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法律があるから罪人がいなければならない、という逆立ちした論理[2017年07月11日(Tue)]

DSCN2270黒鬼灯クロホオズキ.JPG
クロホオズキ(黒鬼灯)。
萼の部分の形がホオズキ(鬼灯・酸漿)に似るが、色は全く異なり黒い点描を施したよう。
薄い青色の花だが、残念ながら閉じた状態。
寝ぼすけに開いたところを見せる気になれないのだろう。

*******

持てば使いたくなる。
しかし共謀罪はオモチャじゃない。


◆政府に反対する者の取り締まりを急ぐかのような7月11日の「共謀罪」施行。
金田法務大臣は今日、 全国の地検などに刑事局長名で適切な運用を求める通達を出したという。「テロ等準備罪」を新設した改正組織犯罪処罰法は「国民の安心・安全を守る法律」だと繰り返すだけの説明に国民はウンザリしている。ネジ山の切れてしまったネジが押し込むことも引き抜くこともできないようなものだ。
「自由と人権をしっかり守るという考え方」でやって来た、というが、国連プライバシー権に関する特別報告者のジョセフ・ケナタチ氏の日本政府への質問に対して、いまだに日本政府は回答していない。無能でないのだとすれば、回答する意志がないのである。プライバシー権を保障する仕組みが欠けているという氏の指摘は重要だ。
抽象的に「自由や人権をしっかり守る」と言ったところで意味はない。「しっかり」をいくつ連ねても、「しっかり」した印象を与えることは不可能になっている。

◆令状なしのGPS捜査は違法とする最高裁判決を引き出した亀石倫子弁護士は、今日の金田法相の説明について、「恣意的な運用ができない仕組みになっている」と言って置きながら「全国の検察庁に改正法の趣旨・内容をふまえて適切な運用を求める通達を発出した」という言い方は矛盾している、と指摘した(7/11 TBS「NEWS23」)。
「恣意的運用ができない仕組み」が本当にあるなら、通達など必要ないはず。念のために通達を出したとするなら、恣意的運用がありうることを自ら認めたことになる。「矛盾している」とはそういう意味である。

◆その「仕組み」とは何かについても答えないままだ。示せないのはそれが「無い」からである。
「適切な運用」とは何か、「適切かそうでないか」を決めるのは誰か?警察であり検察であって、そこに裁判所が関与できる余地は限りなく小さい。まさに「恣意=権力のほしいまま」になる。

捜査・告発する側の恣意や予断が冤罪を生む。
そして冤罪の被害者は社会的な信用を失い人生そのものを失うことになる。
その例だったらいくらでもある。

◆刑法学の高山佳奈子(京都大法科大学院教授)は、共謀罪を必要とするのは「警察の権限保持」のためだと言い、その根拠として、現に、違法でない行為や軽微な違法性しかない行為について、今までになかった摘発が起きている、と指摘している)(高山佳奈子「共謀罪の何が問題か」岩波ブックレット、p.44 2017年5月)。
法律が出来たから、その法律の網にかかる獲物がいなくてはならない、警察があるから犯罪者がいなければならない、というのは逆立ちした理屈だ。

まさしく高山が言うように、「共謀罪を実際に適用しようとすれば、通信傍受の拡大や秘密捜査官の投入によって広範な監視体制を開始するか、さもなくば嫌疑が十分でなくても摘発するか、のいずれかしかありません。どちらに転んでも、危険なことを何もしていない市民生活に影響が及びます。」
(同上書、p.60)

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