《司法が黙認することは許されない》[2018年02月04日(Sun)]
◆弁護士ドットコムが1月31日の東京高裁・杉原判決(安保法制違憲とする自衛官の訴えを適法と認め、審理差し戻しを命じた判決)を取り上げ、猪野亨弁護士へのインタビューを載せている。
★【弁護士ドットコム 2月4日】
《自衛官の安保出動拒否、審理差し戻し、「司法の黙認が許されないことを示した」猪野弁護士が指摘》
⇒https://www.bengo4.com/other/n_7377/
◆要点を抜いておくと、
●出動命令が発動されていない現段階でも不利益を想定して認めた点で判決は画期的。
…出動拒否をした場合に受ける不利益を正面から認め、しかも戦闘部隊に配属されていない原告のケースについても対象とした。
●高裁判決を前提にすると、安保関連法そのものの違憲性を問題にせざるを得なくなる。
→門前払いで憲法判断を回避した一審判決に対して、高裁判決は司法が黙認することは許されないということを示した。
◆安保関連法を強行成立させた時は「存立危機事態」という理屈で説明していたのに、この裁判において国は「存立の危機状態」はあり得ないと主張して来た。この矛盾についても猪野亨弁護士は指摘。2月3日の朝日新聞社説が批判するように、昨年の衆院選で「国難」とまで表現した北朝鮮情勢を、裁判では「国際情勢に鑑みても具体的に想定しうる状況にない」「(北朝鮮との衝突は)抽象的な仮定に過ぎない」と、ご都合主義のゴマカシを続けて来たのである。
★【朝日新聞社説2018年2月3日】
「安保法」訴訟 あぜんとする国の主張
⇒https://www.asahi.com/articles/DA3S13343426.html
◆猪野亨弁護士は自身のブログでも今回の判決について取り上げている。
その結語を引いて置く。
その時(引用者注:アメリカからの出動要請)になればこの政府の訴訟での主張などなかったかのように「これが存立危機状態だ」と強弁することでしょう。
安保関連法が憲法違反であることは疑いなしです。
裁判所に求められていることは、はっきりと安保関連法が違憲であることを宣告すべきということです。
具体的に自衛官の生命に対する危険がある以上、統治行為論による憲法判断回避は許されないだけでなく、形ばかりの審理によって「合憲」などというお墨付きを与えることも許されません。
★【弁護士 猪野 亨のブログ】より
⇒http://inotoru.blog.fc2.com/blog-entry-3268.html