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「希望でみぶるひする」夜は[2018年03月05日(Mon)]

◆ひな祭り目前の3月2日に亡くなった女児のこと(東京目黒区)。
父親による虐待のいたましい犠牲だった。

◆児童福祉の分野で多年活動されて来た高橋久雄さん(社会福祉法人「至誠学舎立川」常務理事)という方の話を思い出した。
社会全体として凶悪な犯罪は減っているのに、犯罪の半分は家族の人間関係の中で起きている、という指摘があった。支える地域社会も変貌している中で、地域の人間が「身近な大人」として子育て応援団になる、そうした意識的・継続的な地域づくりが必要だ、という話だった。

小熊秀雄「親と子の夜」という遺作の詩がある。その最終連――

どこから人生が始まつたか――、
父親はいくら考へてもわからない、
いつどうして人生が終るのかも――、
ただ父親はこんなことを知ってゐる
夜とは――、大人の生命をひとつひとつ綴ぢてゆく
黒い鋲(びょう)のやうなものだが
子供は夜を踏み抜くやうに
強い足で夜具を蹴とばすことを、
そんなとき父親は
突然希望でみぶるひする
――夜は、ほんとうに子供の
若い生命のために残されている、と。

 岩田宏・編「小熊秀雄詩集」岩波文庫、1982年

◆目黒の若い父親に、夜の「黒い鋲」への不安とおののきがなかったろうか。
あるいは、この父親の傍らで、ともにおののく誰かが居なかっただろうか――「希望でみぶるひする」我が身に気づくまで夜の深さをともに見つめる者が。



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