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独房からの想像力[2018年12月04日(Tue)]

アニエス・アンベール「レジスタンス女性の手記」より

独房の汚れた壁の染みや罅割れの形作る絵を目でなぞるのは楽しい。想像力が欲するものはすべてそこに見つかる。あそこには、紛れもないジャン・カスーの横顔が認められ、もっと向こうでは、湿気の染みが、純然たるアントワーヌ・ブルデル**の作風による調教された豹を見せてくれている……それから、小出しにしか姿を見せてくれない太陽が、数センチ四方の染みとなってゆっくりと進んでいく。時折、上方を影が通り過ぎ、その輪郭が浮き上がる。なかなか正体がわからない。中庭を横切る鳥の影だった。鳥の影とはすてきだ、ことに監獄の暗い壁の上のそれは。
(シェルシュ=ミディにて1941年4月17日)
アニエス・アンベール「レジスタンス女性の手記」第3章、p.78〜79より

◆強靱な精神の、なんとしなやかな想像力だろう!
1m60cm×2m40cmの独房の壁のシミやヒビ割れによって造形されるさまざまな姿。
小窓からわずかに射しこむ光の変化から太陽の動きを目で追う。

上方を通り過ぎる影の正体を知って「すてきだ」と表現する向日的な感受性。
自由を象徴する外の鳥を単にうらやむのでなく、同じことを、閉鎖空間に閉じ込められながらも実現しようとする想像力。

ジャン・カスー…アニエス・アンベールと親しく、当時は美術館学芸員として働いていたが、ヴィシー政権により近代美術館を解職され、アニエスの逮捕(1941年4月15日)後、同年12月に彼もまた逮捕された。戦後は国立近代美術館館長も勤め、作家・美術批評・詩人として活躍した。(1897-1986)

**アントワーヌ・ブルデル…「弓を引くヘラクレス」で知られる彫刻家。(1861-1929)

◆シェルシュ=ミディはアニエス・アンベール(1896-1963)が最初に収容された軍事刑務所である。
反ナチスの地下新聞「レジスタンス」発行により政治犯として逮捕、1945年4月の解放まで、ドイツ各地に抑留を強いられた。
原著は1946年に発表された。

アニエス・アンベール「レジスタンス女性の手記」.jpg
石橋正孝・訳 東洋書林、2012年。


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