CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る
« 2019年06月 | Main | 2019年08月 »
<< 2019年07月 >>
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
最新記事
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
日別アーカイブ
流政之〈雲の砦〉―9.11WTCそして「再生」[2019年07月08日(Mon)]

流政之作品論集.jpg
流財団・監修『流政之作品論集』(美術出版社、2008年)

◆肩肘張らぬ対談(相手は森村泰昌)あり、彫刻(カーヴィング)に「割れ肌」という反カーヴィング的な異物の技法を導入したとする作品論(中ザワヒデキ「割肌というコラージュ、敗戦国のコギト」)あり、建築と彫刻の格闘、流作品の歴史的事件との遭遇にふれつつパブリック・アートの歴史に及ぶ論考(五十嵐太郎「空を飛ぶ石」)あり、流政之の世界にスッと入ることのできる一冊。
作品の写真も数多く収められている。

◆短いながら、ベアテ・シロタ・ゴードンの回想録も流の人と作品の魅力を伝える貴重な証言だ。
(晩年のベアテが東京の弁護士会館に招かれて日本語で講演したおりの、ユーモアあふれる語り口をありありと思い出した。)

1964年のニューヨーク世界博覧会では、あの有名になった日本館の建築に携わり、そこには屋根から滝が流れ落ちてくるという仕掛けがなされました。彼はこの彫刻の「ストーンクレージー」制作のために日本から何人かの石工を連れて来ていました。これにアメリカ側の労働組合の一つが抗議し、流氏は日本人と同じ数だけのアメリカ人労働者を(日本流の仕事に慣れていなくても)雇うべきだ、と主張したのです。流氏はアメリカ人労働者を雇いました。初めのうち彼等は坐り込んで何もしませんでしたが、やがて興味を引かれ、日本人職工の手伝いをするようになりました。流氏は喜びました。
(略)
ワールド・トレード・センタービルの建設現場にもご一緒しました。流氏が、ビルの設計者であるミノル・ヤマサキ氏から入口広場に置く彫刻を依頼されていたからです。先生は、そこにとても大きな二階建てほどの高さの彫刻「雲の砦」を制作したのです。流氏とヤマサキ氏は私を施工中のWTCのてっぺんに連れて行って下さいました。そこではまだ窓ガラスが嵌っていません! ヤマサキ氏は私にもっと窓際に寄って、遠くのキャッツキル山脈を眺めるように言って下さいました。私はそんな窓近くに行くのは怖かったけれど、2人のアーティストの前でためらうのは申し訳ないと、我慢して近くに寄りました。その時の景色の素晴らしかったこと――何マイルも先まで見通すことができました――が、あまりに高くて怖かったです。
 (ベアテ・シロタ・ゴードン「さあ、流さんについて話しましょうか」福家明子・訳)

◆9.11のツイン・ビル崩壊にも耐えた「雲の砦」だったが、救援活動の妨げになるとしてブルドーザーで撤去されたという。これについて村田慶之輔が作者・流の言葉を伝えている。

「テロにせよ、彫刻をこわすほどの強い力があったとしても、その彫刻をつくったものとその彫刻に触れたものたちの歴史は消し去ることはできない」
  *村田慶之輔「ナガレ・仕事」

*2004年、流は北海道立近代美術館の「NANMOSA NAGARE展」に合わせて「雲の砦Jr.」を制作した。WTCのオリジナル「雲の砦」の1/2の大きさという。

*画像は⇒http://sapporo-jouhoukan.jp/sapporo-siryoukan/choukoku/choukoku-index/index3/nagare07.html

| 次へ
検索
検索語句
最新コメント
根来珠青
銃剣道 歴史に目をふさぐおぞましさ (03/29) 当ブログ管理人
ジャーナリスト・安田純平さん解放との報【追記】 (10/26) 3億円で買える銃と弾
ジャーナリスト・安田純平さん解放との報【追記】 (10/25) マキシミリアナ・マリア・コルベ
コルベ神父のこと その2 (06/23)
若き音楽家リュカ・ドウバルグ (06/09)
タグクラウド
プロフィール

岡本清弘さんの画像
http://blog.canpan.info/poepoesongs/index1_0.rdf
http://blog.canpan.info/poepoesongs/index2_0.xml