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まよわず木である[2019年04月21日(Sun)]

DSCN0546-A.jpg

何の木だろう。
「そこに足を停めたまま目に焼き付けるように」と木から言われているような。
「じき姿を現す葉たちのあいさつを聴きにまた来るように」と語りかけられたような。

*******

木   田中清光

木の葉の一枚一枚は
木ごとに 対になり 互い違いになり
きちんとした文法をもって並んでいると見えるが

もっとよく見ると
集合して織りだそうとしている意味をもつ

とりわけ若葉のときには
文脈を鮮明に現わし
枝にそって分節し
つづれ織りのようにレトリックをつくって
光りや闇を編みあげるのが見える

空を翔ぶ
地上に帰属しきれない小鳥たちや昆虫の類が
もぐりこんでくると
にわかに葉の文様を波立たせ

しきりに木から流れだしては消えてゆく音があり
木に向かってたえず入ってくる音もまじえ
その渦巻にそって生き身を変化させ
枯れゆくまでのレース状の時間をつくる

小鳥が飛び立ってしまったあと
葉全体はにわかに無言になる
そこには意味を地に戻そうとする沈黙と
根の一筋一筋が世界の根にふれようとしてのおののきとが
細波のように寄りかえしているのかもしれない

すべての生物のなかで長命である木は
ながい歴史のなかの人間のあやまちの外で生きつづけ
時間をすら空間に変えて
終生まよわず木であることだけを表現しつづけている


*『言葉から根源へ』(思潮社、2015年)

DSCN0550.JPG
イチョウの若葉

*樹たちはいずれも横浜・戸塚区の東俣野にて


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