたいと思う。


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