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朝日社説から(3)学力テストの弊害について[2018年08月30日(Thu)]

◆一昨日(8月28日)の朝日新聞社説は「大阪市長 学力調査を乱用するな」という見出しだった。
大阪市の吉村洋文市長が打ち出した、全国学力テストの結果によって校長以や教員の人事評価やボーナス、学校への予算配分を増減させる、という乱暴な方針へのまっとうな批判である。

【朝日新聞 社説 2018年8月28日】
https://www.asahi.com/articles/DA3S13653441.html

◆大阪市長は学力テストの目的を取り違えているだけでなく、教育活動とその結果のあらわれ方についても無理解である点で教育行政に与る責任者として失格だ。

いかに問題に工夫を凝らしても、学力はテストで測れるものばかりではない。

またテストの結果が良かったとして、それに貢献したのは誰だ、ということになるのか?
小学校6年と中学3年の春に行うテストに寄与しているのはその前年度の担任教師となるのか、それ以前の担任は関係ないのか。
前年途中で産休その他の事情で担任が交代した場合に貢献度の多寡を見定めるのは誰なのか。
そのように重箱のスミをつつくような銓衡を始めたらキリがない。学習活動と結果にはタイムラグがあるから、当然出てくる疑問だ。

◆子どもたちのつまづきを把握して授業の改善に役立てるというのが本旨であるはず。
吉村市長はそれを忘れてニンジンを馬の前にぶら下げて見せたわけだ。

民主党政権での抽出調査にしたことは、いたずらな競争主義を薄める効果があったが、アベ政権復活で悉皆調査に戻し、各自治体は順位に一喜一憂するようになった。
そうした競争原理導入を危惧すればこそ、かつて犬山市は学力テスト導入にあくまで抵抗した。

点を上げるために教員が生徒に正解を示唆したり、学力の低い子を受検から外したり、上位校の校長名を公表する首長が現れたり、等々、懸念された悪影響は次々と現実のものとなっている。

膨大な経費と手間ヒマを費やして競争をあおる。
いきおい数値で測れるものの習得にだけエネルギーを注ぐ。

内田良・名古屋大准教授は翻弄される学校現場の姿に警鐘を鳴らしている。
★【8月29日】 全国学力テスト 事前練習に追われる学校現場 授業が進まない
https://news.yahoo.co.jp/byline/ryouchida/20180829-00094820/

小・中ともテスト対策として事前に過去問を練習させるために、授業が削られるばかりだというのである。

下位は底辺から脱するために、上位はその地位を維持するために、ともに地獄を見る、と記す。

余裕を失った教員は子どもたちに鞭を当てる。

その例として内田氏は、2017年、福井県池田中で起きた自殺事件をあげている。
担任からも副担任からも叱責・罵倒を受け続けた中2男子生徒が亡くなっケースだ。
これをを受け、福井県議会は「福井県の教育行政の根本的見直しを求める意見書」を2017年12月に採択した。

これについて氏は次のように述べる。

毎年複数の教科で「学力日本一」となっている福井県において、議会が「学力日本一であり続けることが目的化」しており、教員が生徒に向き合えなくなっていると懸念している点は、一つの教訓として注視すべきである。

駆り出される子どもたちからの異議申立・告発がすでに始まっているのではないか?


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