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珊瑚の海の詩ふたつ[2019年02月06日(Wed)]

◆昨日と同じく高田邦雄詩集『弱虫革命』から


ジュゴンの沈黙     高田邦雄

どこまでも透明な海
白砂に覆われた海底に
南国の陽光が縞模様を揺らしている

その宝石のような海は
水深の浅いまま 沖まで続き
広がるアマモの草原

その草原の中を二頭のジュゴンは
喰み跡をつけながら 進んでいく
夫婦なのだろうか 親子なのだろうか

遠浅の海だから
人家から離れているから
埋め立て工事が容易だから
新たな軍事基地が建設される
美しい国を守るために

七十年前 この島の海と陸で
二十万人もの命が散って
未だにガマと呼ばれる洞窟では
皇軍に見捨てられた少女や老人の
そして負傷兵たちの悲痛な叫びが
谺しているのに

その後も この島から多くの兵士たちが
不安な思いを抱き 飛び立っていった
ベトナムヘ イラクヘ アフガニスタンヘと

二頭のジュゴンは黙々と 草原を進む
この島の切実な祈りを 知る事もなしに

  
 高田邦雄『弱虫革命』(土曜美術社出版販売、2018年)より。

*******

◆『沖縄詩歌集〜琉球・奄美の風』というアンソロジーからも1編――

のっぺら坊の島    高柴三聞

溢れんばかりの陽射しに思わず目が眩む
街は観光でやってきた人々でいっぱいである
どの顔も笑顔だ
試しに静かに視線を落としてみるといい
砲弾と血の記憶が眠っているから

足元のアスファルトやコンクリートで
かっての戦争の記憶を閉じ込めて
そうして何もなかったかのように日常が横たわっていて
日々の暮らしは慌ただしく
後ろ髪を引かれるような気持ちで
土地や海がコンクリートに覆われて行くのを横目に
日常に溺れるしかない

那覇から遠い北の方で
トンブロックが海に沈められていく
サンゴの悲鳴と地響きが
私の胃に差し込むような痛みを与える
アスファルトとブロックとコンクリートに
覆われて島は顔を失いつつある
この島は、その内つるりとした灰色の島に
変わり果ててしまうかもしれない

私は、恐る恐る顔に手をやろうとした
自分の顔が目も鼻も口も失った
のっぺらぼうになっていやしないか
酷く恐ろしくて心配になったのだ
自分の顔の肌を触れられずに
ただただ指先が空を彷徨うだけであったのだ


作者の高柴三聞(たかしば さんもん)は1974年、沖縄生まれ。浦添市在住の由。

鈴木比佐雄・佐相研一・座馬寛彦・鈴木光影 編『沖縄詩歌集』(コールサック社、2018年)より。



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