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本郷新「奏でる乙女」像/「父と暮せば」(2) [2018年06月07日(Thu)]

DSCN7350本郷新-A.jpg

◆俳優座を出てすぐの六本木交差点に本郷新の彫刻があった。
「奏でる乙女」と題するブロンズ像。
初代はコンクリート像として1954年に戦後復興と平和のシンボルとして建立されたが、損傷甚だしく、作者に再制作を依頼して1975年に完成したものだという。
雨の日にふさわしいメロディは何だろう。
昼にはどんな歌を口ずさんでいるのだろう。

【参照:本郷新記念 札幌彫刻美術館の「奏でる乙女」解説】
http://www.hongoshin-smos.jp/sculpture/kanaderu.html

◆本郷新(1905-80)は「わだつみの像」や「氷雪の門」で知られる。
最初に出会ったのは函館の石川啄木像だろう。小学校の修学旅行でこれを観たように思うが、観光絵はがきの画像とごちゃまぜになっているかも知れない。
ずっとのちに亡父母を案内して再訪したはずだが、その記憶も茫洋としている。

◆当ブログでは以前、二子玉川の「鳥の碑」や池袋の「母子像」を紹介した。
http://blog.canpan.info/poepoesongs/archive/366

http://blog.canpan.info/poepoesongs/archive/102

◆世田谷美術館には戦没学生記念像「わだつみのこえ」(1950年)があった。
昨年6月に撮影したものを掲げておく。
DSCN2146本郷新わだつみのこえ(世田谷美術館)-A.jpg

戦没した学生たちの遺稿集『わだつみのこえ』巻頭の次の詩句がモチーフになっているのはよく知られているが、遺稿集やこの像をめぐるあれこれの「事件」には、日本人の戦争体験への向き合い方を考えさせられる。

なげけるか いかれるか
はたもだせるか
きけ はてしなきわだつみのこえ


ひとくくりにできようはずはなく、さりとて個々を見舞った運命として記憶の底に追いやるわけにいかない体験について、美化や忘却によってゆがめ、なかったことにしてはならないこと、言うまでもない。「きけ はてしなきわだつみのこえ」という烈しさに居ずまいを正す者は、必ずや次に自分がなすべきことを模索し始めるだろう。

◆一方で聴く耳をもたない人が老若問わず存在することも事実だろうけれど、作家はそこにこそ届く表現を求めて止むことがない。

そんな作者の言葉を「父と暮せば」第2場から。
美津江が木下から預かった菓子箱の中から原爆瓦などを取り出す場面。

美津江 被爆者の身体(からだ)から出たガラスのかけら。
竹 造 ……むごいことよの。
美津江 原爆瓦。
竹 造 ……とげとげしいことよの。
美津江 熱で曲がってもうた水薬の瓶。
竹 造 ……おとろしいことよの。

竹造(山崎一)は美津江(伊勢佳世)が説明するモノの一つひとつに、それらに覚えた気持ちをことばにして沿わせていく。
これらのセリフのうち前の二つについて山崎は、「むごい ことよの。」「とげとげしい ことよの。」と形容詞のあとに一呼吸を入れた。
その一呼吸によって〈ほんに=ほんとうに〉という気持ちが重みを伴って加わる。
呑み込みがたい事態をヒリつくようないたましさを練り込みながらのどに押し込んでゆくような感じも伝わってくる。
聴く者は座席に居たままながら、身を乗り出して竹造のすぐ横に寄り添おうとすることになるのである。
これらを一息に言ってしまえば「むごさ」は抽象的な観念になってしまう。他人事になってしまうのである。
ことばに魂が入るとはこういうことなのかと感じ入った。


この記事のURL
http://blog.canpan.info/poepoesongs/archive/883
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