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「道徳教育」売ります――文科省[2018年09月22日(Sat)]

◆21日、文部科学省の戸谷一夫事務次官、高橋道和・初等中等教育局長らが汚職事件により懲戒処分を受け、辞任した。
飲食接待の場には複数の国会議員も同席していたというが、彼らの責任はどうなるのか。報道は追及がない。

◆同じ日、文科省は「2018年度EDU-Port公認プロジェクト」なるものを公表した。
文部科学省「日本型教育の海外展開推進事業(EDU-Portニッポン)
https://www.eduport.mext.go.jp/html/programs/pilot.html

日本型教育を海外展開させ、そのためのプラットフォームを通じて支援するという。
概要は下から閲覧できる。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/09/__icsFiles/afieldfile/2018/09/21/1409403_2.pdf

◆海外展開パイロット事業として公認されたプロジェクトは、コンソーシアム枠(主体の法人と協業する会社との共同事業)として2件(大阪教育大および大原学園)、各500万円の経費支援がある。
個別枠は10件が承認され、各200万円の経費支援がある。
これには信州大や福井大などの教育機関のほか、デジタル教材会社や通信添削教育を事業の柱とする会社も名を連ねている。

「Edu-Portニッポン」と名づけた推進事業の概要を見ると、次のような言葉が並んでいる。

☆新興国には日本型教育への膨大なニーズ +官邸外交により首脳レベルからの要請増加
☆海外展開を希望する教育機関・事業者の増加


日本型教育を商品として売り込もうという事業者の意気込みを官邸も積極的に応援するという構えのようだ。またぞろ首相案件として後押しがあり、水面下で〇いものが動くという構図ではないのか

◆事業として展開される以上、収益をあげることが期待されている。学びのシステムはデジタルを含むコンテンツ(教科書やドリル)、教授法、ネットワークまでがパッケージされた商品として扱われる。そのために国内教育機関での授業研究のノウハウや学習の定着度を測った子どもたちのデータが利用されるはずである。
利潤をあげる事業のために学校を利用すること、まかり間違えば、陰でトクする者がいるかもしれないことのために国立大や附属学校を動員することにならないか。

◆また、各国のニーズの例として、次のような記述があることにも首をかしげてしまう。

中東地域については《サウジアラビア:道徳教育・ジェンダー教育
…改革の動きがあるとはいえ、女性の扱われ方がおよそ異なる文化の国に対して、随分無頓着な書きぶりである。

そもそも、日本型教育において、伝えるに値する「道徳教育・ジェンダー教育」が確立しているとでもいうのであろうか。

中南米では《ブラジル:武道(規範意識)》
…日系人が多いことから柔道へのニーズがある、ということなのだろう。
しかし「規範意識」を移植できると考えているとしたら、それは傲慢な態度だ。

この2例はつまるところ、精神的価値への無理解から来る文化的侵略を構想していることに他ならない。

「規範意識」を持たせる「道徳教育」は、アベ政権下で執拗に画策されてきたものである。
中学生への「特別な教科」として道徳教育が2019年から、高校でも2022年度から新科目「公共」などを用いて道徳教育がなされようとしている。新学習指導要領に拠って個々人の内面を国家が支配するのと同じ手法を、他の国々に対しても行おうというのが「Edu-Port ニッポン」の実相なのではないか。

*******

◆かつて竹中郁は、次のような詩で経済優先・商売第一の国柄を諷刺した。


観光日本  竹中 郁

フジヤマ 売ります
ミヤジマ 売ります
ニッコウ 売ります
ニッポン どこでも売ります
ナルト アソ
みな 売ります
どうぞ どうぞ お越し下さい
わたし 揉み手をします
わたし 造り笑いします
お金もらいます
お金たくさん たくさん よろしい
ニッポン人 みな自動車かいます
ニッポン人 みなライター好き
ニッポン人 みな植木屋上手
ニッポン人 みな時花歌(はやりうた)うたいます
みな お辞儀します
みな みな おとなしいです はい


竹中郁『子ども闘牛士』(理論社、1985年)

◆こうした卑屈さは過去のものになったかもしれない。
《Edu-portニッポン》の説明には「諸外国から高い関心が示されている日本型教育」という惹句が踊る。
文科省の体たらくを脇に置いてさえ、面映ゆいというか、恥ずかしくないか。
教育という羽織の袖の下で、国も人の心も買えるさ、という本音が透けて見える。

使命の実現のために身命を捧げる宣教師なら、文化的背景の異なる国・社会に精神的な価値を伝え根付かせることが出来ると信じて疑わないだろう。
それ以外は、人を人と思わぬ覇権主義者に過ぎない。

うぬぼれが過ぎるというものだ。

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