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池井昌樹「みずうみ」――胸中の塩[2019年01月05日(Sat)]

DSCN9554オニノゲシ-A.JPG
オニノゲシ(と思う)
杉林の道端に咲いていた。

*******


みずうみ   池井 昌樹

ひそひそと またひそひそと
ふたつのこえがちかづいてくる
とおくから さらにとおくから
はもんのようにひろがってくる
ひとつのこえはははおやだろう
しゃくりあげるのはこどものこえだ
ふたつのこえはよりそいながら
まだねむれないわたしのまどの
ひのきえたまぎわまできて
はたとやむ
ひそひそと またひそひそと
ふたつのこえがちかづいてくる
とおくから さらにとおくから
はもんのようにひろがってくる
あのひ あれらのひびのどこかで
とどけたかったおおくのこえが
とどかなかったすべてのこえが
まだねむれないわたしのむねの
まだねむらない鹹湖(みずうみ)に
おおきなくらいよぞらをうつし
ひそひそと またひそひそと
とおくから さらにとおくから
うちよせてくる
うちよせてくる


*鹹湖…塩分を含んだみずうみ。
 「鹹」(カン)はしお、塩分。

『池井昌樹詩集』(ハルキ文庫、2016年)より。

◆現実の鹹湖なら、岩塩や、水路や地下水の通り道から入ってくる海の塩でしょっぱいのだろうが、わが胸の中の湖にはどこからしょっぱいものが入って来たのだろう。

自分が「とどけたかったおおくのこえ」、しかしどうしても「とどかなかったすべてのこえ」が「塩」として心の中に溜まっている、ということだろうか。

ひらがなの中に「鹹湖」のみ漢字で置かれ、のどもとにこみあげてくる塩辛さ、塩の結晶が析出して内側からかすかに刺す痛みを表しているようだ。





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