小鳥と会話するひと[2018年08月01日(Wed)]
コブシの実に赤みがさしてきた。
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無口なことば 佐藤 勝太
彼の言葉には
人の心にしみるものがあった
平素は無口で無愛想に
思われていたが
話の後には心を動かすものが温く残った
彼は毎日山の麓を
独りで散歩しながら
小鳥の鳴声と会話し
明日のこと未来のことを
山の樹木や小鳥たちに
問うという
◆朝夕の土手道を散歩する年配者は少なくない。
その中に小鳥と会話するアッシジの聖フランチェスコが居たって何の不思議もないのだが、実際に会ってそれと気づく人は少ないだろう。
暑さを口実に家に籠もって懈怠の時をむさぼるモノグサ老人には決して起こりそうにない出会いだ。
佐藤勝太『佇まい』(コールサック社、2017年)より。
*同じ詩集からは先月、「ふるさとの町」を紹介した。
★【2018年07月09日記事】
水害――小田川沿いの町々
⇒https://blog.canpan.info/poepoesongs/archive/918