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米軍ヘリ炎上余聞[2017年10月13日(Fri)]

DSCN3834サルスベリの実.JPG
サルスベリの実。このあと黒ずんで面白い形に割れるそうだ。

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◆高江で炎上した米軍ヘリCH53が新たな不安を生んでいる。
琉球新報が矢ヶア克馬・琉大名誉教授(物性物理学)の話として伝えているもので、同機の回転翼の安全装置には放射性物質が使用されており、2004年に沖縄国際大に墜落した同型機には放射性物質ストロンチウム90が使用されていたが墜落事故に際し六つの装置のうち一つは回収できず、米軍は環境に影響ないと主張するものの、この時に消失した量は約500マイクロキュリー、1850万ベクレルに上ったのだという。
ストロンチウムが放出するベータ線は透過力が弱いので近接しない限り危険性はないが、燃え上がって大気中に飛散した微粒子が体内に入ると内部被ばくの危険があるという。

【琉球新報10月12日】
高江米軍ヘリ炎上 放射性物質が飛散の可能性
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-592641.html


◆沖縄県の富川盛武副知事は12日、国に調査するよう申し入れた。
放射性物質と断定はしていないものの、その疑いがあることを念頭に有害物質の調査を強く求めたものだ。

【赤旗 10月12日】
放射能汚染調べよ 米軍ヘリ事故 副知事「国責任で」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-10-13/2017101315_03_1.html

◆たった96時間の同型機飛行中止措置で済ませられてはたまらない。
2013年8月5日に米軍キャンプ・ハンセンに墜落したHH60救難ヘリも同様にストロンチウム90が使われている機種であることが2006年の米空軍ホームページに明記されていたと報じられている(2013/8/7沖縄タイムス記事)。
ストロンチウム90は回転翼のひび割れを検出するために使われているとのことだが、事故に遭った場合の危険性について、基地を抱える自治体も日本政府も蚊帳の外であるなら、治外法権以外の何ものでもない。

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◆今回の炎上事故の報じ方をみていると、治外法権の下でのもどかしい限りの奴隷的報道に気づく。(11日の記事では「墜落・炎上」としたが、その後の報道を付き合わせると「不時着後、炎上」ということのようであることを追記した。)

◆典型的なのは事故発生直後、11日夜のNHKニュース。
米軍(およびそれと一体の日本政府)への忖度が露骨であり、かつ不正確な見出しだ(10/13深夜の時点で正されていない)。

米軍ヘリ 訓練場付近で着陸後に炎上 沖縄
10月11日 18時58分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171011/k10011175021000.html

(1)米軍への遠慮=「訓練場付近」というゴマカシ、噴飯物だ。
なぜ「民有地」と書かないのか?
NHKが日本政府の広報機関であるだけでなく、米軍の広報組織でもあると言ってよいほどの肩の入れ方。
言い換えれば日本国民や沖縄県民の立場に立った報道ではないと公言しているようなものだ。

◆この記事はTVのデータ画面で21ページもあり、政府のコメントだけでなく、翁長沖縄県知事、稲嶺名護市長、墜落現場高江がある東村の伊集盛久村長、高江の区長、土地の所有者、地元住民の声に至るまで集めていて、精力的に取材したことが分かる。だがそれらのコメントの配列は、首相→外務大臣・外務省〜という流れ。エラい人から下々へ=「上意下達」優先という順番である。
一つ例外があって、近くの男性の 「たくさん煙が出ていてびっくり」というコメントだけ前の方に置いている。
一歩間違えば人命が奪われていておかしくない重大事故を、このコメントで小さく見せたかったのだと分かる。土地の持ち主の「恐怖」ということばや、「大きな憤り」という住民のことばも取材で得ているにもかかわらず、である。
「びっくり」というコメントを初めの方に持って来たのは、エラい方々への忖度によるものというしかない。そうした構図が透けて見えることに視聴者の方も「びっくり」だ。
このニュースを「恐怖」「大きな憤り」という住民の生々しいことばから始めるならば、事故の印象は全く違ってくるはずであり、NHKが国民の側に立つメディアであることを示すことにもなっただろうことは疑いない。せっかくの信頼回復のチャンスを捨て、日米政府の下請けメディアであることを天下に再確認させたことになる。

(2)「着陸後に炎上」という見出しで緊急性を薄める企み
記事のリード文は「訓練中、機内で火災が起き、緊急着陸のあと炎上しました。」とある。
見出しと本文とで違いはない、と言い切れるだろうか。
リード文にふさわしい見出しは「緊急着陸、炎上」だろう。
「着陸後に炎上」というまったりした見出しは一体何なのか?
恐らく「炎上したのは着陸してからです」と言いたいのである。
つまり「着陸までヘリは完全にコントロールされていた」という印象を与えて置きたい訳だ。
米軍擁護の姿勢に徹して恥じないのである。
(そう言えば、去年12月13日の辺野古・大浦湾のオスプレイ墜落事故でも「着水」「不時着」という言い回しで米軍をかばう日本政府とそれを受け入れる報道があった。オスプレイ反対・配備見直しの声を封殺するためであった。)

◆記事本文のアメリカ海兵隊のコメントにもおかしな言い方があった。
「午後5時20分ごろ、機内火災が発生し、北部訓練場の外への緊急着陸を強いられた。」という。日本語発表か英文発表の翻訳なのか分からないが、通常の日本語なら「緊急着陸せざるを得なかった」という言い方で「不可抗力」を示唆する表現にする。
「強いられた」だと、〈「強いた」悪いやつがいたからなんだ、ボクはちっとも悪くない。〉というニュアンスを帯びる。
言い訳する幼児性まで日米は抜き差しならない一体化を完成させつつあるということか。


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