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〈なんだろう あれは〉[2019年01月06日(Sun)]
DSCN9546-A.jpg


ひどく     川崎 洋

なんだろう あれは
とおくのほうを 
たいへんな はやさで はしるのは
ずうっと ずうっと
とおくのほうを
めったやたら に ぶんなぐられて
からだ が ちぎれちぎれ に
なっているような
ひくいひくい おとを たてて
いるような
むやみに はやい
むかしのともだちが
おそろしい め に
あっているのだろうか
いまわしい きおくというきおくが
もう とめようがない つよさで
こちらにむかって
はしりだして いるのだろうか
あるいは
はな を どっさりつんだ くるまが
ひきさかれながら
みょうに わらったり している
ところなのか
むやみに はやい あれは
ひどくとおくのほうを


川崎洋『ほほえみ には ほほえみ』 (童話屋、1998年)より

◆詩人の井坂洋子は〈悪夢の切羽詰まった緊迫感のみ〉が伝わってくると書いている。
そうして「しかし、このような感覚の錯乱というのか、混乱というのか、混乱というのか、えもいわれぬ恐ろしさを、私も知っているような気がする。」と記す(「詩はあなたの隣にいる」筑摩書房、2015年)。

「たいへんな はやさで はしる」もの。「めったやたらに ぶんなぐられて」いるもの。
それは「いまわしい きおくというきおく」が「こちらにむかって」走ってくるようでもある。

「あれ」を認知しかけたこちらの感覚を太いゴム紐で引き寄せたかと思うと突き放し、揺らいだ体勢を立て直そうとすると記憶が渦巻きながらよってたかって襲いかかってくるようでもある。
ひらがなの間にはさまれた一字のアキによって言葉は断片化し、息を呑む感じから感覚と意識の途切れまでも表現している。

確かに全くとりとめもとりつくしまもないのだけれど、永遠にそこから目覚めることのない「夢魔」に魅入られた酩酊状態でもがいているのは自分独りかも知れないと思ってゾッとする。

「はな を どっさりつんだ くるまが」「ひきさかれながら」「みょうに わらったり して」に至って別な連想に駆り立てられる。

ひょっとして「あれ」とは、「栄華や浮華」を満載したまま崖っぷちに驀進するこの世界のことかも知れない、と。

一瞬、以前見た国吉康雄の「クラウン」や戦時中の作品「マスク」を連想した。

国吉康雄の絵[2016年7月16日の記事]
http://blog.canpan.info/poepoesongs/archive/325


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