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差別の構図[2018年01月26日(Fri)]

六十なかばにして耳疑う

◆信じがたい放言だ。
松本文明副内閣相が自らのヤジのために更迭された。
処分としては全く不充分。議員の職も辞すべきであり、首相も任命した責任を取るべき事件である。
事は、沖縄県で相次ぐ米軍ヘリを巡るトラブルに関する野党党首の代表質問中に「それで何人が死んだんだ」とヤジったというものだ(1月25日衆院本会議)。
一義的には「人が死んだわけじゃないのに国会で取り上げるほどのことか」と言い放ったのだから、議員として不適格なのは明らか。
だが、それだけではない。
人の命を何だと思っているのか、人間性そのものに疑問符がいくつも付く発言なのだ。

◆人命軽視は沖縄への差別意識と結びついている。
こうした腐った性根には無数の欲望の蛆が蝟集していて、自分とその仲間以外のあらゆる人々を常にターゲットにしている。
このヤジに同調した者や苦笑いを洩らした人物もまた、同じ性根を分かち持つ輩ということになる。

不適格な人物が議員の職に「恋々と」留まることについて首相・官房長官らが容認したのであれば、内閣・政府与党の沖縄差別の体質に変化なし、ということである。

野中広務氏の無念

◆そうした折も折、沖縄へのまなざしを持ち続けた元官房長官の野中広務氏逝去が報じられた。
2001年3月、麻生太郎の卑劣な差別発言(野中氏の出自をあげつらって「あんなのが総理になってどうするんだい」と嘲笑った。)に深く傷ついた体験を持つ。
差別される者の痛みを知る人のニラミは残念ながら威力を失って久しい。
松本文明の差別発言は出るべくして出たと言わねばならない。

◆野中広務氏は一方で、「国旗国歌法」を成立させた人物でもある。1999年、小渕首相が国旗国歌法を出すつもりはないと答弁した直後に広島県立世羅高校長の自死事件が起きた。
事件をきっかけに法制化の口火を切ったのが小渕内閣の官房長官であった野中氏である。

1999年3月12日の国会では次のように答弁している。

「 国民に対しまして、例えば法律によって国旗の掲揚とか君が代の斉唱を義務づけるべきであるとか尊重責任を詳細に入れるべきであるとか、こういった御議論もあるわけでございますけれども、基本的には私、思想及び良心の自由、すなわち憲法十九条にあります関係等を十分踏まえて、そしてこれは対処をしていかなくてはならない問題であると思うわけでございます。」
★【1999年3月12日、参議院総務委員会会議録】
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/145/0002/14503120002004a.html
歯切れが悪いが憲法をふまえた答弁にはなっている。
しかし一旦法律が通ると実質的な強制力を発揮し、現在に至っている。
そのことを野中氏自身、数年後には反省している。
『差別と日本人』において国旗国歌法を振り返って次のように語っている。

僕は答弁でも、「国旗国歌は強要するものでも何でもない」と言った。だから第一条「国旗は日章旗とする」、第二条「国歌は君が代とする」。それだけですよ。だから強要も何もしないと。

◆対談の相手、辛淑玉(シン・スゴ)氏によるこの章の解説も引いて置こう。

教育現場での混乱の最大の原因は、日の丸君が代を強制しようとする学校や教育委員会の管理者たちが、「お上の通達だから」という理由をまるで方便のように使ったことである。本来なら、なぜ君が代を歌うのか、なぜ日の丸を掲げるのかという、日本の近代史や思想信条の自由についての深く分け入った議論をすべきだったのだ。そのような場を設けてこそ本来の教育だった。ところがいったん法律が通ると、そのような教育的な議論は、一切封印し、上意下達とばかりに国旗国歌を押しつけてしまった。

その後、第一次アベ政権による「教育基本法改悪」(2006年12月)まで、問題アリの法律だらけとなって現在に至る。解説は2006年当時の野中の次のような悔いの発言を紹介している。

後に野中氏はテレビ(TBS時事放談06年11月26日放送)で、「自分が小渕政権で官房長官やってる時に、国旗国歌法案を触発的にやったんですよ。やったけれどもね、そのあと自分振り返ってみたら、その勢いのまま、住民基本台帳とか、周辺事態法とか、もう怖い怖いのがどんどんどんどん出来たのを、自分で非常に反省してます」と語った。


その後さらに特定秘密保護法、戦争法制、さらに共謀罪……とキケン極まりない爆裂弾が仕掛けられて来たのが2018年の今現在である。

それらのほとんど悉くが米国の意を受けて成立させたものであることも明らかになった状況で、終末時計が「2分前」に進められたというニュースが流れた。
1953年以来の危機的事態を針は指している。針を進めた要因の何割かはアベ政権によると思うにつけ、野中氏晩年のアベ政治批判の努力を諒としつつも、事態を押しとどめるに至らなかった無念をいかんせん、と思わずにいられない。

辛淑玉野中広務「差別と、魚住_0001.jpg
野中広務・辛淑玉「差別と日本人」(角川oneテーマ新書、2009年)


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