CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る
« 2018年07月 | Main | 2018年09月 »
<< 2018年08月 >>
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
最新記事
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
日別アーカイブ
石井桃子の「ノンちゃん牧場」[2018年08月17日(Fri)]

◆没後10年を機に石井桃子展が開かれている。
神奈川県立近代文学館で9月24日まで。

DSCN8066-A.jpg
会場入口。ここは撮影OK。
本をかたどったデスプレイ、左ページに掲げられているのは子どもたちへのメッセージ。

子どもたちよ
子ども時代をしっかりと
たのしんでください。
 おとなになってから
 老人になってから
あなたを支えてくれるのは
子ども時代の「あなた」です。

             石井桃子

展示最後のコーナーに、自筆の色紙が展示されていた。
2001年の7月に東京・杉並区立中央図書館で「石井桃子展」が開かれた折りに寄せたもの。
(↓本展図録より。同図書館蔵)

石井桃子筆跡「子どもたちよ〜」-A.jpg

◆1933年、犬養毅の家で「プー横丁にたった家」(A.A.ミルン)の原書に出会って以来、数多くの児童文学を紹介してきた石井らしいメッセージだ。

2003年、石井はプーさんシリーズの著者ミルンの自伝「今からでは遅すぎる(原題「It's Too Late Now」)も翻訳するのだが、題名の意味するところは、〈子どものころの生活が、ある人間をつくっていくので、今から何かになろうとするのでは遅すぎる〉ということ。
そう言われてしまうと、すでにトウが立った我々は赤面するか、全身の血が引いていくか、どっちにしろ忸怩たる思いに襲われるばかりだが、上掲の石井のことばの方は、子どもたちへの愛情をたたえてどこまでもあたたかい。

◆ビアトリクス・ポターの「ピーターラビット」シリーズやディック・ブルーナの「うさこちゃん」シリーズなど、石井が紹介した絵本に出会わなかった人を探す方が難しいくらいだろう。
個人的には、井伏鱒二の訳で出た『ドリトル先生「アフリカ行き」』(ヒュー・ロフティング作。最初の刊行は1941年の白林少年館)が懐かしい。石井の下訳をもとに井伏訳として世に出た。
これは戦後、石井が携わった岩波少年文庫の一冊として再登場するが、僕が読んだのは大きい判型だったと記憶する。「ドリトル先生」シリーズは1961年に大きめの愛蔵版で出ているから、それで読んだのだろう。

◆石井の文藝春秋社時代の同僚・小里文子(おりふみこ)との交遊ー自伝的小説『幻の朱い実』94年ーに描かれる)も初めて知った。若くして病没した文子の家を譲り受けて荻窪に住むようになり、家の近い井伏としばしば往き来したという。
井伏が太宰治とともに訪ねて来た折に、他の来客があったことに遠慮した太宰はベランダのところに立ったままで、石井がいくら声をかけても家に上がろうとしなかったというエピソードも紹介されている。

◆驚いたのは、1945年、農場を持つという夢を実現させたことだ。宮城県栗原郡鶯沢村(現・栗原市)に移住しての開拓農民としての生活、代表作「ノンちゃん雲に乗る」にちなんで「ノンちゃん牧場」と呼ばれることになる農場は、5年後には田畑3ha、印税で乳牛を飼い畜舎、サイロ3基を備えた本格的なものへと成長を遂げ、酪農に情熱を傾けながら執筆を続けた。
二足のわらじを追求した10年、果断な実践の人、という印象だ。

会場最後のコーナーに、乳搾りに使っていた椅子が置いてあった。
移動させやすいように持ち手が付いた3本脚の小さな丸椅子である。
のちに書斎で高い棚の本を取るために用いたという。
本展図録の書斎(石井が開いた荻窪の「かつら文庫」ー現在は東京子ども図書館の分館ーで公開されている)の写真から、その椅子だけ紹介しておく。
「ノンちゃん牛乳」の牛乳ビンとともに、本展では必見である。

石井桃子の乳搾り椅子.jpg

| 次へ
検索
検索語句
最新コメント
根来珠青
銃剣道 歴史に目をふさぐおぞましさ (03/29) 当ブログ管理人
ジャーナリスト・安田純平さん解放との報【追記】 (10/26) 3億円で買える銃と弾
ジャーナリスト・安田純平さん解放との報【追記】 (10/25) マキシミリアナ・マリア・コルベ
コルベ神父のこと その2 (06/23)
若き音楽家リュカ・ドウバルグ (06/09)
タグクラウド
プロフィール

岡本清弘さんの画像
http://blog.canpan.info/poepoesongs/index1_0.rdf
http://blog.canpan.info/poepoesongs/index2_0.xml