CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る
« 差別の構図 | Main | あとはあおあお »
<< 2019年10月 >>
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
最新記事
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
日別アーカイブ
父は人を[2018年01月27日(Sat)]

銃剣  八木幹夫

物置小屋にかくれた時だった。
埃っぽい闇の中で棚に頭をぶつけた。
禁断の場所だったが、子供は秘密の世界こそ好きだ。
棚から重さのあるものが足元に落ちる音がした。
ナイフでもなければ包丁でもない。
錆びが赤く浮き出た鉄の塊。
「じめた!」と思った。
あの頃、海のむこうの朝鮮半島では戦争が始まっていた。
かくれんぼをやめ、遊び友達と
カタコトの日本語を話すクズ鉄屋に売りに行った。
神社で紙芝居屋の水飴と黄金仮面を楽しんだ。
ついに父には聞かずじまいだった。
消し去るべきものをなぜ捨てなかったのか。
父は人を殺したことがあったのだろうか。
あの鉄の塊で。
『八木幹夫詩集』(現代詩文庫、思潮社、2005年)

◆八木幹夫(1947〜)は相模原在住の詩人。詩作と批評を詩の両輪ととらえ、朗読にも情熱を注ぐ。

ついに訊くことがなかった戦場での父の体験。
錆びた銃剣は父が持ち帰った戦場での体験の象徴だ。
売り払ってしまったことが逆に、訊くべきことがあったはず、というモノの重さとして我が体内に残り続けている。

八木幹夫詩集.jpg
『八木幹夫詩集』(現代詩文庫、思潮社、2005年)


この記事のURL
http://blog.canpan.info/poepoesongs/archive/752
トラックバック
※トラックバックの受付は終了しました
 
コメントする
コメント
検索
検索語句
最新コメント
根来珠青
銃剣道 歴史に目をふさぐおぞましさ (03/29) 当ブログ管理人
ジャーナリスト・安田純平さん解放との報【追記】 (10/26) 3億円で買える銃と弾
ジャーナリスト・安田純平さん解放との報【追記】 (10/25) マキシミリアナ・マリア・コルベ
コルベ神父のこと その2 (06/23)
若き音楽家リュカ・ドウバルグ (06/09)
タグクラウド
プロフィール

岡本清弘さんの画像
http://blog.canpan.info/poepoesongs/index1_0.rdf
http://blog.canpan.info/poepoesongs/index2_0.xml