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「隻手への挽歌」人生にYesと言う[2018年01月16日(Tue)]

畠山千代子の詩文集「隻手への挽歌」の掉尾を飾るのは、書名となった詩群「隻手への挽歌」の一〜四である。

その「一」全体を引く。

隻手への挽歌一   畠山千代子

ありがとう
ありがとう
わたしのいとしい左手よ
おまえのさだめの
厳しくもなが過ぎた苦難の道を
よくも必死に堪えながら
ひたすらこの身を支えつづけて
ついに、もはや
老い枯れるばかりの
いたわしい隻手よ
やがておまえは
たたかい終わつて語らず知られず
報いられずに去りゆく
孤独な老兵の様に
ある日
火葬場のかま底に
灰の崩れる音ひとつ置いて
私に従いて消えて行くだろう
その音のはかなさに
わたしは いま
堪えがたくおまえがいとおしい
せめて
おまえのかなしい現し身を
この美しい晩秋の夕空に
たかくたかくかざし照らして
わたしだけが知るおまえの苦闘を
     忍耐を
そのてがらを
こころゆくまで讃えたい
言葉の限り声の限り
讃歌をおくりたい
けれども
おまえのその
救いようもなくうらぶれたすがた――
みみずの様にふくれあがつた血管――
石臼の様に硬まつた関節――
藁ござの様に荒れ荒れたその肌――
そのすがたが
わたしの胸をしめつけて
ことばを奪い声を消す
わたしはただ おまえを見つめながら
哀れなその五本の指に
遠い過去の日の白魚のかげをのせて
流れるままに なみだを流し
その涙に
心いつぱい「ありがとう」を託して
お前の背にそそぎ
せつない祈りを空におくる
「うるわしき晩秋の夕映えよ
 神の如き孤高の栄光よ
 その光もて
 この涙を宝石に変え
 しばしこの手を飾られよ
 ひそかなるいさおしを
 せめてひととき
 たたえられよ
 ねぎらわれよ!」

*******

★奇しくも母の看取りの日にこの詩を読み、ここに紹介することとなった。
右半身麻痺を克服しながら、リハビリに奮闘し左手で繕い物をするまでになり、左手同士の親指相撲ではしばしばこちらを負かした。
「ありがとう」のことばをすっとかけてくれる人であった。


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