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椅子について[2017年06月03日(Sat)]

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麦秋を迎えた。時を同じくして田んぼに水が引き込まれ、田植えも始まった。

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席替えのこと


◆地元の中学校にお邪魔したら、テストが終わって体育祭の練習に入っているとのことだった。
ふと、現職時代、試験が終わったあとのホームルームで席替えをしていたことを思い出した。
互いに名前を知らない年度初めは名簿順の座席でスタートするが、そのあとは概ね試験ごとに席替えをするようにした。変えない方針の担任もいるが、高校で出来た仲間が生涯の友となることが圧倒的に多いので、出会いがたくさんあるように席替えは定期的にやることにしていた。

◆公平であるよう基本的にクジ引きでやる(視力など事情のある者は配慮する)が、時々「不正」を試みる者がいる。たいがい男子で、仲のいい奴と近くの席、出来れば教室の一番後ろの席を手に入れようと画策する。担任に見えないところで、心優しい者から、クジ交換の同意を取り付ける。双方の合意というより、力関係が働くのは大人社会と同じ(たとえば加計学園問題)。
よって不正を容認しない手立てがいろいろ必要になる。最善はルールの透明化であること、これまた大人社会と同じである。

同じ席を二人が占有することはできない

◆よそのクラスに行って、座席表と違う席に居座っている者(A君としよう)がいることがある。彼の本来の席に目をやると、自席を奪われて困惑し、しかたなくそこにいるB君がいる。
B君は、腰を下ろさず、立ったままでいることもしばしばである。
双方が納得してニコニコしていることは、まず無い。
ワガママや横紙破りが大手を振るようではまずいので、ただちに遵法状態に復さないといけない。
有効なのは、席の移動が、単に動いたのではなくて、その席を占有したのだということを理解させることだ。
――「A君は今、B君の席を占有している。B君の席はA君によってoccupiedの状態なので、その椅子には誰も座ることができない。誰かが無理して座ろうと思うなら、座っている君の膝の上に尻を下ろさねばならないのだが、どうだろう?」

ここまでで、何か変な感じ、と思ってA君が自席に戻ればそれでOKだ。何言ってんだろ、という顔だったら、もう少し贅言を費やす。

――「同じようにA君の席に誰かが座ってしまうと君の席は占有されたことになるので、もう君はそこに座ることができない。君は席を失ってしまうことになるのだが……。」

これで大体A君は自分の席に戻ってくれる。
彼が彼自身の座るべき場所をちゃんと持っていることに気づいてくれたからである。

恐らくほとんどの人は、何かを手に入れることよりも、何かを失うことの方を強く恐れるからだと思う。

椅子を失うことを恐れない人間もいる

◆今日もTBS「報道特集」で前川喜平・前文科事務次官のインタビューを放送していた。
この人物、恬淡として何かを失うことを恐れない人のように感じたので、ふとそんなことを思い出した。菅義偉・官房長官の「地位にレンレンとして」という評言はそれこそ「全く当たらない」人物だという印象である。
人を見る目のない人間の方こそが権力に恋々として、読売新聞などを動員してまで前川氏に関する悪質な印象操作を画策したに過ぎない。
語るに落ちた、ということだ。

官邸の「最高レベル」の方々は「失うこと」を恐れてさぞ眠れぬ日々を過ごしている事だろう。
そうした方々の安らかな眠りのために詩を一篇……

ぼくが ここに    まど・みちお

ぼくが ここに いるとき
ほかの どんなものも 
ぼくに かさなって
ここに いることは できない

もしも ゾウが ここに いるならば
そのゾウだけ
マメが いるならば
その一つぶの マメだけ
しか ここに いることは できない

ああ このちきゅうの うえでは
こんなに だいじに
まもられているのだ
どんなものが どんなところに
いるときにも

その「いること」こそが
なににも まして
すばらしいこと として


 田中和雄・編「ポケット詩集」童話屋、1998年

童話屋ポケット詩集-A.jpg

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