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あとはあおあお[2018年01月28日(Sun)]

もうひとつの旅   八木幹夫

思いはなんども海を渡ったが
海を渡って異国の旅は初めてだ

あくせく働く
地上を離れ
空を飛ぶ
空飛ぶ夢はなんども見たが
地球の重力ぷっつり切って
ほんとに空を飛んでいる

(落ちないかしらね)
(落ちないよ)

あれがぼくらのニッポンで
あれがひのもといちの山
これでしばしのおわかれだ

ちちははが
働き詰めに働いて
土にかえった
ちいさな国のちいさな町

そこからぼくらはとびたった
海岸線に波がたち
あとはあおあお太平洋

雲の上
ぼくらはふだんと変わりなく
食事をしたり
となりの人と冗談話

(ほら 雲の中にきえていく あのふたり 大丈夫かな)
(きっと 大丈夫よ)

桜の花の散りかかる
墓にひっそり腰掛けて
ふたつのたましいが
空を見上げて
話してる

(さて おれたちもいこうか)

  『八木幹夫詩集』思潮社・現代詩文庫、2005年

◆八木幹夫は詩の朗読にも熱心に取り組んでいる人のようだ。YouTubeにいくつか朗読がアップされている。それを見るのは上の詩集を読んでからの楽しみに取って置くが、自作だけではなく様々な現代の詩作品が取り上げられている。

◆朗読は己の声を我が耳で聴きながら進む。
ならば、発した音が連想を刺激して繰り返され、転音し、広がり、はじけ、高まり、沈み、うねりして、しまいに暴れ出しもするだろう。八木の「大根心中」など、そんな詩だ。

◆この「もうひとつの旅」は、そうしたはみ出しをすっかり洗い去った最小限の言葉で出来ている。全体はゆったりした七五の調子(とそのバリエーション)に身を委ねて、機上と地上(墓に腰掛けたふたつのたましい)の短い会話が交わされる。
ここでは、話を聞く相手がすぐそばにいるので、己の声を自分の耳に環流させて確かめる必要がない。
そもそも話す必要もないほどに互いには分かりきったやりとりだ(その証拠にこれらの会話はどれもカッコの中に収まっている)。

ふわふわ空に浮かぶ雲のような会話。
機上の二人は初めての海外旅行、彼らが乗った飛行機を見上げている親たちは腰をあげて天国か極楽への初めての旅。
ともに重力やこの世のしがらみからぷっつり自由な同行二人だ。

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