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円居の平和を見守る人[2017年12月07日(Thu)]

DSCF0033.JPG

◆靖国神社にある「特攻勇士を讃える」像。
碑文にいわく「陸軍航空隊西尾少佐以下一三四四名、〜震洋石川大尉以下一〇八二名、計五八四三名の陸海軍人は敢然として敵艦船等に突入散華され今日の我が日本の平和と繁栄の礎となられた。」と刻してある。

よく読むと「敢然として敵艦船等に突入散華され」と「今日の平和と繁栄の我が日本の礎となられた」のつながりが分からない文章である。ここには飛躍がある。敵艦突入のシーンに、繁栄謳歌の映像が直に接続して上映されたような唐突さがある。
特攻兵士の肉体が味わった痛みも、遺族がその後長く味わわざるを得なかった絶望も、無かったもののように「散華(さんげ)」と言いくるめて美談にする。
この切り捨て方は、彼らに特攻を命じた者たちの無惨さと地続きだ。

今また若者たちに引き返せぬ橋を渡らせようと企む者たちは、彼ら死者について口を拭ったまま、武器をひさぐことに熱心である。

◆トランプ米大統領が、エルサレムをイスラエルの首都と承認すると宣言したという。
かの地に争いよ起これ、と言い放ったに等しい。
北朝鮮に対してであれ、中東に対してであれ、緊張を高めて儲かるのは軍産複合体ばかりだ。
日本政府は「動向を注視」と言う程度で、諫めのことば一つ発することが出来ない。
河野外相に至っては「イスラエル・パレスチナ両者の話し合いでという方向性を評価」と、訳の分からないコメントをしたと伝えられている。トランプ発言は国際社会が築いてきたその路線を実質的に否定するものであることを認識できていないことを物語る。そのことは同時に、日本の外務官僚において中東情勢に精通した人材を欠くことを意味していないか。
2015年1月、ISとの闘いへの支援をイスラエルで発信した安倍発言が後藤健二さんの悲劇に直結した時もその感を深くした。

*******

陶原葵の詩に「穴、が気になるのなら/それにあった蓋、をさがせばよい」と始まる詩がある。
「穴」の「A」。「帰、去来」所収。思潮社、2017年)

読み返しているうちに「切れ目のない安全保障」というキャッチフレーズを思い出した。
切れ目があったらマズイだろうと思う俗耳に訴えて戦争法強行に突っ走るスタートとなった2016年7月1日の閣議決定の謳い文句である。

◆詩の全体を掲げておく。

 穴 A  陶原 葵

穴、が気になるのなら
それにあった蓋、をさがせばよい
蓋のうえには街があって
似たような品ばかりを売っている
つかいみちのわからない
笏?  銛    に似たものとか

降りてくる日は
すきまがあいているからなのだ
花の降る
花の降る
そこから覗けるのは
どこかでみたことのあるばしょ

なつかしいものたち
若くあたたかな月を抱いて
車座になって


◆穴の存在が気になるなら、蓋を載せて塞いでしまえばよい、というのは随分乱暴な話で、有るはずのものを隠そうとすると、地上では日常の役にはたたない品物ばかりが売られるはめになる、というのだ。

「笏」とは神主さんが手に捧げ持っているへら状の木の板、あるいは王笏。
前者であれば、予め書いておいたものを読み上げる時の小道具、後者であれば王位にある者が手にする装飾を施した杖、ということだ。どちらも神威なり王権なりの象徴だ。
「銛(もり)」は魚や鯨を仕留める武器であるが、密教で用いる法具である独鈷(とっこ)や三銛(さんこ)なども「もり」の形である。
それらに似てはいるが本当の使い道が何なのか良くわからない品々を売っているのだという。

◆平和に暮らしたいと願う者にとって、権威でまぶした託宣や武器は益体(やくたい)もないものだ。

穴を蓋でふさいだつもりでも、日はすきまから降りてくる。
その光を浴びて花も降ってくる。
夜に入って車座になったものたちの姿も見えてくる。
かつてそこに自分も居たのだったか。
自分が下の世界に降りてしまっても、上の世界には若きらが円居(まどい=車座)して春宵の月を楽しんでいる様は変わっていないじゃないか、ということか。

「榊葉の香をかぐはしみ とめ来れば 八十氏人ぞ 円居せりける 」(拾遺集巻十、神楽歌)

◆無論、穴の下に棲息する人間がいて(あるいは奈落に沈んでもはや穴の上に棲むことはかなわなくなった死者としてそこに居て)、彼らは(あるいは私は)穴の上に降る花をただなつかしく見上げるばかりなのだが、しかしその視線を無視して平和をを守り育てることは難しいのだ。

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