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柳美里「JR上野駅公園口」を手に上野公園を歩く[2017年11月17日(Fri)]

DSCN4737城山みなみ「とびたさ」2017-A.jpg
城山みなみ「とびたさ」2017年
◆上野公園、「芸術の散歩道」と名づけられた東京藝大・旧奏楽堂前の道沿いに、作品が何点か置いてあった。
その中で、季節と場所とにいちばんふさわしそうな作品。
作者は神奈川県立横浜平沼高校から東京藝大に進み、現在は大学院で鋳金を学んでいる由。

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◆金曜の午後、運慶展に向かう道すがら、柳美里の小説「JR上野駅公園口」に出てくるいくつかの場所を訪ねてみた。

その一つが摺鉢山だ。すりばちを伏せたような形だから、というが、もともとは古墳だそうである。

DSCN4645上野公園摺鉢山−A.jpg

ここで小休止。
下からチェロの音色が聞こえて来て、芸術の杜・上野を堪能する。

DSCN4647PereJovanov-A.jpg

東京都のヘブン・アーティストに認定されているペレ・ヨヴァノフ(Pere Jovanov)という方だった。(YouTubeにいくつか演奏がアップされている。)
シューベルトのセレナードなどおなじみの小品のほか、初めて聞く曲もあって耳福を味わう。映画で聞いたことのあるメロディがあった。題名を思いだそうとするが出て来ず、もどかしいこと限りなし。

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◆柳美里の「JR上野駅公園口」の主人公は、福島県相馬郡・八沢村(現・相馬市)出身のホームレスだ。
1964年前の東京オリンピックの土木工事で働き、以後、生涯のほとんどを出稼ぎで暮らした。

小説でホームレス仲間のシゲちゃんが由来を教えてくれた上野の大仏というのが出てくる。
訪ねて見るとなかなかアルカイックなおもざしである。

DSCN4678上野大仏−A.jpg

不忍池まで足を伸ばしたら葦船を作っている人たちがいた。19日に不忍池に浮かべる予定だとのこと。
プロジェクトを進めているのは石川仁さんという探検家で、葦船航海士としてこれまで世界の海を葦船で渡ってきた人。2019年には葦船による太平洋横断を目指すそうだ。

DSCN4685-A.jpg
手前につり下げてあるのが完成模型。

◆不忍池まで足を運んだのは、弁天堂の手前にある「利行碑」をもう一度見たかったからだ。
放浪の画家・長谷川利行没後、その死を惜しむ人びとが建てたものである。

DSCN4697-A.jpg
「利行碑」の文字は画家・熊谷守一の筆になる。

その右には有島生馬の筆で利行の短歌二首が刻まれている。

DSCN4693-B.jpg

人知れず朽ちも果つべき身一つの
  いまがいとほし涙拭わず

己が身の影もとどめず水すまし
  河の流れを光りてすべる


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◆小説「JR上野駅公園口」の主人公は現天皇と同じ1938年生まれ。息子が生まれたのは現皇太子と同じ1960年2月23日で、幼名浩宮にちなんで「浩一」と名づけた。
しかし息子は若くして自死し、妻・節子(昭和天皇の母・貞明皇后の旧名と同じ)にも先立たれてしまう。

◆浩一の通夜の夜、真珠のように真っ白な満月の光の中に舞う山桜の花びらを見ながら浜に出た主人公を次のように描く――

波音が高くなった。
暗闇の中に一人で立っていた。
光は照らすのではない。
照らすものを見つけるだけだ。
そして、自分が光に見つけられることはない。
ずっと、暗闇のままだ――。


柳美里JR上野駅公園口.jpg
河出文庫版(2017年)の表紙。浜通りの寒風を思わせるような、冬枯れの野が雪におおわれた景である。
(原著の単行本は2014年。)



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