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「公然と夢をもとう!」[2018年05月06日(Sun)]

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ジャガイモの花にテントウムシ

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「夢暮らし」より   長田 弘

そうだ、群生するツメクサも 価値も
いつかきっとほろんでゆく、おとろえてゆく。
日は河口のうえにかげり、幻のたまりばもまた移る。
変わらないものはぼくにはなにひとつないんだし、
変わってゆく。人間はここではざわめく鏡のようだ。

蟹のように水の底にそって走るもの、
無量のおもいがつかんでいる限りある色。
兵士たちは、血まみれの心臓をおさえてどっと倒れる、
とおい戦場で、ぼくのこころを包帯のように汚して。
だが、そこにも、どこにもぼくの名はまだ書かれていない。

おお、だから、公然と夢をもとう!

ぼくのいっさいは夢の材質でできているから、
いっさいの事物がいっさいの商品にほかならないとき、
夢を否定するいっさいの私有制を否定するために、
名なしのままのこのぼくを、きみたち、夢の子供とよんでくれ。
夢こそ唯一の形式、ぼくの生きる。

だから、かくされた秘密は大声でさけべ、
いってみるだけの口説、いやいやながらの献身、
塔のように、それらすべては消してしまえ。
どこまでいっても、千の労働は千の搾取へとつづいている。
僕は銹びた都市を巻いて、瓦礫への道をぬってゆけ。

後悔を和解でわって死ぬなんて嫌だもの。
部分は全体を想像するが、全体は部分を想像もできない。
岬をまわって、泡立つ海面のかがやきにちかづく
和船のように、ぼくを船べりにのせて
恐怖のみ、朝のなかにギーギーとひろがっている。

呼気と吸気のあいだでめざめる 鳥貝に挨拶を。
こころのきわを、自分の影を追って走る
子どもたち、犬たちに挨拶を。
裏切者のように孤独に道を急ぐ男たちに、挨拶を。
おお、職工たちがきょうも汗で顔をあらっている。

だから、公然と夢をもとう!

驚きを失った世界への拒絶が
ぼくをつくる。短かい希望やながい平和を
日もすがら、紫のけむりにかえてどうなるものか。
経験は事実よりおそい、歴史とは
こころがつかいはたすぼくの肉体のことだ。


長田弘『メランコリックな怪物』所収(晶文社、1979年)

◆本文181行から成る詩の75行目から111行目まで。
「公然と夢をもとう!」という繰り返しは自分への呼びかけである。
それは、驚きにあふれた世界を生きること。
個々の存在に目もくれない全体(=権力の支配)をキッパリ拒絶し、想像力によって世界全体をとらえながら。

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