耕す犂先に耳を澄ませ[2019年03月17日(Sun)]
◆朝、窓を開けたらウグイスのさえずりが聞こえた。
今年初めて聞く。
イタドリハムシ。
大きさも飛び方もテントウムシに似るが、斑紋の形が独特。面長な胴に触角も長いなど、異なるところが多い。
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目に接ぎ木されて パウル・ツェラン
目に接ぎ木されて
いるのだ お前の目に、森に道を示した小枝が――
眼差に兄弟姉妹のように結びつけられて、
それは あの黒い、
あの芽をふく。
空一杯に 瞼が この春のために張られる。
瞼一杯に 空が広がる、
その下で、あの芽に守られて、
永遠である者が 耕している、
主が。
その犂先に耳を澄ませ、耳を澄ませ。
耳を澄ませ――それは軋んでいる
あの固く、あの明るい、
あの太古の涙のうえで。
『敷居から敷居へ』(1955年)の〈取り替わる鍵で〉の一篇。
『改訂新版 パウル・ツェラン全詩集』中村朝子・訳(青土社、2012年)より。
★友より「おみ漬け」(と説明してくれた)――年来手ずから育てている野菜を細かに刻んだ漬けものを頂戴した。
夕餉に豊かさの加わる一品。
犂をふるい種を蒔き、育て、刈り入れる。
食する我らもまた太古からの営みに推参し、その恵みに浴すること。