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ひとびとは/氾濫のように/石をにぎつて[2018年06月16日(Sat)]

DSCN7396.JPG
カボチャ

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最初の無名戦士    黒田 喜夫

頭のうえを 眼のうえを 口のうえを
愛と叫んだ歯のうえを

知るかぎりの地平線からつづいている靴跡とおなじ脚が

ひとつの悔恨と憤激を 夜明けの小鳥のようにのびあがった手と足を

朝鮮で 安南で 馬来で流れた血とおなじ血でそめたとき

たえず戦争を病んできた列島に
夜から昼になまなましく渡された橋が生れる

おお海のように たたかいの音がきえる
くだかれた額から

ひとにぎりの米とひきかえた額のあざの
服従の班痕をはいで ひざを折つて

ふるい宮殿の この国のくらい歴史をつくってきた窓のまえに

ひとりの若ものがたおれたとき
ひとびとは氾濫のように そのうえを渡る

氾濫のように
石をにぎつて

装甲車のまえを
青ざめた銃列のまえを

花のようにつながつた言葉を
平和 平和 平和とさけんで

木霊のようにつづくもうひとつの言葉を
あれは すぐそこにあると呼びかわして

日本の冬宮は そこにあると
碑のようにゆびさす最初の屍をふんで。


*安南…かつてのベトナム
*馬来…かつてのマレー半島と周辺の島々

『詩爐』第一号(1952年10月)初出。
テキストは『黒田喜夫詩文撰 燃えるキリン』(共和国、2016年)に拠った。

◆「氾濫」や「冬宮」には同音転換による意味の重層が目論まれているであろう。
たとえば「氾濫」⇒「反乱」というう風に。

すなわち一人の無名戦士の死をきっかけに、彼が指さしたものに向かって、人々はあらゆるものを呑み込みなぎ倒す濁流のように反乱のうねりとなって押し寄せる。
悔恨と憤激で握りしめた指から流れる血を石ににじませながら。

  
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