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映画「白バラの祈り」から[2018年02月18日(Sun)]

◆1943年の2月18日、ミュンヘン大学でゾフィー・ショルが兄のハンスとともに反ナチ抵抗運動を呼びかけるビラを撒いた日だ。
目撃した大学の職員が二人を拘束してゲシュタポに引き渡した(いつの世にも権力に迎合する協力者がいる)。
二人は同志のクリストフ・プロープストとともに4日後に国家反逆罪として人民裁判で有罪を宣告され、即日(!)処刑された。

彼らの平和的な抵抗運動は「白バラ抵抗運動」として知られ、映画にもなった。
1982年制作の「白バラは死なず」(ミヒャエル・フェアヘーフェン監督)を勤務校の芸術鑑賞会で生徒たちと一緒に観る機会があって、彼らのことを知った。
この映画を選んだ担当者の見識には、30年以上経った今も感謝するばかりだ(このブログをスタートしたばかりの実教出版日本史教科書排除事件の記事でそのことを思い出して引用している→〔2014年8月6日、飼い犬に手をかまれる日〕⇒http://blog.canpan.info/poepoesongs/archive/17
「政治的中立性」を理由に史実を描いた映画すら敬遠しがちな現在、こうした映画を全校で観ることが可能かどうか。

◆「白バラは死なず」はドキュメンタリー風に描いた映画だったが、その後、ゾフィーの尋問調書など新たに発見された資料をもとに制作された「白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々」(監督マルク・ローテムント2005年(日本では06年)に公開)がTVで放映されていたので観た。

◆尋問するゲシュタポのモーア刑事とゾフィーのやりとりが胸に迫る。
抄録する。Mはモーアのことば。Sがゾフィーのことばである(字幕翻訳:古田由紀子)。

M:君はドイツ国民の幸福を案じている。ヒトラー暗殺を企てた卑劣漢とは違う。

S:じゃ、なぜ罰するの?

M:法があるからだよ。法がなければ秩序はない。

S:あなたの言う法はナチ政権誕生前の言論の自由を守る法よ。
今は自由に発言すると投獄か死刑だわ。これが秩序?

M:では法律のほかに何に頼れというのだ?

S:良心よ。

M:バカらしい。
法があり、人間がいる。
私の義務は両者が一致するか確かめることだ。あら探しじゃない。


S:法が変わっても心は普遍よ。

M:みんなが勝手に善悪を決めたらどうなる?犯罪人が総統を倒したら何が残る?犯罪的カオスだ。
自由思想、連邦制、民主主義、その結果どうなった?

S:ヒトラーが消えれば秩序を取り戻せるわ。独裁からも解放されるのよ、追従者からも。

M:独裁、追従者?中傷は許さない。

◆インフレ、失業や貧困をヒトラーが解決してくれたと信じるモーア刑事に、ゾフィーは国民を全面戦争に駆り立て犬死にさせているだけだ、と訴える(1943年2月18日は宣伝相ゲッベルスが総力戦を国民に説いた歴史的な日でもあり、映画には、捕らえられたゾフィーにラジオから流れるその演説を聞かせておけ、と看守に命じるシーンも挿入されている)。

学生として政府に守られ、食糧配給など特権を与えられている身であるのに、なぜ総統に反対し、誤った信念のために危険を冒すのか?と問われてゾフィーは「良心があるからよ」と答え、ナチが行っている蛮行の数々を挙げる。
とりわけユダヤ人の死の収容所送りだ。
モーア刑事はそれはただの噂だ、と否定し、ゾフィーを責める。

M:君は分かってない。間違った教育のせいだ。私に娘がいれば君のようには育てなかった。

S:ナチが行ったショッキングな話があるわ。
心を病んだ子をガス室送りよ。母の友人から聞いたわ。
病院の子どもたちをトラックが迎えに来た。
”どこに行くの?”と聞かれて看護師は”天国に行くのよ”
子どもたちは歌いながら乗り込んだ。
彼らに哀れみを感じるのは間違った教育のせい?

M:価値のない命だ。君は保母訓練を受けて心を病んだ患者を見てるはずだ。

S:だから分かるの。
どんな事情があろうと裁けるのは神だけ。
彼らの心は未知数よ。苦しみから英知が生まれるかもしれない。
命は尊いわ。

M:新しい時代の始まりを理解するのだ。


◆障害者を生きている価値がないと決めつけて抹殺する優生思想が息を吹き返している現在。75年前のよその国の話ではないと切実に思う。


この記事のURL
http://blog.canpan.info/poepoesongs/archive/774
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