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ジャコメッリ――老いと死について[2018年12月29日(Sat)]

DSCN9447トベラ.JPG
トベラという常緑低木。白い花だった記憶があるが、白い球状の実の時期は見逃した。
その後3つに裂けたようで、赤い種が盛んにこぼれていた。
トベラとは「扉」のなまりで、節分に扉に挿み鬼除けとするのだとか。

*******

マリオ・ジョコメッリの写真には30代にホスピスで撮ったものを含め、老いたるものを見つめた作品で構成した〈死が訪れ、おまえの目を奪うだろう〉という連作がある。老いと死は生涯のテーマであったようだ。
2000年のインタビューから、老いと死について――

わたしたちは生きながら生を紡いでいきますが、老いに関しても同様です。わたしはこれまでに死を七十五年間生きてきました。というのも、生きれば生きるほど、死を生きることになるからです。生きながら、生が死をもって終わりを迎えることや、それを避けようがないということを知っています。

考えてみれば――ひとは物事を深く考えませんね――存在するもののなかでもっとも偉大なものですよ。リアルで強力で、身近で同時に優しくて、まるで昼と夜、海と幸福をひとまとめにしたようなものです

だから、老いは地球上に存在するうちもっとも偉大なのです。こんな馬鹿げた説教をするひとなんて他にはいないでしょうが、よく考えれば本当のことですよ。誰にも否定できない。そんなことをするのは愚かな証拠です。

もちろん、老いは怖いですよ。死は一瞬ですし。生を享けた限り、死ななければならないことは当たり前のこととしてわかっています。一方、老いの苦しみは持続します……。
 


マリオ・ジャコメッリ『わが生涯のすべて』(シモーナ・グエッラ[編]和田忠彦+石田聖子[訳]。白水社、2014年。p.78~79)
*赤字強調は引用者。
*編者のシモーナ・グエッラはジャコメッリの姪とのこと。写真アーカイヴコンサルタントとして活躍中の由。

Mジャコメッリ[死が訪れて君の眼に取って代わるだろう]1954-84_0010.jpg
『死が訪れ、おまえの目を奪うだろう』(1954-84)より



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