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牟礼慶子の詩[2018年02月26日(Mon)]

巨人  牟礼慶子

私は川の葦よりももっと伸びるだろう
と言った そして伸びた
私は庭の葉しげみよりもっと伸びるだろう
と言った そして伸びた
私は森の喬木よりももっと伸びるだろう
と言った だが今度は伸びなかった
この世には人間の身体にぴったりあてはまる背丈しか
用意されてはいないのだ
私の中身は無限に伸びて
空と肩を並べて立ちたかったのに
だがしかし年とともに
伸びる身体を持っているとしたら
それは大仕事だ
要は中身の問題になるから
年とともに輝きを増す魂がいるのだ
そうなると身体は人間の問題を離れる
すぐに勘定をまちがえる身体と
故障し易い魂しか持っていない人間が
空と肩を並べる巨人にならない方がよいとは
そんな理由からなのだ
  
第一詩集「来歴」(1960年)の一編。
現代詩文庫「牟礼慶子詩集」(思潮社、1995年)によった。

◆生が向かう方向とそれが拠って立つ土と。ふたつながらを動的に体現する樹という存在に格別の思い入れを持つ詩人。この詩にも登場する「庭」は生身の人間が棲息している狭い空間だ。
限定された場所でありながら、無限の想像を可能とする世界である。
狭い庭に生えた木も根を張り空を目指す点で森の喬木と違いはない。
「告る(のる)」ことが実現を約束するという古代的な確信からことばが発せられている。
謙抑的なことばがかえって強さを備える。
数字で扮飾した食言や権勢にあぐらをかいた虚言の類いはたちまち蒸発させるほどの。

◆牟礼慶子(1929-2013)は鮎川信夫らの「荒地」に参加。評伝「鮎川信夫ー路上のたましい」を著した。

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http://blog.canpan.info/poepoesongs/archive/781
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