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辺見庸『月』の装丁と作者の自署・落款まで[2018年11月16日(Fri)]

『月』刊行に合わせて行われた辺見庸氏の講演を聴く(八重洲ブックセンター)。
講演の内容については別途触れると思うが、本としての『月』を手にした感想を先に書いておく。

帯の赤い「月」の字(井上有一・書)が、2016年7月26日の津久井やまゆり園事件の人々の鮮血の表現であることは近刊予告のカラー画像で分かっていたことだ。

◆実際手にしてみると、印象が修正される。
「月」の字は、韓紅花(からくれない)というのか深紅(こきくれない)というのか、小豆色まで行かないがやや紫を帯びながら黒を含んでいるようにも見える。

辺見庸「月」帯カバー本体_0001.jpg

◆もっと予想と違ったのは「月」の字を刷った帯の紙の質だ。
ツルツルしていない、小説本文の色に近い白い紙。
(この本に使われている本文の用紙は、多くの本で使われる黄色味を帯びたいわゆる書籍用紙、ではない。通例の本の用紙よりは白さがまさっている。帯は、それと同じ白さで本文より厚めの帯紙。)

◆また、この帯は普通の本に巻いてあるものの倍以上の幅がある。異様と言っていい。
しぶきをあげた「月」の字を刷るためにこの幅を必要としたわけである。

それだけの幅を帯に与えたために、この本を手に取ったときの感触と視覚的な印象を考慮して、紙の質で生々しさを抑えようとしたと思える。

そうして、赤い「月」の上にかぶせた黒い活字がさらに抑制を利かす。

「あなた、
 ひとですか?」
「ひとのこころ、
 ありますか?」


◆帯を取り去るとグレイのカバーに一変して、黒々と、のたうつような「月」の字が現れる。

惨劇のあとの無明世界を表現するかのようだ。

辺見庸「月」帯カバー本体_0002.jpg

◆カバーを外すと小説本体の表紙が現れるが、その色は灰青色というのか、利休鼠と銀鼠色の中間ぐらいの色。

辺見庸「月」帯カバー本体_0003.jpg

薄明に向かう頃おいを暗示しているのかも知れない。

帯→カバー→本体表紙へと色が変わって行くのは、事件当日、夜中過ぎからの時間の経過を暗示しているようであり、同時に事件が与えた衝撃が我々に飛び散り、我々の内側に浸潤し、沈潜を経て何かが浮かび上がってくるまでを表しているようでもある。

◆さて、表紙を開けると見返し(表紙を開けた時の表紙裏と中扉の1枚手前の紙)に驚かされる。黒なのであった。それもノッペリした黒ではなく、黒の中に何かが闇の中に溶け込んでいて蠢いているような。

そうしてその黒の上に銀色で書かれた著者自筆の「月」一字。そしてその下に朱色で著者の落款が捺されているのであった。


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