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受容する青い光波[2019年05月06日(Mon)]

DSCN0637ヘラオオバコ.JPG
ヘラオオバコ(箆大葉子)。オオバコの仲間だそうだが帰化植物とのこと。
茎から花まで不思議なかたちと色だ。
ジャコメッティの彫刻やモジリアニの描いた人物像のように細長く。

*******


モジリアニの眼   吉野弘

アメデオ・モジリアニは、しばしば
人物の
見開いた両眼に
澄んだ青をいっぱいに満たした
瞳を入れないで


私は、あの眼が欲しい

ゆらめく光のようなあの青に
事物が吸い込まれる
しかし、瞳はなく
網膜に像は結ばず
脳に送られず
脳の皮質から批評を誘い出す可能性もない
――あの眼が欲しい

物が見えれば
物を批評せずに済ますことが出来ない
人間が見えれば
人間を批評せずに済ますことが出来ない
自分の愚かしさで手一杯なくせに
他人への批評を臆面もなくやってのける私は
今、あの眼が欲しい

あらゆる生きもののうち
最も精緻な出来損ないは人間だ

その人間の所業すべてを
せめて
眼に満たされた青い光波に
ゆらゆらと遊ばせ拡散させていたい
見えるものすべてを
私に、批評させず憎悪させず
ただ受容させるために


*詩集『自然渋滞』(花神社、1989年)収録の一篇。
小池昌代・編『吉野弘詩集』(岩波文庫、2019年)によった。

◆モジリアニの人物の瞳を入れない眼が、物や人間を受容する眼だという発見は、絵を眺め凝視し、そこに画家の意図や、描かれた人物の内面を見出そうとする向き合い方をさんざんやり尽くしたあとにフト訪れたものだろう。
いわば、見ている自分がいるのでなく、見られている自分がここにいると思ったそのとき、絵の人物の中にスッと自分が招じ入れられ、ただ世界を受容する青い眼になっている、と感じる刹那があったのだろう。



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