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「人間だって売っていい」と考える人々[2018年04月29日(Sun)]

DSCN4530.JPG
大磯の吉田茂邸の書棚に並ぶ、息子の吉田健一(1972-77)の著作集。英文学者としてシェイクスピアの「ソネット」翻訳などがある。

*******

商品論   許南麒

金を取つて
売ることのできるものは
すべて 商品である、
そして 商業は 立派な行為である、
それが靴であろうが
洋服であろうが、
はたまた 家であろうが、
田畑であろうが、
売ることさえできれば
別に文句はないのである、
すべて 神様の名において許される、
それが
商品であるかないかということが
商科大学の講義の中で
認められようが、どうしようが
そんなことはどうでもいいのである、
牛や豚が売れるからには
人間だつて売つていい筈であり、
山林田畑が売れるからには
国土全部だつて売れない筈はないのである、
だから 蒋介石氏が
台湾抵当に お金を借りようとも
だから ドクトル李が
南鮮六道格安譲渡広告を出そうとも、
そして白タビ吉田氏が
できることなら
八千万つけたままで この国
競売に出そうとするのも
みんな差し支えない筈である、
新聞によると
ありもしない品物を売つて
どろんをきめる 醜い人士もいるという、
そんなのに比べると
蒋氏、李氏、吉田氏のこの行為は
なかなか立派である。


 木島始編『列島詩人集』(土曜美術出版販売、1997年)
許南麒(ホ・ナムギ、きょ・なんき 1918-88)…朝鮮・慶南生まれ。詩誌「列島」の創刊号編集委員。

蒋介石(1887-1975)…孫文の後継者として国民党政府を率い抗日戦を遂行し、第二次大戦終結後、中華民国総統。しかし国共内戦に敗れて台湾に退いた。

ドクトル李李承晩(り・しょうばん、イ・スンマン 1875-1965)は、大韓民国の初代大統領(在任1948年-60年)。米プリンストン大で博士号(哲学)を取り、朝鮮人初の博士号取得者となった。朝鮮戦争時には停戦に反対し、半島統一にこだわった。

白タビ吉田氏吉田茂(1878-1967)。1948〜54年に首相を務めた。51年サンフランシスコ講和条約に調印。白足袋、葉巻がトレードマークだった。

「列島」「荒地」とともに戦後詩を牽引した詩誌だ(1952〜55年まで12号を出した)。1997年に大部のアンソロジー『列島詩人集』をまとめた木島始によれば、敗戦時に20歳前後の人間を匕首のように脅かしていたものは二つ――一つは徴兵、すなわち死の予想を孕んだ国家による訓練集団への加入義務。もう一つは飢え、つまり食う術をなくした果てに襲ってくる餓死の予想。
そうしてこの二つが消滅したかと見える戦後社会にも、再び新たな精神への脅かし、精神の飢えや渇えが立ち現れる中で、「列島」に集まった詩人たちの多くは、組織・集団と個人の矛盾のただなかに引き裂かれる自己をつきつめていったと書く。

◆許南麒のこの詩、権力者たちのやっていることが、結局は国を商品として売り飛ばすことに他ならないと痛烈に皮肉っている。
詐欺師が扱うのはありもしない品物だったりするが、権力者が売りさばくのは実在する国土であり現に生きている人間なのである。だから詐欺師より「なかなか 立派である。」と持ち上げておいて唐辛子入りの団子を喰らわせるのだ。

無論、詐欺師より「立派」な権力者は現下も跋扈していて、ゴールデンウィーク中も商いに忙しい。

DSCN4535吉田茂邸白タビのオブジェ.jpg
同じく大磯の吉田茂邸に置かれた「足袋」のオブジェ。



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