CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る
« 2018年01月 | Main | 2018年03月 »
<< 2018年02月 >>
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28      
最新記事
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
日別アーカイブ
ふつうの人のこころに届く詩[2018年02月20日(Tue)]

詩人・豊公子さんの逝去を悼む

◆知人の奥様のお別れの会に参列した。

直接お目にかかったのは2014年秋、川崎市溝の口で開かれた九条の会の折。
駅から会場に向かうペデストリアンデッキで、ご夫妻連れ立って到着されたところに遭遇した。
電話や用向きの伝言を御願いすることが何度かあったが、いつも丁寧な言葉で受けとめていただいて来た。

◆喪主としてマイクに立った知人の話で、地元厚木市の「あつぎ九条の会」の旺盛な活動を支えて来た奥様の、詩人としての活躍を知った。
百数十号に及ぶ「あつぎ九条の会」会報の発行人であり、会報に連載する詩の制作も続けて来たことが紹介された。

◆会場入り口のコーナーでいくつかの作品を読むことができた。
どれもふつうの市民の心の中まで届くように、願いを柔らかに練り込んだことばであった。

その願いとは平和憲法を守り育てることであり、それはどこまでも家族・地域に根ざした生き方から湧き出るものであるように感じた。
そのような生き方から生まれる詩は、個からの発信というだけでなく、多くを受信しそれに応えようとする心の表現でもある。

たとえば、毎月九日、本厚木駅で続けて来た署名活動で出会った人々のことばたち。

駅頭にて  豊 公子(ゆたか きみこ)
    (*そのラスト2連)

ジャンパースカートの
娘さんがやって来た
「ありがとうございます
本当は私たちが
やらなければならないんです」
思い掛けない言葉だった
ずっと前から待っていた言葉だった

花柄の杖のおばあちゃん
「若い人が書いてくれたねぇ」
「はぁい」万感をこめて応えた


◆娘さんの装いやおばあちゃんの杖の花柄に目を留めている人は、相手の言葉だけでなく、相手の存在全体を注意深く見つめ、受けとめることが出来る人だろう。
そうした人のもとには自ずから人が集まってくる。


アベ政治を許さない   豊 公子

墨で書かれたポスター
駅頭で掲げる
何人 来てくれるか
いつもよりは多い予感

本厚木駅 駅前 北口
ポスター片手の人
横断幕を広げる人

次第にポスターがふえる
参加者を数える五六人
この街の駅頭宣伝で
こんなに集まったことがない
かぞえ違いかもしれない
もう一度数える六七人

通りすがりの青年
「一緒に並んでいいですか」
いつの間にか
朱色の「アベ政治を許さない」も並ぶ
心して 今度は声を
声を出しながら数える七五人だ

友人から熱いニュースが届く
ポスター持って
コンビニの前で二人で
信号の傍で数人


◆2015年9月16日、安保法制強行採決直前、横浜で公聴会が開かれた時の詩もある。

公聴会のあった日   豊 公子

横浜で地方公聴会があった日
我が家の夕食
夫が横浜の様子を話す
私は口をはさむ
公聴会で意見を聞いたら
公聴会の意見を確認して
さあどうしましょうかって
話し合わなきゃおかしくない
いきなり裁決はおかしいよね
「国会へ行く」と娘がいう
「もう夜だよ」と私
「じゃあ僕も行く」と夫
夫は財布の中を確認して
娘は夫の服装をチェックして
二人は出かけた
私は台所をかたづけ
パソコンにむかう
中央公聴会での
学生公述人の意見を読む


◆今現在を詩に読むことは容易でない。
記憶の減衰を加速させようとして目先を惑わすことに熱心な政治のもとでは、起きたことの輪郭が定かでないまま、読者の意識に引っかかる言葉のフックが外されやすいからだ。

上の詩では、歴史的な一日が夕食の家族の会話で描かれている。
「私」の「おかしいよね」という批評のことばの後に3人の短いことばが「 」付きで続く。
それぞれの役割がカッチリかみ合って行動に移る場面。
意思を固めた人々のドラマと言って良い。

家に留まる「私」は単に留守番役なのではない。
今ここでやれることを、なすべきこととして取り組む。
決然と肝を据えた人としてパソコンに向かうのである。

◆映画でも良いテレビドラマでも良い。
この詩を1シーンとして、今現在を描く表現者が現れないものか。

*******

*今日、2月20日は小林多喜二忌である。
厚木で例年行われる多喜二を偲ぶ集まりは豊和子さんの司会で行われて来たことも「お別れの会」では紹介された。案内を頂戴したこともあったのに参加できなかったことを残念に思う。
今は安らかな眠りを祈ることしかできない。


◆豊公子さんの作品のいくつかを「横浜詩人会議」のサイトで読むことが出来る。
またネット上には詩を載せた「あつぎ九条の会」の会報のいくつかがアップされている。

【横浜詩人会議】
http://keihinsiha.blog.fc2.com/blog-category-44.html



| 次へ
検索
検索語句
最新コメント
根来珠青
銃剣道 歴史に目をふさぐおぞましさ (03/29) 当ブログ管理人
ジャーナリスト・安田純平さん解放との報【追記】 (10/26) 3億円で買える銃と弾
ジャーナリスト・安田純平さん解放との報【追記】 (10/25) マキシミリアナ・マリア・コルベ
コルベ神父のこと その2 (06/23)
若き音楽家リュカ・ドウバルグ (06/09)
タグクラウド
プロフィール

岡本清弘さんの画像
http://blog.canpan.info/poepoesongs/index1_0.rdf
http://blog.canpan.info/poepoesongs/index2_0.xml