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石垣りん「峠」[2018年08月26日(Sun)]

DSCN8142願成寺のコブシ.jpg
横浜市西区にある願成寺(高野山真言宗)のコブシの木。
大きくそびえ立ち、日差しを遮ってくれる心地よさに何度も見上げた。

◆横浜は坂の多い街だ。
願成寺も商店街のはずれから狭い坂(くらやみ坂)を上っていく途中にある。
保土ケ谷から来た旅人は、この坂を上り、峠のその先、戸部村・横濱村へと下っていくのである。


 峠    石垣りん 

時に 人が通る、それだけ
三日に一度、あるいは五日、十日にひとり、ふたり、通るという、それだけの――

――それだけでいつも 峠には人の思いが懸かる。

そこをこえてゆく人
そこをこえてくる人

あの高い山の
あの深い木陰の

それとわかぬ小径(みち)を通って
姿もみえぬそのゆきかい

峠よ、
あれは峠だ、と呼んで もう幾年こえない人が
向こうの村に こちらの村に 住んでいることだろう

あれは峠だ、と 朝夕こころに呼んで。
 


 *「峠」は石垣りんの第一詩集『私の前にある鍋とお釜と燃える火と』(1959年)所収。
  ハルキ文庫『石垣りん詩集』(1998年)によった。

◆峠を幾年も越えたことのない人々――大半の人たちは、そのように日々のなりわいを重ねて生涯を送るはずだったろう。

そんなことを思ったのは、願成寺の入り口に建つ二つの戦没者の慰霊碑を眺めたからだ。
いずれも日露戦争に応召し、生きて還ることのなかった若者たち。

DSCN8158.JPG


DSCN8160.JPG

享年二七、および二九。一人は菓子職人であったことが碑の裏に誌してある。

◆もしその若者が峠を越えて戦地に赴くことが無かったとしたら……
何人もの旅人がこの寺の木陰に腰を下ろし、菓子職人心づくしの甘味で疲れを癒したことだろうと想像してしまう。

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